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【かぶオプコラム】第8回:暴落をチャンスに変える投資家必見のテクニック

提供元:株式会社シンプレクス・インスティテュート

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【かぶオプコラム】
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第7回:もう下落は怖くない!株の売り予約で利益を守るテクニック2

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「このコラムでは、株式投資をより効率的にしてくれる仕組み『かぶオプ』について連載でお伝えしてゆきます。」

2024年8月5日の東京株式市場は日本版ブラックマンデーとも呼ばれるほどの大暴落で、日経平均株価は終値で前日比マイナス4,451.28円と過去最大の下落幅を記録しました。株式を保有している方にとっては決して心穏やかではない一日だったことでしょう。しかし、このコラムの第6回「もう下落は怖くない!株の売り予約で利益を守るテクニック1」をお読みになっていた方は、プットを買うことで安心して相場を見ていられたのではないでしょうか。

プットとは、「予め決めた価格で将来モノを売る権利」のことです。例えば日経225連動型上場投信(コード1321、以下、日経225ETFと略記)を平均単価40,000円で買い持ちしている場合、権利行使価格40,000円のプットを買っておけば、取引最終日の株価が35,000円でも32,000円でも、いくらであっても、1株あたり40,000円で売ることができます。これならブラックマンデーが来ても何の心配もありません。プットは、まさに株価下落に対する保険のようなものです。(ちなみに、2024年7月31日時点で日経225ETFの権利行使価格40,000円の8月限プットは1口あたり400円程度で買うことができました。)

プットは株式やETFを保有している方にしか価値がないかといえば、そうではありません。というのも、プットの値段は常に変化しているので、プットを安く買っておき、値上がりしたところで売却するという方法によっても利益を出せるからです。

では、どういうときにプットの値段が値上がりするのでしょうか。これは、プットが株価下落に対して保険的な働きをするということを考えるとよくお分かりいただけるはずです。保険料が高くなるのは、1. 保険料が支払われる可能性が高い場合、または2. より多くの保険金を受け取る可能性が高い場合、です。

例えば、持病がある人のほうが健康な人よりも医療保険の保険料が高くなったり(1)、修理代が多額になりやすい車種のほうがそうでない車種よりも自動車保険料が高くなる(2)ことがあります。プットも同じで、プットからメリットが得られる可能性が高い時(1)ほどプットの値段は高く、かつプットから得られるメリットが大きいとき(2)ほどプットの値段は高くなります。

日経225ETFの例で言えば、株価が40,000円前後の水準のときには、権利行使価格40,000円のプットの価値は大してありませんが、いざ暴落が起きて日経平均が32,000円になったときには、40,000円でETFを売却できるという権利であるプットの値段は、8,000円近くに跳ね上がるということです。

実際、2024年7月31日時点で日経225ETFの権利行使価格40,000円の8月限プットは1口あたり400円程度で買うことができましたが、8月5日の大暴落で日経225ETFの値段が32,830円になったときには、なんと、1口あたり7,170円という値段になっていました。(図8-1)つまり、「株価が下がれば、その株のプットの値段は上がる」という関係性があるということです。

■図8-1:日経225ETFの価格と権利行使価格40,000円の8月限プットの価格の推移

この「株価が下がれば、その株のプットの値段は上がる」という性質を利用して、株価下落時にプットを買ってみましょう。

例えば、上記図8-1の青い線を見ると、7月23日から7月26日にかけて日経225ETFの値段が2,000円ほど下落していることがわかります。一方、図8-1のピンクの線はプットの値動きで、この間プットの値段は上がっています。仮に7月23日にプットを1枚353円で100口分買っておいたとしましょう。買ったプットは7月26日には1,397円に値上がりしました。この日にプットを売却すれば、利益は

( 1,397円 - 353円 ) × 100 = 104,400円

です。プットを買うのにかかるお金は

353円 × 100口 = 35,300円

ですから、収益率は3日間で

104,400円 ÷ 35,300円 = 296%

となります。このように、プットを買うという戦略を知っているだけで、暴落も収益のチャンスとなります。

読者の皆さまの中には、株価が下がると予想しているなら信用取引によって株を売ればよいではないかとお考えの方もいらっしゃるでしょう。確かにその方法もありますが、信用取引にはプットの買いに比べていくつかのデメリットがあります。

まず、委託保証金や貸株料といったお金がかかりますし、空売りした後、予想がはずれて株価が上昇すれば、かえって損失を広げることにもなりかねません。株価に天井はありませんから、信用売りではいくらの損が出るかわかりません。

その点、プットの買いであれば、プットの買い代金は通常、信用取引にかかる諸経費の額よりも十分に小さく、必要経費を抑えることができます。また、予想に反して株価が上昇したとしても、買ったプットの値段が値下がりする以上の損はありませんから、損失は限定的です。

例えば3万円のプットを買った場合、損をしても最大3万円までということです。株価下落時にはプットの買いによって、資金効率よく、かつ損失限定で利益を狙うことができるというわけです。ただし、オプションには取引の期限があるということを忘れずに、利益が出たらすぐに確定するように気を付けてください。

このコラムをもっと早く読みたかった!と思ったみなさん、今後も相場が大きく上下することもあるでしょうから、もしまた、暴落が来たときは、この戦略を思い出し、立ち向かってください。健闘を祈念しています。

(株式会社シンプレクス・インスティテュート)

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