こよみ ~コールセンターからの、ちいさなよみもの

米国の証券取引の決済短縮化。日本の投資信託への影響は?

提供元:日興アセットマネジメント

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※この記事は2024年8月16日公開の日興アセットの「こよみ」を引用、一部編集しています。

2024年5月28日、米国における「証券取引の決済日」が短縮されました。遠い米国で行なわれた制度変更ですが、米国の株式や社債、ETFなどに投資する日本の投資信託にも少なからず影響があります。

日興アセットでも運用の効率性を高める手当てを行なっていますが、報道などでも大きく取り扱われていないトピックなので、お客様から多くのお問い合わせをいただいています。そこで今回は、この制度変更の背景や影響について、ご紹介したいと思います。

証券取引の決済日とは?

「証券取引の決済日」とは、売買した株式などの所有権と代金の移転が完了する日のことです。売買と決済は、同時に行なわれそうなイメージですが、大量の注文を取引所や清算機関などがミスなく効率よく執行するための期間が設けられています。

決済期間は、近年、短縮化が進んでおり、日本の株式市場でも、2019年7月から、世界の主要市場と同様に「約定日から2営業日後(T+2)」に決済が行なわれるようになりました。そして、2024年5月下旬からは、米国やカナダ、メキシコが、「約定日から1営業日後(T+1)」へと決済の短縮化に動きました。

※欧州や英国、オーストラリアでも 「T+1」への移行に向けた検討が進んでいます。

決済短縮化の背景

米国において決済短縮化の動きの機運が高まった背景には、新型コロナウイルス禍で起こった「ミーム株(はやりの株)騒動*」があります。 証券会社は、自社が破綻などにより決済できない場合に備えて、売買から決済までに要する期間(2営業日)に応じた証拠金を、清算機関である米証券保管振替機関 (DTCC)に差し入れることが義務付けられています。

しかし、2021年1月の騒動では、 一部の銘柄の株価が異常な上昇を見せたことで、新興オンライン証券会社のロビンフッド社が、追加の担保を確保するために取引を停止。株価がピークとなるタイミングでの取引制限であったため、多くの投資家が損失を被ることとなりました。

*ミーム株騒動: オンライン掲示板で人気が高まったゲームストップ社などの株式が、投機的な取引により乱高下した結果、多くの投資家が損失を被ることになった騒動のことです。

※上記銘柄について、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。また、当社ファンドにおける保有・非保 有および将来の銘柄の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。

決済短縮化のメリットとデメリット

決済までの期間が短くなれば、証券会社が準備する証拠金が少なくなる上、いざという時に証券や代金が受け取れないといった「カウンターパーティリスク」を抑えられることも期待されます。そのため、今回の決済短縮化は、投資家保護につながると考えられています。

その一方で、決済までに至るプロセスをより短い時間でこなさなければならなくなるため、手続き上のミスが起こりやすくなったり、不正防止にかけられる時間が短くなるといった「オペレーショナルリスク」が高まる可能性があるとされています。

日本の投資信託への影響は?

米国における決済の短縮化は、米国の株式やETFなどに投資をする日本の投資信託にも影響があります。その影響は、指数等との連動性を意識して運用されるインデックスファンドを中心としたもので、日興アセットのファンドに限ったものではありません。

これまでは売買から決済までの期間が同じであったため、投資家から受け取った購入代金を、株式等の約定代金に充てることができていました。しかし、決済短縮化によって株式等の決済が早まるため、投資信託が受け取る代金をその代金に充てることができなくなります。 そのため日興アセットでは、約定時の資金決済が必要な株式やETFなどの代わりに、 約定時の資金決済が必要ない先物取引を一部活用することで資金不足を防ぐなど、効率的な運用のための様々な対応を行なっています。

(日興アセットマネジメント)

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