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新興国投資のリスクとは?

提供元:アイザワ証券

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前回の記事では、新興国投資の必要性について説明させて頂きました。

世界の経済規模(名目GDP)は、今世紀に入り20年間で約2.5倍に増加し、時価総額も比例して増加しており、特にインドやベトナムなどの新興国の経済規模と時価総額の成長が著しいこと。そのため、対照的に少子高齢化の影響により成長が低迷している日本や他の先進国よりも高い投資リターンが期待できる点です。

今回は新興国投資のリスク(課題)について考察したいと思います。
筆者の経験では、債券・株式と問わず海外への投資は為替リスクがあり、価格変動が大きくなります。特に新興国の為替市場は、不安定な政治、高いインフレ率等の要因により先進国と比べ変動が大きくなる傾向にあります。
そんな海外投資の成否を左右する為替に大きな影響を与えている最大要因の一つが米国の金利です。

ニューヨークやロンドンと同様に東京証券取引所も日本国内に限らず世界の金融市場として機能しております。しかしながら世界最大の経済規模と金融市場を抱える米国は世界の運用の中心的な位置を占めています。そのため、世界の運用担当者の求める投資リターンの基準が米国の金利に連動します。

債券・株式の別を問わず金融市場というものは、お金を調達したい側と運用したい側の双方を仲介する役割を果たしています。経済が急拡大している新興国は、お金を調達したい起業家や若い人が多く、反対に高齢化の進んだ先進国ではお金を運用したい企業や資産家層が多い国といえます。

投資の需要と供給を調整する米国の金融市場で金利が高い場合は、米国内で十分に高い投資リターンが得られるため、ドルが買われドル高となりがちです。また新興国や企業にもドルベースで高リターンが求められます。日本でも2024年7月の歴史的な円安は話題となりましたが、背景には日米の金利差が影響していると言われています。

逆に米国の金融市場で金利が低くなると米国内で十分に高い投資リターンが得られないため、ドルが売られドル安となりがちです。また新興国や企業は金利が高い時よりも良い条件で資金を調達できます。そのため、米国の金利次第で新興国の景気や企業業績に影響を与えてしまいます。つまり、新興国投資にとって、米国の金利が為替や企業業績へ与える影響がリスクとなるということです。

参考として、下図からも米国の政策金利が底打ちすると新興国の株価指数が上昇する局面が多い事が読み取れると思います。

(アイザワ証券)

著者/ライター
今井 正之
アイザワ証券株式会社 市場情報部
CIIA®(国際公認投資アナリスト)、CFP、1級FP技能士

ベトナムをはじめとするアジア新興国市場の分析を担当。豊富な現地調査経験に基づいた独自の視点から、投資家の皆様にアジア株を解説、紹介しています。
現在、都内でテレビ放送されている株式情報番組『ストックボイス 東京マーケットワイド』に毎週火曜日13:30よりレギュラー出演中。
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