米国大統領選挙の仕組みとは?歴代大統領や2024年候補者も紹介

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米国大統領選挙が、2024年11月5日に実施されます。共和党からはドナルド・トランプ氏、民主党からはカマラ・ハリス氏が立候補予定です。

本記事では、米国の二大政党の概要を説明した上で、米国大統領選挙の仕組みや主な歴代大統領、今回の候補者について解説します。

米国大統領選挙を決める上で重要な二大政党とは

米国大統領選挙を理解するためには、米国(アメリカ合衆国)の二大政党を把握しておかなければなりません。

二大政党とは、米国の主要政党である共和党(Republican Party)と民主党(Democratic Party)のことです。無党派層も一定数存在しますが、一般的に米国民はどちらかの政党を支持しています。

1852年の大統領選挙で民主党のフランクリン・ピアース(第14代大統領)が勝利して以降、米国では、1世紀以上にわたって二大政党のどちらかの候補者が大統領に就任しています。そのため、基本的に米国では二大政党のどちらかの候補者が大統領に就任すると理解してよいでしょう。

ここから、各党の特徴を簡単に紹介します。

共和党

米国の共和党は、1854年に結党された政党です。「ゾウ」や「赤」をシンボルにしており、主に農業地域や南部に支持層がいます。

一般的に、伝統的な価値観(保守)や小さな政府を主張する点が、共和党の特徴です。ただし、リンカーンが大統領の時代には、進歩的な政策を推進していました。

リンカーン以外で共和党の主な歴代大統領は、ニクソン(第37代)やレーガン(第40代)などです。

民主党

米国の民主党は、第7代大統領であるジャクソンの支持者を中心に結党された政党です。「ロバ」や「青」がシンボルで、大都市が集う東海岸・西海岸を中心に支持層がいます。

一般的に、リベラルな立場や大きな政府をアピールする点が、民主党の特徴です。例えば、オバマ元大統領(第44代)は、医療保険制度の改革法案(オバマケア)を推進しました。

ジャクソン・オバマ以外で民主党の主な歴代大統領は、フランクリン・D・ルーズベルト(第32代)やケネディ(第35代)などです。

米国大統領に立候補するための条件

米国大統領に立候補するための条件は、以下の通りです。

・米国生まれの米国民(合衆国市民)
・35歳以上
・14年以上米国に住んでいる

上記の条件を満たさない限り、大統領に就任できないことがアメリカ合衆国憲法の第2条第1節で規定されています。

なお、米国大統領選挙で投票する側も、条件(「米国民であること」「18歳以上であること」「有権者として登録していること」)を満たさなければなりません。

米国大統領選挙の仕組み・流れ

米国大統領選挙の仕組み・流れは、以下の通りです。

1.予備選挙・党員集会で候補者を絞り込み
2.全国党大会を実施して各党の大統領候補を決定
3.本選挙を実施して米国大統領を決定

ここから、各段階で進める手続きについて、詳しく解説します。

1. 予備選挙・党員集会で候補者を絞り込み

米国大統領選挙に向けて、各党が予備選挙や党員集会で候補者を絞り込みます。

予備選挙は有権者である党員らが候補者に票を入れる作業で、党員集会は党員が議論して候補者を絞り込む作業のことです。予備選挙や党員集会の結果に基づき、「代議員」の数が決まります。

なお、予備選挙は2〜3月の火曜日に集中することが近年の傾向です。その中でもとくに集中する日のことを「スーパーチューズデー」(2024年は3月5日)と呼びます。

2. 全国党大会を実施して各党の大統領候補を決定

米国の全州で予備選挙・党員集会を終えて代議員が決まったら、全国党大会を実施します。

全国党大会とは、各党が指名候補者を決める会合のことです。各州で選出された代議員が全国党大会で投票し、大統領候補を決めます。

全国党大会は、メディアでも取り上げられる一大イベントです。全国党大会の結果を受けて、各党が本選挙に向けて活動を本格化させます。

3. 本選挙を実施して米国大統領を決定

4年に1度、11月の第1月曜日の翌日の火曜日(2024年は11月5日)に、米国大統領の本選挙が実施されます。

本選挙とは、有権者が候補者に投票して米国大統領を決める選挙のことです。本選挙では、有権者が票を投じた選挙人が、米国大統領候補者に投票する「間接選挙」の形式がとられています。

米国大統領選挙では、州によって選挙人の数が決まっており、基本的に勝利者はその州の選挙人をすべて獲得できる点がポイントです。そのため、獲得する州次第では、全体の得票数が下回っている候補者が当選することも起こりえます。

なお、本選挙には二大政党以外からも出馬可能です。

歴代の主な米国大統領

米国では、これまでに46人の大統領が誕生してきました(2024年7月31日時点)。その中でも、とくに日本の教科書やメディアなどで取り上げられる機会の多い大統領が、以下の通りです。

・ジョージ・ワシントン(初代大統領)
・エイブラハム・リンカーン(第16代大統領)
・フランクリン・D・ルーズベルト(第32代大統領)
・ジョン・F・ケネディ(第35代大統領)
・ロナルド・レーガン(第40代大統領)

各大統領の掲げた政策などについて、紹介します。

初代大統領ジョージ・ワシントン

ジョージ・ワシントンは、独立戦争で総司令官を務めて米国を勝利に導き、英国からの独立を達成した人物です。

戦後、憲法制定会議では議長を務めたのち、1789年から初代米国大統領に任命されています。4年後米国大統領選挙に再選し、1797年まで在任しました。米国誕生における功績から、ワシントンはしばしば「建国の父」と称されることがあります。

第16代大統領エイブラハム・リンカーン

エイブラハム・リンカーンは、イリノイ州で弁護士として活躍したのち、第16代米国大統領に就任した人物です。リンカーンが大統領に就任した直後に、米国の南部の州が合衆国から脱退して南北戦争が始まりました。

当初、南軍が優勢でしたが、リンカーンが南部の奴隷を直ちに解放することを宣言した「奴隷解放宣言」に署名したことをきっかけに、北軍の勝利につながりました。また、リンカーンは南北戦争中にゲティスバーグでの演説で、「人民の、人民による、人民のための政治」という言葉を残したことでも知られています。

第32代大統領フランクリン・D・ルーズベルト

フランクリン・D・ルーズベルトは、ニューヨーク州で知事を務めたのち、第32代米国大統領に就任した人物です。世界恐慌の際には、不況を克服することを目的としてニューディール政策を推進しました。

ニューディール政策の考え方には、ケインズ経済学の概念が深く関わっています。ケインズ経済学について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

ケインズ経済学とは何かわかりやすく解説!有効需要の概念も説明

第35代大統領ジョン・F・ケネディ

ジョン・F・ケネディは、第二次世界大戦で海軍に従事したのち、セオドア・ルーズベルトに次いで史上2番目の若さ(43歳)で第35代米国大統領に就任した人物です。在任中は、米ソの緊張が高まった「キューバ危機」に対応しています。

なお、2024年の米国大統領選挙に無所属で立候補予定のロバート・ケネディ・ジュニア氏は、ロバート・ケネディ元司法長官の息子で、ジョン・F・ケネディのおいにあたる人物です。

第40代大統領ロナルド・レーガン

ロナルド・レーガンはハリウッド俳優として活動してから政界入りし、第40代大統領に就任した人物です。在任中は、「強いアメリカ」や「小さな政府」を推進しました。

レーガンが進めた大規模減税・政府規制の緩和・通貨供給の抑制・政府支出の削減などの政策は、「レーガノミクス」と呼ばれています。レーガノミクスを含む、新自由主義の概要については、以下の記事を参考にしてください。

新自由主義とは何かわかりやすく説明!自由主義との違いも解説

2024年大統領選挙の主な候補者

2024年、米国大統領選挙の主な候補者は、以下の通りです。

・ドナルド・トランプ(共和党)
・カマラ・ハリス(民主党)

各候補者の特徴を紹介します。

【共和党】ドナルド・トランプ

ドナルド・トランプは、不動産業で活躍して「不動産王」と呼ばれたのち、政治経験のないまま2016年に第45代米国大統領に就任した人物です。在任中は「アメリカを再び偉大な国に」をスローガンに、保護主義的政策を打ち出してきました。

2020年には選挙で民主党のジョー・バイデンに敗れて米国大統領を退任しましたが、2024年米国大統領選挙への出馬を表明し、共和党の全国大会で大統領候補に正式指名されています。

【民主党】カマラ・ハリス

カマラ・ハリスは、検察官・州の司法長官を務めたのち上院議員になり、2020年に第46代米国大統領のジョー・バイデンから副大統領に指名されました。2024年7月31日時点において、ハリスは女性・黒人・南アジア系米国人で初めて副大統領に選ばれた人物です。

当初、2024年の米国大統領選挙で、民主党からはバイデンが立候補する予定でした。しかし、バイデンが選挙戦からの撤退を表明したことに伴い、ハリスが民主党の正式な大統領候補に選ばれています。

米国大統領は11月の本選挙で決まる

4年に1度ある米国大統領選挙(本選挙)は、11月の第1月曜日の翌日の火曜に実施されます。2024年は、11月5日が本選挙の実施日です。

米国の二大政党である共和党からはドナルド・トランプ氏、民主党からはカマラ・ハリス氏が立候補します。次期大統領が誰になるかは、日本の政財界も注目する重要なトピックです。

今後の米国大統領選挙の行方に注目しましょう。

参考:NHK NEWS WEB「アメリカ大統領選挙2024」
参考:AMERICAN CENTER JAPAN「政党―早わかり『米国の選挙』」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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