かぶオプコラム
【かぶオプコラム】第10回:ちょっとお得な指値買い戦略「カバード・コール」とは
提供元:株式会社シンプレクス・インスティテュート
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【かぶオプコラム】
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第9回:プット?コール?もう迷わない!かぶオプの基礎知識をサクッとマスター
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「このコラムでは、株式投資をより効率的にしてくれる仕組み『かぶオプ』について連載でお伝えしてゆきます。」
以前の第4回「株式投資で後悔しない!株の買いを予約する方法1」では、コールを買うことで、予め決めておいた値段で将来株を買うことができるという話をいたしました。
この話にはコールの買い手しか登場しませんでしたが、実際にはコールを売る人もいなければ取引は成立しません。コールの買い手が株を買う権利を手にしているということは、反対にコールの売り手には将来、株を売る義務が発生する可能性があります。実は、コールの売り手がこの「株を売る義務」を逆手に取って、利益を受け取りながら株を売るという方法があります。その戦略のことを「カバード・コール」と呼びます。今回はこの「カバード・コール」について例え話を使ってご紹介します。
Aさんは、ソフトバンクグループの株を保有しています。ソフトバンクグループ(コード9984)の株価は9月26日には8,890円程度でした。Aさんはこの株を7,000円で買っていたので十分に利益が出ており、9,000円を超えたら売却しようと思いました。
そこで、Aさんはある方法を思いつきます。その方法とは、「10月限行使価格9,000円のソフトバンクグループのコールを売る」というものです。10月限の最終日にコールの買い手が行使価格9,000円で株を買うことができるということは、そのコールの売り手のAさんは逆に9,000円で株を売ることになるはずだからです。そこでAさんはソフトバンクグループの10月限行使価格9,000円のコールを1株につき200円で売りました。
さて、10月限の最終日に、Aさんが保有していたソフトバンクグループの株はどうなったのでしょうか。10月限取引最終日(10月10日)のソフトバンクグループの終値は9,041円でした。行使価格9,000円のソフトバンクグループのコールの買い手は、権利を行使し1株につき9,000円で株を買うことができます。しかし、Aさんはそのコールを売っているのですから、コールの買い手とは逆の立場で、1株につき9,000円で株を売らなければなりません。そこでAさんはもともと保有していたソフトバンクグループの株を9,000円で売却しました。
この時点で、Aさんは以前から9,000円で売りたいと思っていたソフトバンクグループの株を無事に9,000円で売ることができました。しかも実は利益は株の売却益だけではなく、コールを売った代金の200円も受け取っています。つまり、コールの売り代金200円を足し合わせると、1株当たり9,200円で売ったのと同じ利益になりました。つまり、1株9,000円の指値で売る代わりに、行使価格9,000円のコールを売ることによって、コールの売り代金200円という追加の利益を受け取りながら9,000円の指値注文を出しているような取引ができたというわけです。
もちろん、Aさんがソフトバンクグループの株を持っていなければ、将来株を売るという義務を果たせないので、こんなことはできません。あるいは、持っていたソフトバンクグループの株を9,000円よりもさらに高い値段で売りたいと思っているのであればこのような戦略をとるべきではないでしょう。しかし、9,000円で売りたいという株があるという場合には、指値売りの代わりに権利行使価格9,000円のコールを売って株を売るという選択肢もあるということです。このように、株を持っている人がコールを売って、コール売りの利益を受け取りながら株を売る方法のことを「カバード・コール」といいます。
カバード・コールは「少しお得な指値売り」とも言われている戦略です。株が売れるかどうかは取引最終日にコールが行使されるかどうかによるため、確実に株が売れるわけではありません。その不確実さがある代わりに、コールの売り代金という追加の利益を受け取りつつ、株の売りができるお得な戦略です。
次回も引き続き詳しくカバード・コールについて説明します。カバード・コールについて詳しく知りたい方はこちらの動画もぜひご覧ください。
かぶオプ入門第1弾 カバード・コール
(株式会社シンプレクス・インスティテュート)
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