証券アナリストとはどんな資格?仕事内容や試験の概要を紹介

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日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)とは、金融や投資におけるプロフェッショナルの証を示す資格です。取得するためには、対象の教育講座を受講したうえで試験に合格し、一定の要件を満たさなければなりません。

本記事では、証券アナリストの仕事内容や試験概要などについても詳しく解説します。

証券アナリストとは

証券アナリストとは、金融や投資におけるプロフェッショナルのことです。株価が対象会社の実力を正しく表しているかなどを分析します。

また、基本的に日本証券アナリスト協会が認定する資格、CMA(Certified Member Analyst of the Securities Analysts Association of Japan)を取得している人を証券アナリストと呼ぶことが一般的です。CMAを取得するためには、対象の教育講座を受講したり、試験に合格したりしなければなりません。

証券アナリストの仕事内容

証券アナリストの主な仕事内容は、金融商品の投資を検討している顧客に対して助言・サービスを提供することです。さまざまな情報・データを取得したうえで投資対象の価値を分析し、レポートなどを作成します。

証券アナリストは、銀行や証券会社などの金融機関に属することが一般的です。ただし、CMAを取得した人は証券アナリストに限らず、企業や産業を調査するリサーチアナリストや経済を分析するエコノミスト、事業会社の財務担当者などさまざまな分野で活躍する機会があります。

証券アナリストになる方法

証券アナリストになるためには、さまざまなステップを踏まなければなりません。証券アナリストになるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

・第1次レベル講座を受講する
・第1次試験に合格する
・第2次レベル講座を受講する
・第2次試験に合格する
・3年以上の実務経験を積む
・証券アナリスト協会に入会する

それぞれの内容について、詳しく解説します。

第1次レベル講座を受講する

証券アナリストの資格であるCMAを取得するには、まず第1次レベル講座を受講します。第1次レベル講座は、年齢や学歴などの制限がなく、誰でも受講可能です。

講座を申し込んだら、講座テキストを使用して6分野を学んでいきます。学習分野は、以下の通りです。

・証券分析とポートフォリオ・マネジメント
・財務分析
・コーポレート・ファイナンス
・市場と経済の分析
・数量分析と確率・統計
・職業倫理・行為基準

なお、デジタル教材を使って、過去の試験問題も学習できます。

第1次試験に合格する

第1次レベル講座の受講を終えたら、第1次試験の3科目(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)すべてに合格しなければなりません。各試験科目は、以下のように第1次レベル講座で学ぶ内容に沿って出題されます。

・Ⅰ〜証券分析とポートフォリオ・マネジメント(170点満点、試験時間170分)
・Ⅱ〜財務分析、コーポレート・ファイナンス(100点満点、試験時間100分)
・Ⅲ〜市場と経済の分析、数量分析と確率・統計、職業倫理・行為基準(90点満点、試験時間90分)

第1次試験は第1次レベル講座を受講した年度の翌年から受験可能です。試験は年に2回(春・秋)実施しています。

なお、2024年6月6日に日本証券アナリスト協会が発表したデータによると、2024年春の合格者の比率は46.5%でした。2023年は春に46.4%、秋に50.5%であったため、50%前後が第1次試験合格率の目安といえるでしょう。

第2次レベル講座を受講する

第1次試験に合格したら、合格した年度を含めて3年以内に第2次レベル講座を受講します。誰でも受講可能な第1次レベル講座と異なり、第2次レベル講座はCMA第1次試験の3科目すべてに合格した人しか受講できません。

第2次レベル講座の学習分野は、第1次レベルと同じです。ただし、第2次レベル講座では実践的な応用力を養うことが求められます。

第2次試験に合格する

第2次レベル講座の学習を終えたら、第2次試験を受験して午前・午後両方の科目に合格しなければなりません。

試験では、講座で学ぶ学習分野と同じ範囲から出題されます(午後は「職業倫理・行為基準」なし)。試験時間はいずれも180分(180点満点)です。

第2次試験は、第2次レベル講座を受講した年度の翌年から受験できます。ただし、第1次試験と異なり年に1回しか実施していません。

なお、2024年8月15日に日本証券アナリスト協会が発表したデータによると、2024年の第2次試験合格率は44.6%、2023年は46.7%でした。

3年以上の実務経験を積む

証券アナリストになるためには、第2次試験に合格するだけでなく、3年以上の実務経験を積んでいることも必要です。主な実務経験として、以下のケースが挙げられます。

・金融機関で資産運用・証券投資相談業務を経験した
・金融機関でリサーチレポートを作成していた
・証券・債券・株式・不動産への投資業務を経験した
・法人向け投資・融資や、与信審査を経験した

なお、証券分析に関する学識経験者は、3年以上の実務経験を必要としません。

証券アナリスト協会に入会する

第2次試験への合格や3年以上の実務経験などの要件を満たせば、日本証券アナリスト協会検定会員として入会可能です。検定会員として入会することにより、CMA資格を取得できます。

なお、第2次試験合格段階で実務経験が3年未満の場合でも、その後実務経験が3年に達したらいつでも入会可能です。また、名刺に記載して合格をアピールしたい場合は、「検定会員補」として登録する方法もあります。

証券アナリストの資格を取得して役立つこと

証券アナリストの資格(CMA)を取得して役立つことは、主に以下のとおりです。

・就職や転職などでアピールできる
・資格勉強で得た知識が実務や投資に役立つ

それぞれ解説します。

就職や転職などでアピールできる

証券アナリストの資格を持っていれば、就職や転職でアピールできます。

CMAの講座で学ぶ内容は、投資価値の分析・評価に関するスキルに限らず、企業財務の知識や資本市場・金融商品の仕組み、ファイナンス理論などさまざまです。そのため、一般の事業会社のように金融機関以外への転職を目指す場合でも、証券アナリストの取得にあたって体系的に幅広い分野について学んだことを面接で伝えることで、ほかの応募者との差別化を図れるでしょう。

資格勉強で得た知識が実務や投資に役立つ

証券アナリストの資格勉強で得た知識は、現在勤務している会社での実務にも役立ちます。企業価値の算出や将来価値の予測に関する知識を身につけていれば、自社がM&Aを検討する場面や財務分析をする場面などで活躍できるでしょう。

また、証券アナリストの資格を取得する過程で、投資データの分析やポートフォリオの構築などに関する知識も身につきます。その結果として、個人で株式投資などをする場面にも役立つでしょう。

なお、ポートフォリオの意味について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

投資に必要なポートフォリオとは?意味や例をわかりやすく解説

証券アナリストの資格を取得するコツ

証券アナリストの資格を取得するコツは、主に以下のとおりです。

・試験の特徴を理解しておく
・計算問題をこなす

それぞれ解説します。

試験の特徴を理解しておく

試験の特徴を理解したうえで、証券アナリストの資格勉強に取り組みましょう。過去問を繰り返し解くことにより、問題の傾向がつかめます。

また、仕事と両立して限られた時間の中で効率よく学習するには、各科目の配点などを考慮し、勉強の優先順位をつけることが必要です。例えば、第2次試験の場合、どれだけ総得点が高くても「職業倫理・行為基準」の得点が一定水準に達しなければ不合格となります。

計算問題をこなす

計算問題をできるだけ多くこなすことも、証券アナリストの資格を取得するコツです。

第1次試験、第2次試験いずれも、計算問題が出題されます。また、第1次試験はマークシートであるのに対し、第2次試験では記述式での解答によるため、より深い理解が必要です。

テキストを読んで理解したつもりになっても、実際に試験で解答できないことがあります。例題や過去問などで、自ら計算する習慣をつけておきましょう。

証券アナリストは投資や経営に役立つ資格

一般的に、証券アナリストとはCMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)の資格を取得している人を指します。CMAの資格を取得するにあたって、証券分析や財務分析など幅広い分野について学ぶため、取得すれば金融機関はもちろん、一般の事業会社でも活躍できる機会を得られるでしょう。

CMAを得るまでには、第1次レベル講座の受講・第1次試験に合格する・第2次レベル講座の受講・第2次試験に合格するなどが必要です。投資や経営に役立てるため、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。

参考:公益社団法人 日本証券アナリスト協会「CMAとは」
参考:公益社団法人 日本証券アナリスト協会「資格・教育体系」
参考:職業情報提供サイト(日本版 O-NET)jobtag「証券アナリスト」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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