プロが語る!資産形成のすゝめ

知りたい、ハーバード大学のポートフォリオ

提供元:野村證券(FINTOS!編集部)

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ハーバード大学は、米国にある世界有数の名門大学で、優れた教育や研究を提供し、各方面に大きな影響力のある教育機関です。大学が運営する投資基金であるハーバード大学基金は、寄付金やその他の収入を基に形成され、大学の持続可能な運営と教育・研究の質を支える重要な基盤となっています。

米国の大学として最大規模の数百億ドルの資産を運用しているこの基金の投資戦略とは、どのようなものでしょうか。

基本方針は、多様な資産クラスへの分散投資を通じて、長期的に安定したリターンを追求します。なかでも、オルタナティブとも呼ばれる「代替資産」への投資割合が高いことが大きな特徴です。

ハーバード大学基金の運用資産配分状況(2024年6月末時点)

(注1)数値は2024年6月末時点の残高ベースの値。(注2)右図の「伝統的資産」は、左図の先進国株式、新興国株・債券、先進国債券、ハイイールド債、インフレ連動債、現金・レポ取引等を、「代替資産」はそれ以外の項目を指す。
(出所)Harvard University「2023-2024 Annual Financial Report」より野村證券投資情報部作成

2024年の基金の運用状況の中身において、上場株式、債券といったいわゆる伝統的な資産の割合は25%にとどまります。

では残りの75%は何に投資しているかというと、ヘッジファンドや、未公開株とも呼ばれるプライベートエクイティなど、「これまでの伝統的な資産に代替される新しい対象先」に投資をしています。

なぜこのような投資手法を取っているのでしょうか?それはリスクの分散を徹底するためです。

かつて株式と債券は反対の推移をする時代が長くありましたが、2008年に起きたリーマンショックでは、株式も債券も同時に大きく下落しました。そのような局面でも安定的なリターンを実現するべく、これらの資産とは異なる値動きをする投資対象を資産運用先として組み入れることで、リスクを管理しています。

ハーバード大学基金の残高と年率リターンの推移

(注1)数値は各年6月末時点の残高ベースの値。(注2)数値は翌年のレポートで見直されている場合があるが、他の項目との整合性を考慮し、発表当初の値をそのまま使用している。
(出所)Harvard University「2023-2024 Annual Financial Report」より野村證券投資情報部作成

基金では、リーマンショックが起きる直前の2008年6月末当時、伝統的資産が運用資産額に占める割合は4割を超えていました。秋にリーマンショックが起き、この年度のリターンは-27.3%と大きなマイナスを記録しました。その後は、リスク分散のために代替資産への投資を増やしたことなども影響してリターンはおおむねプラス圏の領域で推移、2024年のリターンは+9.6%となりました。

基金の2000年から2024年までの25年間の平均リターンは+9.7%、残高は191億ドルから532億ドルへと2.8倍に増えました。

そしてこのハーバード大学基金からの大学への資金配分は、2024年においては大学が必要とする1年間の予算、約64億ドルの内の約37%を占めており、授業料や研究による収入を抑えて、大学を支える最大の収入源となっています。

このようなハーバード大学基金の「徹底した分散投資」の方針は、個人投資家にとっても参考になることがありそうです。

ご投資にあたっての注意点

著者/ライター
丹羽 紘子
野村證券投資情報部 ストラテジスト

2013年より投資情報部に在籍し、テクニカル・アナリストとしてチャート分析に携わる。2024年からは金融リテラシーに関するコンテンツを作成。わかりやすい解説を心がけている。
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