かぶオプコラム
【かぶオプコラム】第12回:ちょっとお得な指値買い戦略「ターゲット・バイイング」とは
提供元:株式会社シンプレクス・インスティテュート
【かぶオプコラム】
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第11回:「カバード・コール」で一歩進んだ投資家になろう
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「このコラムでは、株式投資をより効率的にしてくれる仕組み『かぶオプ』について連載でお伝えしてゆきます。」
第10回と第11回では、かぶオプを利用して保有株をお得に売るカバード・コール戦略をご紹介しました。今回からは、かぶオプを使ってお得に株を買う戦略である「ターゲット・バイイング」をご紹介します。
今回の戦略ではもう一つのオプションであるプットを利用します。プットを買っておけば、予め決めておいた値段(=行使価格)で将来株を売ることができます。逆にプットを売っていると、将来、行使価格で株を買う義務が発生する可能性があります。プットの売り手が「株を買う義務」を利用して、プットの売り代金を受け取りながら株を買うのが「ターゲット・バイイング」戦略です。
■図12-1 プットの買い手と売り手
ではさっそく具体例で考えてみましょう。Aさんは、日本製鉄(5401)の株を保有しています。日本製鉄の株価は11月20日頃には3,115円程度でしたが、その後月末にかけて下落しはじめました。このまま値下がりが続くと嬉しい気持ちはしません。そこで、Aさんは、12月限行使価格3,100円のプットを買うことにしました。プットを買うのに1株あたり79円支払いました。
一方、Bさんは日本製鉄の株に注目しており、3,100円を割れたらこの株を買いたいと考えています。そこで、Bさんは次のような戦略をとることにしました。その戦略とは、「12月限行使価格3,100円の日本製鉄のプットを売る」というものです。プットの買い手が最終日に行使価格3,100円で株を売ることができるということは、そのプットの売り手のBさんは逆に3,100円で株を買うことになるはずだからです。プットを売ったBさんは、プットの売り代金として1株当たり79円を手にしました。
さて、12月限の最終日に何が起きたのでしょうか。12月12日の日本製鉄の終値は3,066円でした。プットの買い手であるAさんは、プットを行使して保有株を3,100円で売ることができました。買っておいたプットが下落に対する保険として機能したと言えます。
一方、Bさんはプットを売っていたので、この時点で1株につき3,100円で日本製鉄の株を買わなければなりません。こうして、Bさんは以前から買いたいと思っていた日本製鉄の株を1株あたり3,100円で買うことができました。さらに言えば、プットを売った代金の79円は予め受け取っていますから、プットの売り代金79円を差し引けば、1株当たり3,021円で株が買えたことになります。
3,100円を割れたところで買えればよいと思っていましたが、それよりもさらに安く株が買えたといえるでしょう。プットを売ることによって、利益を受け取りながら3,100円の指値買い注文を出しているような取引ができたというわけです。
今回のBさんのように、株を買いたいときに、買いたい銘柄のプットを売って、プットの売り代金を受け取りながら株を買う方法のことを「ターゲット・バイイング」といいます。この場合、株を買う狙いがあるのですから、プットを売る前に株を買う代金は口座に用意しておかなければいけません。そのうえで、指値買い注文を出す代わりに、プットを売って株を買うという選択肢もあるということです。
ターゲット・バイイングは「少しお得な指値買い」とも言われている戦略です。株が買えるかどうかは取引最終日にプットが行使されるかどうかによるため、確実に株が買えるわけではありません。その不確実さがある代わりに、プットの売り代金を受け取りつつ、株を買えるお得な戦略です。
次回も引き続き詳しくターゲット・バイイングについて説明します。ターゲット・バイイングについて詳しく知りたい方はこちらの動画もぜひご覧ください。
かぶオプ入門第2弾 ターゲット・バイイング
(株式会社シンプレクス・インスティテュート)
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