年金受給者にも「壁」はある
【知らないと損】50万円、158万円、211万円、277万円…「年金版・年収の壁」
提供元:Mocha(モカ)
年金版・年収の壁(4):【277万円・222.5万円】公的医療保険料の軽減措置の対象外に
国民健康保険料(均等割・平等割)や後期高齢者医療保険料(均等割)もまた、前年の総所得金額等に基づいて、7・5・2割軽減する措置が設けられています。それぞれの軽減割合における所得要件と年金額の目安は、次の表のとおりです。
<軽減割合別の所得要件(2024年度)>
単身世帯では、所得が97.5万円(43万円+54.5万円×1人)以下であれば、2割の軽減措置が受けられます。そして、それに対応する年金額222.5万円とは、公的年金等控除110万円、および公的年金等控除を受ける65歳以上を対象とした特別控除15万円を、97.5万円に足したものです。
上の表ではさらに、夫と妻それぞれの年金額が、277万円と135万円以下であれば2割軽減が受けられることを紹介しました。判定に用いる夫と妻の所得額はそれぞれ、152万円(277万円-110万円-15万円)と10万円(135万円-110万円―15万円)で、合計162万円。妻も年金所得者の人数に含めた上で所得要件に照らし合わせると、162万円(43万円+1×10万円+54.5万円×2名)と一致することから、一つのボーダーラインとして押さえておくとよいでしょう。
「年収の壁」と賢く向き合い、理想の老後を描こう
今回は、年金暮らしにおける「年収(年金額)の壁」を4つ紹介しました。最後に改めて強調すべきは、年金受給者に対する税金や社会保険料は、(65歳以上は特に)その負担に配慮する措置が設けられているということです。
2025年1月時点で取りざたされている、基礎控除額や在職老齢年金の支給停止基準額の引き上げもまた、その実現が早くも期待されます。一方で、「年収の壁」を意識しすぎて、就労の抑制もしくは年金額を増やす選択(繰り下げ受給等)を放棄するといった動きが、長い目で見ると望ましくない場合があるので注意が必要です。
どのような意思決定が望ましいのか、そのためには老後の家計を「見える化」することがまずは大切です。ファイナンシャルプランナーをはじめとする専門家とともに、豊かな老後に向けた一歩を踏み出してみませんか。
[執筆:ファイナンシャルプランナー 神中智博]
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