“分散”のために投資している銘柄とは

オルカンやS&P500からウランまで、経済アナリスト・馬渕磨理子氏と考える「ETF活用術」

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近年、世界中の投資家に活用されている金融商品のひとつがETF(上場投資信託)だ。その名の通り、株式と同様に“上場している”投資信託となる。

ETFは各国の証券市場で取引されており、東京証券取引所でも多数上場されている。では、この「東証上場ETF」に対して“投資のエキスパート”はどんな印象を持っているのだろうか。どういった使い方が良いと考えるのか。そこで今回お話を聞いたのは、経済アナリストの馬渕磨理子氏である。

「今後、日本で暗号資産のETFは出てくるのでしょうか」。対談の最後、馬渕氏からそんな質問が寄せられた。普段からETFをよく取引しており、また暗号資産への投資も重要と考えており、ぜひ聞いてみたかったとのこと。

東証上場ETFを担当する東京証券取引所 株式部株式総務グループ兼ETF推進部・上場推進部の岡崎啓さんが対談相手となり、馬渕氏のこの質問に対する回答や、同氏のETF活用術について意見を交わした。

分散投資には「ETFが欠かせない」理由

馬渕 私の場合、S&P500やオルカン(オールカントリー:全世界株式)など、ポートフォリオの主軸になるものは投資信託(投信)で購入していますが、それ以外の、中国・ブラジルなどの新興国投資や、金、外国債券はETFで購入しています。投資は“分散”が重要なので、さまざまな銘柄があるETFを積極的に活用していますね。

投信と比較しても、ETFの信託報酬(※運用・管理にかかる費用)はかなり低くなってきたのではないでしょうか。特にそれを感じたのが中国への投資を考えた時です。経済成長が鈍化しており、今後の成長は半信半疑の面もありますが、分散投資のために一定の資金は中国に投入しておきたい。となると、なるべく信託報酬などのコストは下げたいところです。すぐに大きく利益が出ることはあまり望めないので。

そこで投信を含めていろいろな商品を比較すると、ETFにはかなり低い信託報酬で中国に投資できるものがあります。私はそちらを選択していますね。

岡崎 おっしゃる通り、各社の競争によってETFの信託報酬はかなり下がってきました。特に日本株のETFでは、0.06%以内といった0.1%を切るものも増えています。これからもさらなる低下が見込めるでしょう。

それに加えて、ETFは貸株(保有している銘柄を機関投資家などに貸し出すことで、貸出に応じた金利が受け取れるサービス)ができ、オンライン証券などのサービスでは、最低でも0.1%の金利が得られます。NISA口座の場合は利用できないのですが、これによって運用コストを相殺できることもあるのです。

馬渕 もうひとつETFの良さを挙げると、取引時間内ならつねに値動きが分かり、リアルタイムで売買できることです。投信は注文から約定までにタイムラグがあり、自分の買いたい価格で購入できない可能性もありますから。

長期投資は細かく売買しないのが鉄則ですが、一方で、S&P500などはそれなりに値動きが激しい局面もあるので、長期投資とは別に、大きく下がっているタイミングでピンポイントに買い増したいことが少なくありません。そういうときにも便利ではないでしょうか。

岡崎 ちなみに、冒頭で「ポートフォリオの主軸になるものは投信で購入している」と話していましたが、その理由はどんなものですか?

馬渕 基本的に私の投資ポリシーは「大きな流れに逆らわないこと」であり、投資家の資金流入が多いところに早めに参加しています。株価が上がっていくには、まずマーケットに資金が集まり活性化することが重要だと考えているからです。

S&P500やオルカンは、かつて投信で購入する人が多かったので、私もその流れに逆らわなかった形ですね。現在はETFでS&P500やオルカンを購入する人がだいぶ増えたので、資金流入も大きくなっています。もし今このタイミングで私が買い始めていたら、また違った選択をしていたかも知れません。

著者/ライター
有井 太郎
ビジネストレンドや経済・金融系の記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿している。企業のオウンドメディアやブランディング記事も多い。読者の抱える疑問に手が届く、地に足のついた記事を目指す。
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