年金は「老齢年金」だけじゃない
年金はいつからもらえる?65歳より前にもらえる年金も意外とある
提供元:Mocha(モカ)
【65歳】老齢基礎年金と老齢厚生年金の標準的な受給開始年齢
10年以上の受給資格期間があれば、65歳からもらえる老齢基礎年金。その年金額(2024年度)は、保険料を納付した期間に応じて最大月68,000円(1956年4月1日以前生まれは67,808円)です。会社員や公務員など厚生年金保険の加入期間が1ヶ月でもある人はさらに、現役時代の賃金と厚生年金保険の加入期間に応じて老齢厚生年金が支給されます。なお、2025年度の老齢基礎年金の満額は69,308円(1956年4月1日以前生まれは69,108円)となります。
年金は、受給開始年齢に到達して自動的にもらえるわけではありません。受給には請求手続きが必要ですが、老齢年金の上乗せ給付も見落とさないようにしましょう。例えば、厚生年金保険に20年以上加入していた人は、扶養する65歳未満の配偶者や子どもがいる場合、老齢厚生年金に上乗せして「加給年金」が支給されます。配偶者に係る加給年金の額は、特別加算額の173,300円(2024年4月から)と合わせて年408,100円。請求が漏れていると大変な金額です。
【75歳】老齢年金は繰り下げ受給で最大84%アップ
老齢年金の標準的な受給開始年齢は65歳ですが、60歳から65歳を迎えるまでの間に受給開始を前倒しする繰り上げ受給も含めて、60歳から75歳までの間で自由に選ぶことができます。とりわけ、66歳以後75歳までの間に繰り下げる「繰り下げ受給」では、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%ずつ年金額が増額されるメリットに注目です。そして、この増額率は亡くなるまで変わりません。例えば、70歳まで繰り下げた場合の増額率は42.0%(0.7%×60ヶ月)で、75歳だと84.0%(0.7%×120ヶ月)。65歳で180万円もらう予定の年金額を、255.6万円と331.2万円へ、それぞれ大きく増やすことができます。
繰り下げ受給は、受給を開始したいタイミングが来たら請求書を提出するだけです。それまで必要な手続きはありません。繰り下げをしている期間は先ほど紹介した加給年金が受け取れない、年金額が増えることで税金や社会保険料が増加するといったいくつかの留意点はあるものの、繰り下げ受給は老後資金の選択肢を広げることでしょう。老齢基礎年金と老齢厚生年金どちらか一方だけを繰り下げることも可能です。
長い人生を支える「年金」への理解を深めよう
今回は、年金がいつからもらえるのか、受給開始にまつわるさまざまな年齢を一挙に紹介しました。年金は、自分や家族の人生を通じて直面し得るさまざまなリスクをカバーする総合保険のような存在です。受給開始年齢を柔軟に調整できる老齢年金やiDeCoは、長生きによる生活費の増大リスクに対応できる自由度の高い制度といえるでしょう。一方、障害年金や遺族年金は、突然の事態に備える強力な保障として、その重要性を改めて感じさせます。人生を支える心強い味方である「年金」の知識を、これを機にもっと深めてみませんか。
[執筆:ファイナンシャルプランナー 神中 智博]
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