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3つのNG行動と備える方法を解説

株価が暴落したらどうすればいい?

提供元:三菱UFJモルガン・スタンレー証券

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過去の株価暴落を振り返る

過去に起こった市場の暴落を知っておくと、暴落時に起こる事象を想定し、冷静な判断ができるようになるでしょう。ここでは、3つの大暴落を振り返ります。以下は1985~2024年のS&P500の推移を表すチャートで、紹介する3つの暴落時の株価の値動きが確認できます。

(出典:「TradingView」のデータをもとに当社作成)

ブラックマンデー

1987年10月19日月曜日、ニューヨーク証券取引所で発生した大暴落は「ブラックマンデー」と呼ばれ、世界中の株式市場に大きな影響を与えました。この日、ダウ平均株価は過去最大となる22.6%も下落し、連鎖的に日経平均株価も約15%下落しました。

主な要因の一つとして、コンピューター・プログラム取引の普及による自動売買の連鎖反応と、米国の貿易赤字拡大への懸念があると考えられています。しかし、各国の中央銀行が協調して金融緩和を実施したことで、市場は比較的早期に回復しました。

この経験から、プログラム取引への規制強化や、株価急落時の取引停止制度(サーキットブレーカー)が導入されました。

リーマン・ショック

2008年9月15日、米国の投資銀行大手であるリーマン・ブラザーズが破綻し、世界的な金融危機が発生しました。サブプライムローン問題に端を発したこの危機で、ダウ平均株価は同年9月29日には1日で777.68ポイントの下落を記録しました。

その後も株価の下落は世界中に連鎖的に広がりました。日本でも日経平均株価が過去最安値を更新し、企業の倒産や派遣切りといった深刻な影響が数年にわたって続きました。

市場の回復には約5年を要し、日経平均株価も2013年になってようやく14,000円台を回復したのです。

コロナ・ショック

2020年初頭、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、グローバル株式市場は急激に暴落しました。2月から3月にかけて、米国のナスダック総合指数とS&P500も30%前後下落する事態となったのです。さらに日経平均株価は約1ヵ月半で約7,000円下落し、3月16日には一時1万7,000円を割り込みました。

しかし、各国政府による大規模な金融緩和策や財政出動により、株式市場は予想以上の早さで回復し、特にIT関連企業の株価は、リモートワークの普及などデジタル化の加速を追い風に急上昇しました。

株価暴落時に確認したい指標

株価の暴落のような相場急変時の投資判断を補助するためにVIX指数のような指標があります。ただし、指標だけを判断材料にするのではなく、チャートなどと組み合わせて総合的に判断することで確度は高められるでしょう。ここでは、株価暴落時に確認したい指標を紹介します。

VIX指数(恐怖指数)

VIX(Volatility Index)指数は、米国の大手企業500社の株価をもとに算出される「S&P500株価指数」の今後30日間の予想変動率を反映する指標です。金融市場において変動リスクが高い状態には警戒が必要です。VIX指数は、将来の不確実性や投資家のリスクへの警戒意識が高まると急激に変動するため、「恐怖指数」とも呼ばれています。

一般的にVIX指数が20を超えると市場の不安心理が高まっている状態とされ、30を超えると強い警戒感が示されている状況と考えられます。2008年のリーマンショック時には、VIX指数が80を超える水準まで上昇しました。

日経平均VI

日経平均VI(Volatility Index)は日本版の恐怖指数とも呼ばれ、日経平均株価の今後1ヵ月間の予想変動率を反映する指標です。この指標は、投資家の不安心理を数値化したもので、数値が高いほど市場参加者の不安が強まっている状態を示します。

通常は20以下で推移するケースが多く、30を超えると市場の不安感が強まっている状態とされています。40を超えると極度の警戒感が広がっている状況です。2020年のコロナ・ショックでは60を超える水準まで上昇し、市場が強い混乱状態にあったことを示しました。

信用評価損益率

信用評価損益率は、信用取引をしている投資家の含み損益を示す指標です。信用取引とは、証券会社から株式やお金を借りて売買する取引方法で、手法によっては相場の上昇だけでなく下落でも利益を得ることができます。

通常、信用評価損益率は0%から-20%の範囲で推移し、相場の天井や底を探る目安として活用されています。一般的に、この数値が-20%近くまで下がると市場の底値圏、逆に0%に近づくと天井圏に達したと判断されます。まれにプラスになるケースもありますが、その場合は市場の過熱感を示しており、大幅な下落が予測されます。

株価暴落に備える方法

株式投資をしていると、株価暴落に遭遇する可能性は誰にでもあります。そうなったときに慌てないための日常的な備えについて解説します。

投資は余剰資金で行う

投資に回すお金を余剰資金の範囲に限定するのは、基本のルールです。なぜなら、生活資金まで投資に回していると、株価暴落により損失が発生した際に、日常生活に支障をきたす恐れがあるためです。

例えば、毎月の収入から生活費、保険料、貯蓄などを引いた残りの10~20%程度を投資に回すといった、具体的な配分を決めておくと良いでしょう。

このように余剰資金での投資を徹底すると、仮に一時的な損失が発生しても生活に支障がなく、投資も無理なく継続できます。

リスクの低い資産に投資

株式投資に取組む場合に心がけたいことは、リスクの低い資産との分散投資です。株式のような値動きの大きい資産だけを保有していると、株価暴落時に資産が大きく目減りしてしまう恐れがあります。

例えば、現金や定期預金、国債などのリスクの低い資産を一定の割合で保有しておくと、株価暴落時の影響を緩和できます。

このように資産を分散しておくことで、市場の急激な変動に対する備えができ、より安定的な資産運用が可能になります。ただし、最適な配分は年齢や投資目的によって異なりますので、自身の状況に応じて検討しましょう。

損切りルールを決めておく

投資を始める前には、明確な損切りルールの設定が必須です。株価暴落時は感情的になりがちで、冷静な判断が難しくなる場合が多いためです。

例えば、「投資額の20%以上の損失が出た場合は売却する」「含み損が50万円を超えたら見直す」といった具体的な基準を、投資開始までに決めておくと良いでしょう。この基準は、自身がどこまでの損失なら許容できるかをもとに決定します。

このように事前にルールを決めておくと、株価暴落時でも冷静な投資判断が可能となり、大きな損失を回避できる可能性が高まります。

まとめ

市場の暴落は株式に限らず、投資をしていくうえで避けられない現象であり、起こりうるものと考える必要があります。いざというときに慌てないためには、分散投資を心がけ、損切りルールを決めておくといった備えが大切です。あらかじめ準備をしておけば、株価暴落時にも慌てず、決めたとおりに行動することが可能になります。

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)

著者/ライター
松田 聡子
明治大学法学部卒業後、ITエンジニアとして金融機関のシステム開発に従事。その後、国内生保での法人営業を経て2009年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金講師やFP相談業務に携わる。2020年から金融ライターとしても活動を開始し、NISAやiDeCoなど資産形成関連の執筆を多数手がけている。
【保有資格】CFP®(日本FP協会認定)
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