使いやすさが魅力

65歳以降退職した人の「高年齢求職者給付金」活用すべき5つのポイント

提供元:Mocha(モカ)

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「65歳を過ぎて退職したら、もう失業手当はもらえない」と思っていませんか?

確かに、失業手当(雇用保険の基本手当)は64歳までしかもらえません。しかし、65歳以上でも雇用保険に加入していた方は、失業時にお金を受け取れる可能性があります。それが「高年齢求職者給付金」です。

高年齢求職者給付金の魅力は、なんといっても使いやすさにあります。今回は、高年齢求職者給付金の使いやすいしくみを5つのポイントで紹介します。

高年齢求職者給付金のポイント1:受給条件がゆるやか

失業手当は原則として離職前の2年間に通算12か月以上雇用保険に加入していないと対象になりませんが、高年齢求職者給付金は離職前の1年間に通算6か月以上、雇用保険に加入していれば対象になります。賃金の支払われるべき日が11日以上あれば1月加入とカウントされるため、非正規雇用や短時間勤務の方でも達成しやすい条件です。

高年齢求職者給付金のポイント2:一括支給される

64歳までの失業手当は、4週間に1度の失業認定が必要です。そのため失業手当は都度支給となりますが、高年齢求職者給付金は一時金としてまとめて支給されるため、ハローワークに何度も足を運ぶ必要はありません。

高年齢求職者給付金の支給額には一定のルールがあり、雇用保険の加入月数に応じて決まります。基本手当相当額をベースに以下の日数分が支給されます。

<高年齢求職者給付金の支給日数>

厚生労働省の高年齢求職者給付金リーフレットより

高年齢求職者給付金の基本手当相当額は賃金日額の50~80%で、令和6年8月1日からの金額は2,295円~7,065円です(毎年8月に改訂あり)。

例えば、賃金日額10,000円の方であれば、約21万円もしくは約35万円受け取れる計算です。ただし、失業認定が遅くなると満額受け取れなくなる可能性もあります。早めの申請が重要です。

高年齢求職者給付金のポイント3:年齢上限なし・何度でも受給可

高年齢求職者給付金の利用回数に制限はありません。一度もらって、再就職したあとも、要件を満たせば、ふたたび受け取ることができます。また年齢の上限もないため、70代でも条件を満たせば受け取ることができます。

くわえて、高年齢求職者給付金では現役時代の失業手当の受給経験の有無も問われることはありません。64歳までの失業手当を受給したことがあっても、要件をみたせば受け取ることができます。

高年齢求職者給付金のポイント4:年金との併給が可能

64歳までの失業手当は公的年金とあわせて受け取る場合、65歳までの重複する期間、公的年金が全額支給停止されます。そのため、例えば、特別支給の老齢厚生年金を受け取る方や、年金の繰り上げ受給をする場合には不利となります。

一方、高年齢求職者給付金は、受け取っても公的年金が停止になることはありません。年金にプラスアルファで受け取れる点は大きな違いでしょう。

高年齢求職者給付金のポイント5:マルチジョブホルダー制度の利用で働きながら受給可能なケースも

マルチジョブホルダー制度は、65歳以上で複数の事業所に勤務している場合、雇用保険に加入しやすくなるしくみです。

特にパート勤務の場合は、所定労働時間が20時間以上といった条件を満たせないために雇用保険に加入できない、といったケースがありますが、この制度を利用することで、勤務時間を合算して加入要件を満たすことができるため、雇用保険に加入しやすくなります。

マルチジョブホルダー制度を利用し、複数の事業所で働いている方は、働きながら高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。
例えばマルチジョブホルダー制度を利用して、事業所Aと事業所Bの2か所で働いていた方が、事業所Aだけを退職した場合、Aの分に基づいて高年齢求職者給付金を受け取ることが可能です。

ただし、他に2つ以上の事業所に雇用されており、引き続き雇用保険の加入要件を満たす場合は給付対象外となります。あらかじめ条件を確認しておきましょう。

「高年齢求職者給付金」を活用して退職後の生活をスムーズに

高年齢求職者給付金は、現役時代の失業手当(雇用保険の基本手当)よりも補償額は少ないものの、まとめてもらえて、年金とも併用できたりして65歳以上でも受け取りやすく、働く意欲を持つ方には思った以上に実用的な制度です。

「高齢だから」「年金があるから」と諦める前に、まずは制度をチェックしてみましょう。知らなければ受け取れないお金があるのは、もったいない話です。高年齢求職者給付金は、制度上はあくまで“失業給付”の一環ですが、その本質は人生後半の自立支援です。
退職後の生活を、自分らしく、安心して続けていくためにも、しっかり活用しましょう。

[執筆:ファイナンシャルプランナー 内田英子]

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