プロが語る!資産形成のすゝめ

~投資目的とその手法~

そもそも金投資とは?

提供元:三菱UFJ信託銀行

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資産運用の基本は株式・債券!

かつての資産運用と言えば、「株式・債券・預金」と言われていました。
昔はこれくらいしか運用できるものがなかったようです。

しかし、今は違ってきています。
現在は株式・債券は基より商品(コモディティ)までも包含する投資信託・ETFなど数多くの投資商品が存在しています。

ただ詰まるところ運用資産の中心は株式・債券ということになるでしょう。
筆者も資産運用の基本は株式・債券が中心で良いと考えています。ただし、この株式・債券に近年ではかつてない異変!?が生じてきています。

株式はもともと価格変動が激しいと考えられていますが、それにも増して近年の価格変動は激しくなってきています。値動きが激しいと不安になりますよね。
債券は海外の債券金利は一定程度あるものの、国内金利は海外金利ほどの水準には満たない状況です。国内金利物は運用資産に組み入れてもなかなか収益にはつながりにくいですね。

こういった状況を何とか緩和する・補足する他の資産を運用ポートフォリオ(複数の資産を組み合わせた投資配分)に組み入れる必要があるとの考えから、今!金(ゴ―ルド)への投資が注目されています。

株式オンリーでは?!

一般的に株式は値動きが激しいと言われます。日々の価格変動が激しいということです。購入した株式すべての値段が上昇するなら、これほど爽快なことはないと思います。しかし、現実はそうではありません。値段が上がったり下がったりするものです。

そして一定期間の後に、購入時点からどれほど価格が上がっているか?がおおよそのポイントになります(株式には値上がり益のほかに、配当がある場合がありますのでおおよそのポイントと表現しています)。ただし価格変動が激しいですから、その日々の動きにヤキモキしていたのでは、たまったものではありません。

例えば、株式を購入しました
→株価の動きが気になりだした
→株価の動きで頭がいっぱいで、仕事もなにも手につかない・・・。

これでは投資によって将来の結婚・育児・老後などのライフイベントに備えようとしているのに本末転倒ですよね。

こうならないためにも、「価格変動を幾分か抑えて安定的に投資の経過を見ていく。そして投資の果実(収益)を得ること」が大事になります。そしてそのためには株式オンリーの運用ではなく、他の運用資産も組み合わせるという考え方…すなわち「分散投資」が大事になってきます。

株式の価格変動を抑えるものと期待されるものの代表例が、債券であり金といった資産になります。これらは一般的には「安全資産」と言われ、基本的には株式と逆の動きをすると期待されています。

株式と逆の動きをする資産を組み入れるということは、「なにかもったいない」、「マイナスなのでは?」と思われるかもしれませんが、筆者はそれで良いと考えています。株式オンリーですとその動きに翻弄されがちですが、値動きが異なると期待される資産を組み入れることで運用資産全体の動きがまろやかなものになることが期待されます。
そしてその結果、一定程度の収益を得られれば十分と筆者は考えています。

もちろん、株式一本で投資を開始→株価が高くなったところで売り抜け、大きな収益を得る。これはこれで妙味がありますが、百発百中というわけにはいきません。しかも、大きな収益を得るということは、その値動きもかなり激しいものとなるでしょう。
気が気でならない時間帯がきっと増えると思います。

そうではなく、運用資産全体の動きをまろやかなものとし、普通の生活をしながら、なおかつ一定程度の収益を得るというのが理想ではないでしょうか?

投資は「一獲千金」ではありません。
時間をかけて、しかも安心感を持って、“普通の”生活をしながらじっくりと育てていくものです。

そもそも“金”は資産運用にどのような効果があるのか?

ここまで株式・債券はじめ金なども含めた「分散投資」の重要さを紹介してまいりました。
読者のみなさまの中には、「金って、資産運用に使えるの?」と疑問を抱いた方もいらっしゃるでしょう。

「金」は、永遠の輝きを持つ資産。

みなさまに馴染みのあるものとしては指輪などのジュエリー(宝飾品)が一般的です。またスマホ程度の大きさの1kgの金の延べ棒という形でも存在します。
実はこの金が運用資産としても有効であると考えられているのです。運用資産として金を保有することによって、想定される効果をみていきましょう。

1.【分散投資効果】
金は株式との相関(同じように動く)が基本的に低い(逆相関)傾向があります。つまり「金は株価が下落する時に買われ、株価が上昇する時に売られる」ことが多いのです。そのため、株式と金を合わせて運用すると、金が運用資産全体のリスク(価値がゼロになるということではなく、価格変動が大きいということ)を低減すると期待されています。

2.【有事の金】
テールリスク=滅多に起こらないと考えられていますが、「ひとたび起きたら…ものすごく大変!」という事象で、有名なのは2008年リーマンショックです。当時はあらゆる資産価格が下落しました。金も例にもれず最初は売り込まれました。しかし、最終的に価格が反転上昇するのが一番早かったのが金なのです。つまり、勃発的な有事が発生したらもしくは有事の前兆がみられ始めたら、金の価値は上昇する傾向があるということです

3.【実物資産の金】
足許で世界を席巻しているのは「インフレ」です。インフレ時には、実物資産価格は一般的にインフレに伴って上昇します。つまり資産を現金で保有していると実質的に価値が減少してしまいますが、金については実質的な価値は減少しない(価格は上昇)と考えられています。

4.【通貨としての金】
現在の国際基軸通貨はドル(米ドル)です。金は厳密には“通貨”ではありませんが、金はドルの対極にある資産と考えられています。ドルが下落する時は金が上昇する、ドルが上昇する時は金が下落する傾向があります。現在はドル高ですから、国際金価格からすると大きな逆風(向かい風)ですが、国際金価格はその他の理由から史上最高値圏にあります。国内金価格は概ね「国際金価格×為替」で算出されます。そのため、国内においてはドル高円安となり、国内金価格も現在、史上最高値水準を維持しています。

5.【無国籍のコモディティ(商品)の金】
株式・債券は紙屑になることもあり得ます(企業で言うと倒産、債券でいうデフォルト)。金はどこの国の顔もたない無国籍、いわゆる無所属です。腐食もしないし存在そのものに価値がある!わけです。時空を超えて輝き、永遠に残り、決して紙くずにはなりません。ツタンカーメンのマスクのように・・・。

以上から金というのはいろいろな局面において、株式はじめいろいろな資産とは「逆の位置」に位置する性質があることがわかります。
こういったことから、筆者は金には投資の世界における「保険」の役割があると考えています。しかも、たくさんの顔を持つ資産として。

さてこのパートの最後に「金の最大の弱点!」をお伝えしておきます。
それは、株式・債券・預金などのように、金は持っているだけでは何の配当も利息・利子も生みません。これは大変大きなデメリットです。しかし、上記のとおり、いろいろな効用が期待されています。それが“金”という資産です。

これからもますます不確実性が高まる世界
・・・金は永遠の輝き
資産運用において金を保有することの意味

「金融商品は世相を映す鏡」だといいます。世の中で起きることが集約されて、株式や債券のマーケットに影響を及ぼします。
みなさんの公的年金も、株式や債券で運用されていますので、けっして他人事ではありません。

あなたの資産運用、「まもる術(すべ)」はありますか?

わたしたちは先の見えない不確実な時代に生きています。米中の衝突、ウクライナを巡るにらみ合いや中東情勢、南海トラフ地震など、不安材料はいくつもあります。朝、目を覚ましたら、海外の株価が大暴落していた―――そのようなことも起こりかねません。

みなさんは、資産運用を「無防備」な状態で行っていませんか?

金は存在そのものに価値があります。
決して錆びない、腐食しない、世の中に存在そのものが限られている(オリンピック公式プールで約4杯分)。
こんなことが金の価値を高めているのでしょう。
金は、世の中に異変があると輝く「安全資産」として知られています。前述しましたように「有事の金」とも言われ、株式や債券の価格が急激に下がるような局面で値上がりする傾向があります。

繰り返しになりますが、資産運用における「保険」の役割を持つと言えるでしょう。

不安・不透明・不確実・危険なことが、世界中で起きているのはご存じのとおりです。実はこれは、金にとって保険機能が発揮しやすい環境なのです。みなさんが近頃心配されている、インフレと円安。インフレ率よりも預金金利が低いと銀行に預けているだけでは、お金の価値は目減りしていきます。ところが金は、物価が上昇すれば価格が上がる傾向があり、インフレへの備えにもなります。

就職や結婚を機に、生命保険に入る方も多いでしょう。
それと同じように、金は、不安なときに力を発揮する「保険」の役割を果たすと期待されているのです。

ただし、金はあくまでも資産運用における脇役です。名バイプレイヤーのような存在です。
投資の中心となるのは、先進国の株式と債券と考えています。ところが、株価は変動幅が大きく、いきなり下がることもあります。債券も最近は金利の変動により価格の変動が大きくなっています。株式と債券だけで安心して資産運用できるでしょうか?

リスク分散を図る上でもREIT(不動産投資信託)や新興国の株式・債券などを組み入れて、分散投資を行います。金も分散投資の選択肢の一つです。金の保有割合は、運用資産の5~10%程度がよいと筆者は考えます。ウクライナや中東有事のような地政学的リスクが高まる状況下においては、一時的に保有割合を増やすことも一案ですが、基本は5~10%程度と考えています。

金に50%超投資するようなことは、上述の金保有の趣旨に照らせば「過度に保険を掛ける」こととなりますので、お薦めすることはできません。

どのようにしてポートフォリオに金を忍ばせるか?

資産運用するには、どのような方法がよいですか?という質問は絶えることがありません。

資産(資金)を増やす資産運用は、国が発行する債券や事業会社が発行する株式・債券が中心になります。株式や債券に投資する意味は、これらの値上がり益、配当、利息などを通じて、“その国や会社の経済的成長の果実“を収益として投資家が受け取ることにあります。
決して「安く買って、高く売る」が本道ではありません。

例えば、資産(資金)の全てである会社の株式を買ったとしたら…。
株価が気になって、仕事や勉強に集中できなくなるかもしれません。
そうではなく、気付いたら「えっ! こんなに増えてるの!?」。これが一番ではないでしょうか。
そのためには、「分散・長期・積立」投資が大切です。

資産運用はギャンブルではありません。
時間をかけて着実に増やすように取り組むのが正解なのです。

では具体的にどうすればよいのでしょうか?
資産運用の世界で何が一番難しいのか?それは、次の2点に尽きると筆者は考えています。

1. 毎年、どの資産のパフォーマンスが一番良いか見極めること
2.どのタイミングで売買をするのが良いか見極めること

では、この難問の答えはないのでしょうか?

もちろん世界の経済状況を研究し、ある資産に資金を投じるのもよいでしょう。ただその資産選択・タイミングが正解との保証は全くありません。
「だから資産運用は難しい、面倒くさい」といった声が多いのもまた事実です。

ところが、世の中にはベストと考えられる方法が実はあると筆者は個人的に考えています。その内容は次のようなことです。

1.どの資産を選択すれば良いか判らない → 幅広い資産に投資してはどうでしょうか?国内だけでなく海外にも、かつ代表的な株式・債券だけではなく多種多様な資産に分散する。

2.どのタイミングで投資すれば良いか判らない → 投資は基本的には「買い」から手掛けるものと考えれば、「買い」のタイミングを複数回に分けてはどうでしょうか?長期にわたって、時間をかけて(時間の分散)少しずつ買っていけばそれほど悩むことはないのではないでしょうか。

「さあ、運用をはじめよう」となった段階で、一度に上記の資産を購入することはお薦めできません。購入したタイミングが各資産の安値であればそれに越したことはありませんが、いつもそうとは限らないことの方が多いと思います。

これを解決するには購入タイミングを複数回に分ければ良いのです。例えば、10の資産を購入する場合、10回に分けて1ずつ購入するといった具合です。

お伝えしたいのは、「投資(資産運用・資産形成)とは、貯金のように手掛けていく」ということです。少しずつでよいですから、金融資産として時間をかけて積み立てていくということです。
この手法のメリットの一つは、知らず知らずのうちに買い付けが進行し、時間分散を図りながら中長期での資産形成が実現していくという点だと考えられます。

私ども三菱UFJ信託銀行では、手軽に“金に投資する方法”として、2010年に東京証券取引所に上場させた貴金属ETF『金の果実シリーズ』(金のほかプラチナ・銀・パラジウムの各ETFもあります)をご活用いただけると考えています。ETFを保有いただくのも、貴金属現物に投資するのとほぼ同様な経済効果が期待されると考えています。

現物に投資すると途端に「保管の問題」がクローズアップされてきますが、私どもが提供するETFは100%裏付け資産があり責任を持って国内で保管・管理を行っております。
貴金属ETF『金の果実シリーズ』の詳細については、欄外の三菱UFJ信託銀行・金の果実シリーズのホームページをご覧ください。

(以上は、三菱UFJ信託銀行全体を代表する意見ではなく筆者の個人的な見解です。(2025年9月5日、記))

著者/ライター
林 恒
三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社後は、主に年金運用関連のファンドマネージャー・ディーラーを経験。その後は、投資商品に関する営業企画・営業推進活動やラップ商品のポートフォリオマネージャーを担当するなど、入社以来総じて運用関連業務に携わる。現在は上場来15年を経過した貴金属を裏付け資産とした上場信託(ETF)“金の果実”シリーズのプロモーション活動に係る企画・運営等を務める。
用語解説

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