エリアで見る住宅ローンのリアル(1)

住宅価格の高騰は首都圏だけじゃない?!

提供元:三井住友トラスト・資産のミライ研究所

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直近の住宅価格はどのように変化した?

近年、住宅市場を取り巻く環境は大きく変化しています。特に首都圏では、住宅価格の高騰や住宅ローンの借入額の増加が話題となることが多く、メディアでも頻繁に取り上げられています。しかし、こうした動きは首都圏に限った話ではありません。

国土交通省が公表する「不動産価格指数」によると、住宅価格は全国的に上昇傾向にあり、地方圏でも価格の上昇が確認されています【図表1】。これは、都市部への人口集中や土地の希少性といった構造的な要因に加え、好立地の獲得競争激化や人件費、資材費などを含む建築コストの上昇も影響していると考えられます。

実際に、同じく国土交通省が公表する「建築費指数」を見ると、2020年以降、木造・鉄筋コンクリート造を問わず、建築費が急激に上昇していることがわかります【図表2】。資材価格の高騰や人件費の上昇、さらには物流コストの増加など、複合的な要因が住宅価格に転嫁されている状況です。

【図表1】不動産価格指数(住宅)

(出所)国土交通省「不動産価格指数」(2025年3月31日公表分)より資産のミライ研究所作成
*エリア標記は調査データに準ずる 南関東圏=東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県

【図表2】建築種類別建築費指数

(出所)国土交通省「令和6年度 住宅経済関連データ」より資産のミライ研究所作成

こうした背景のもと、住宅購入にかかる費用も年々増加しています。住宅金融支援機構のデータによれば、土地付注文住宅の平均購入価格は首都圏で約5,680万円、マンションでは約5,801万円と、いずれも6,000万円に迫る水準となっています【図表3】。

【図表3】エリア別住宅購入費用(平均価格)

(出所)住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」をもとに三井住友信託銀行作成。土地付注文住宅の購入費用は、建設費と土地取得費を合わせた金額。
*エリア標記は調査データに準ずる *価格倍率:「その他地域」を1とした場合の平均価格倍率
首都圏=東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県、近畿圏=大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県、東海圏=愛知県・岐阜県・静岡県・三重県、その他地域=首都圏・近畿圏・東海圏以外の地域

足元5年間の借入実態を4つのエリアから分析

住宅価格の上昇に伴い、住宅ローンの借入額も増加傾向にあります。加えて、返済期間も長期化する傾向が見られ、35年のローンを選択するケースが一般的になってきています。こうした状況の中で、住宅ローンの借入実態は地域によってどのような違いがあるのでしょうか。

今回、ミライ研では、住宅ローンの借入実態をより詳細に把握するため、過去5年以内(2020年~2025年)に住宅ローンの借入を開始した方を対象に調査を実施しました。調査では、全国を以下の4つのエリアに分類し、それぞれの住宅購入の概要やローンの借入方法などを分析しています。

【4つのエリア】
・1 首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
・2 近畿圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)
・3 中京圏(愛知県・静岡県・岐阜県・三重県)
・4 その他(上記以外の地域)

【図表4】住宅ローン借入時期

(出所)資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)より資産のミライ研究所作成

この調査では、住宅ローンの借入額や返済期間、金利タイプの選択傾向、ペアローンの活用割合など、生活者の実態に即した多角的な視点から分析を行っています。特に注目すべきは、首都圏とその他地域における固定金利と変動金利の選択傾向の違いやペアローン利用率に関する部分です。

次回のコラムでは、今回の調査結果をもとに、エリア別の住宅ローンの特徴や傾向について詳しくご紹介します。住宅購入を検討されている方や、将来的な資産形成を考えるうえで、地域ごとの実態を知ることは後悔しない住宅ローン活用のヒントになるはずです。

(三井住友トラスト・資産のミライ研究所 桝本 希)

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