本から開く金融入門

【三宅香帆の本から開く金融入門】

大学生が「お金」について学ぶのに最適な一冊――学生に読んでほしいお金の攻略本

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ゼミ生と教授が協力してつくりあげた一冊

『学生に読んでほしいお金の攻略本<第2版>』は、「経済関係の話は難しい」「お金のことは自分にはまだよくわからない」と感じがちな学生さんにこそ読んでもらえる本になってほしい、という願いのこもった一冊だ。

たとえば税金、クレジットカード、奨学金。学生にも身近な存在だろう。しかしその背景にある仕組みを、本当に理解しているだろうか? と本書は問いかける。学生生活の延長線上にある「お金」の話を、わかりやすく紐解いてゆく。

著者は、大阪公立大学の商学部の教授である北野友士氏。実は彼が、ゼミ生と共同作業でつくったのが本書となっている。つまり、大学の先生が学生向けに経済を噛み砕く本をつくった……というよりも、大学の先生と学生が協力し議論しながらつくりあげた経済入門書となっている。それゆえに、テーマも身近で、学生にとっては痒い所に手が届くような一冊となっているのではないだろうか。

たとえばアルバイト代を学生時代にどこまで稼ぐべきなのか。あるいは、学生が奨学金を借りる際の注意点はいったい何なのか。お金が原因でやりたいことを諦めていないか。新NISAは学生が始めるべきものなのか。――このような学生にとって身近な問いから、経済の複利やインフレデフレといった概念の説明にまで至るところが本書の魅力だろう。

生活に根ざしたお金の疑問にはじまり、経済の基礎知識まで学ぶことができる一冊となっている。

自分を守るための家計管理

本書の特徴は、金融リテラシーを「自分を守るためのもの」としてまずは位置付けている点である。

たとえばクレジットカードの仕組みを知っていないと、リボ払いに手を出してしまうかもしれない。あるいはお金を稼ぐことに目が向きすぎると、あやしい儲け話や闇バイト、詐欺に遭遇してしまうかもしれない。

消費者トラブルや税金の控除など、知識があれば自分を守ることができることはたくさんある。
世の中の仕組みを知らないだけで危険な目に遭う人はたしかに存在する。だからこそ、本書は損しないために、必要のない危険に巻き込まれないために、家計管理をすべきだと強く説く。

賃貸で家を契約する時も、バイトをどれくらいするのか決める時も、投資を始めたいと思う時も、生活とお金は常に直結する。それゆえに、お金の知識を得ることは、私たち自身の身を守ることでもある。不利な状況に自分を置かないようにするために、金融の知識は必要なのだと著者は言う。

案外「金融入門書」というと、投資など、自分のお金を増やすための知識を教えてくれることが多い。が、本書は学生向けに限っているため、家計管理の知識をまずは丁寧に伝えているのだ。そこが本書の魅力のひとつだろう。

お金は、けして「よくわからないから」と放置していいものではないのだ。

著者/ライター
三宅 香帆
京都大学大学院人間・環境学研究科卒。会社員生活を経て、現在は文筆家・書評家として活動中。 著書に『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』などがある。フリーランスになったことをきっかけに、お金の勉強を始めている。
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