スチュワードシップ担当者から見た日本企業のダイバーシティ推進
第一三共に見るダイバーシティ推進への取組み
提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント
はじめに
2025年6月にスイスの非営利財団である世界経済フォーラム(WEF)は男女格差の現状を各国の統計をもとに評価した「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート2025」を発表しました。この中で各国の男女平等の進展度を指数化した「ジェンダーギャップ指数」が開示されました。
この指数は各国の男女格差を経済参画、教育、健康、政治参画の4分野で評価し、0が完全な不平等、1が完全な平等を示し、数値が大きいほどジェンダーギャップが縮小していることを意味しています。
2025年の日本の総合スコアは0.666で、148カ国中118位と前年と同じ順位となりました。G7(主要7カ国)内で日本はG7ワースト2位のイタリア(85位)から大きく離された最下位であり、厳しい評価結果であったと真摯に受け止めなければいけません。
ジェンダーギャップ指数から見る日本の現在位置
日本の分野別成績を見ると、経済参画で112位(前年120位)、教育66位(同72位)、健康50位(同58位)、政治参画125位(同113位)という結果でした。経済参画、教育、健康の各分野では順位が上昇しましたが、政治参画で大きく順位を下げたことが響き、総合スコアは前年と同じ118位にとどまったと考えられます。
分野別で最も男女格差が大きいと評価された政治参画では、国会議員の男女比、閣僚の男女比で低評価であるほか、女性首相が評価時点まで一人も誕生していなかったことから過去50年間の行政府の長の在任期間の男女比のスコアはゼロ(最下位)となっています。
日本も男女平等に向けて積極的に取り組んでいますが、グローバルでのジェンダーギャップ解消の流れがそれ以上に速いことから、さらに日本は取り組みを加速し、その実効性を高めていく必要があります。政治参画では2026年10月に高市早苗自民党総裁が初の女性首相に就任したことから次回のジェンダーギャップ指数の改善が期待されます。
第一三共の取り組み紹介
ここでは経済参画におけるジェンダーダイバーシティ推進の取り組みとして製薬大手の第一三共を紹介します。グローバルに展開する創薬型製薬企業である第一三共にとって価値創造の源泉はイノベーションであり、イノベーションを推進するにはダイバーシティの確保が不可欠です。
第一三共では2025年6月の株主総会で女性社外取締役に加えて、初めて社内から女性取締役が選任され、取締役会における女性取締役が複数名となりました。取締役会の女性比率向上において社外取締役を増員する企業が多いですが、第一三共の場合、グループ共通の価値観であるペイシェント・セントリシティ(患者さんを心の真ん中に)の特命担当がその実績と今後の役割の重要性を評価されて初の女性社内取締役に選ばれました。同時にがん治療事業をけん引する外国籍の社内取締役が選任され、ジェンダー視点を契機として複層的にダイバーシティの確保が進んでいることも重要な変化です。
女性人材の取締役登用が継続するために、第一三共では将来の取締役候補となる女性管理職の育成にも注力しています。マテリアリティKPIとしてグローバルに女性上級幹部社員比率を設定し(2025年度目標30%)、それに紐づけて国内で女性管理職比率を設定し、モニタリングしています。
働きやすい環境の整備に加えて、女性マネジメント職のネットワーク「SWAN」が2017年設立され、女性マネジメント職が相互支援、次世代の育成など幅広い活動を行っています。また、SWANは毎年社内外役員との対話の場を設け、女性活躍推進に関する意見交換も行っています。その成果として女性上級幹部社員比率(グローバル)は2024年度に24.2%まで向上し、目標達成も視野に入ってきました。
さいごに:三井住友トラスト・アセットマネジメントの活動
私たち三井住友トラスト・アセットマネジメントは日本版スチュワードシップ・コードに賛同する「責任ある機関投資家」として、また2006年に国連責任投資原則(PRI)が発足した時からの署名機関として、投資先企業とエンゲージメントを行っています。投資先企業にESG課題の解決を促すことによって企業自身、ひいては社会全体の持続的成長、サステナビリティの実現を目指しており、例えば、Sの観点ではDE&I、Gダイバーシティ経営の推進といったアジェンダでエンゲージメントを行っています。
第一三共のようなダイバーシティ経営に向けて真摯に取り組む好事例を他社に紹介しながら投資先企業に対してジェンダーダイバーシティ向上に通じる企業行動を促進するとともに、皆様からお預かりした資産の価値向上を図ってまいります。
※上記は特定の有価証券への投資を推奨しているものではありません
(提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント)。
1990年より株式アナリストとしてヘルスケア及び化粧品トイレタリーセクターを中心に日本・米国で株式運用業務に従事した後、2021年より現職。
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