乙武先生!金融教育、見にきてください ジャムハウス前編

友人の詐欺被害が執筆のモチベーションに。中学生向け金融指南書の作者を、乙武洋匡が直撃!

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友人の詐欺被害が執筆のモチベーションに

池田 そういう世代間のギャップがあるところは、確かに作っていて新鮮でしたよね。

宮下 私たちの親世代というのは、子どもに対してお金のこと、家計のことを隠すのが当たり前でしたからね。おかげで金融について学んだり話し合ったりする機会が得られず、昨今、投資詐欺の被害に遭っている人たちの多くは、おそらくそうした我々の親世代が中心なのだと思います。

乙武 たしかにそうですね。つまりリテラシーが養われていない、と。

宮下 だからこそ、その反省も踏まえて、いまの子どもたちにはしっかりお金のことを学びながら成長してほしいんです。

乙武 これは宮下さんが本書のプロフィール欄で触れていたことですが、ご友人が詐欺被害に遭ったことも、今回の本を手掛けるきっかけのひとつになっているそうですね。これ、詳しくお聞きしてもいい話ですか?

宮下 これは中学時代から付き合いのある友人の話なんですけど、彼はとにかく騙されやすくて、英会話教材やマルチ商法など、いちいち引っかかってしまうんです(苦笑)。

人が好すぎるのか、会社の先輩から持ちかけられた投資話に乗って50万円くらい損をするようなことがたびたびあり、とても見ていられないなという感情が、結果として今回の書籍を作るモチベーションになっています。

乙武 うーん、私の身近にもそういうタイプがいるので、決して他人事とは思えません。

宮下 それにいまはSNSを見ていると、お金配りや投資案件についての胡散臭い情報が溢れているじゃないですか。それに付いているコメントを見ると、真に受けて飛びついている人が山ほどいて……。これはどうにかしなければと強く感じました。

乙武 目次に目をやると、第一章でお金とは何かを解説し、その後、お金の使い方や銀行の仕組み、そして家計管理やライフプランニング、さらには金利や保険、積立などまで、本当にお金に関するすべてのことが網羅されています。構成面でとりわけ苦労した点があれば教えてください。

お金の基礎から金融の仕組みまで網羅した構成に感心する乙武氏

池田 それが、最初に宮下さんからご提案いただいた企画書が、もうほぼこのままなんですよ。その意味ではわりとすんなり構成がまとまった本ではあります。

宮下 これは金融庁が配布している、「基礎から学べる金融ガイド」という資料を参考にしているんです(※令和5年12月に改定済み。実際に参考にしたのは旧バージョン)。「こんな簡潔にまとめられた資料があるのに、ほとんどの国民の目にはとまっていないのだろうな」と、もったいなく感じました。だったらこれを膨らませて構成すれば、よりわかりやすい本になるだろう、と。

乙武 この本が素晴らしいのは、これだけ金融の基礎を網羅していながら、決してボリューミーではない点ですよ。分厚くないし、イラストを交えて非常にわかりやすく情報がレイアウトされている印象を受けました。

池田 学校で使っている教科書も、どちらかといえば広く浅く取り上げる構成なので、あまり文字を詰め込みすぎないことは意識していました。

宮下 最近の若い人は長い文章を読んでくれないですしね。登場人物として、中学1年生の「ゆうたくん」を軸に、両親や学校の先生との会話形式で構成したのも、ひとえに読んでほしいからなんです。

乙武 最近は若い世代だけでなく、中高年層もあまり長文を受け付けなくなっていますから、大正解かもしれませんね。後編では、さらに本書の踏み込んだ内容についてお聞きしたいと思います。

お話を伺った方
乙武 洋匡
1976年、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒。大学在学中に出版された『五体不満足』が600万部を超すベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活動。その後、小学校教諭、東京都教育委員などを歴任。地域に根差した子育てを目指す「まちの保育園」の経営に参画。2018年からは義足プロジェクトに取り組み、国立競技場で117mの歩行を達成。2000年、都民文化栄誉章を受賞。
著者/ライター
友清 哲
1974年、神奈川県生まれ。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て独立。主な著書に『日本クラフトビール紀行』『物語で知る日本酒と酒蔵』(共にイースト・プレス)、『この場所だけが知っている 消えた日本史の謎』(光文社知恵の森文庫)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)、『一度は行きたい「戦争遺跡」』(PHP文庫)ほか。また近著に、『横濱麦酒物語』(有隣堂)がある。
用語解説

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