書店員さんに聞いてみた!今あなたに読んでほしい「お金の本」

自分たちの経営状況を公開!? スモールビジネスを応援する書店が選ぶ「お金の本」

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今こそお金の根底を問う、骨太な人文書

今回は「お金の本」がテーマですが、恥ずかしながら個人的には普段そこまで読むジャンルではなく……。だからこそ、ノウハウやハウツーではなく「そもそもお金とは何か?」をさまざまな視点から考えられる3冊を選んでみました。
まずは、柄谷行人の『定本 力と交換様式』。哲学者・文芸評論家である著者が、お金や貨幣がどのように人をコントロールし、世の中を動かしているのか、またその力はどこから発生しているのかを、マルクスの資本論や歴史の根底から問い直しています。

『定本 力と交換様式』(柄谷行人/岩波書店)

個人的な思い出で恐縮ですが、私は高校生の時に同じ著者の『倫理21』(平凡社)を読んだことがきっかけで、人文系の本や文学評論に強く興味を持つようになったんです。だからこそ思い入れも深く、この本を選びました。
硬派で骨太な1冊ですが、今の競争社会の中で、日々一直線にビジネスを頑張っている方にこそ、読んでみていただきたいです。「頑張って働かなければ」「お金を稼がなければ」などの日常のサイクルから一歩引いて、人間の思考や経済の仕組みを大局的に考えるきっかけになるはずです。

お金は怖くない!恐怖心や抵抗感をなくす

2冊目は、田内学さんの『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』です。こちらは先ほどの本とは打って変わってやさしい文章。ふりがなが振られた小説形式で非常に読みやすく、小学校高学年くらいから楽しめる一冊です。

『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』(田内学/東洋経済新報社)

著者の田内さんは、証券会社でトレーディングに従事していた方。経済や投資に詳しくない私のような人にも、お金や経済の基本がとても腑に落ちるように書かれています。
お金に対して漠然とした恐怖感を持っていたり、稼ぐことになんとなく抵抗感があったりする人が、そこから脱却するのに持ってこいの本だと思います。「お金は目的ではなく、人間の営みをつなぐための手段である」。そんなシンプルな真理をやさしく教えてくれます。

「お金信仰」の次の時代にいくには?

3冊目にご紹介するのは、ヤマザキOKコンピュータさんの『お金信仰さようなら』。
著者は、パンクロック系のバンドマンや投資家など多様な顔を持つ方で、この本もご自身で立ち上げた小さな出版社から発行されています。『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』(タバブックス)に続く2冊目の著書で、前作に続きアーティスティックな装丁が目を惹きます。

『お金信仰さようなら』(ヤマザキOKコンピュータ/穴書)

印象的だったのは、お金を稼ぐことを第一の目的にするのではなく、商売を通じて人と関わり、その場を楽しむことを優先する「活気主義」の考え方です。
たとえば、昔の商店街が利益度外視で安く売ったりおまけをしたりしていたのは、そのやり取りで生まれるお客さまとのにぎやかな交流を楽しんでいたことや商店街のメンバーで頻繁に旅行に出かけていたことなど、損得勘定を超えて商売やその延長としての活動に取り組むことについて、関わる人の「活気」を大切にしていたと説明しています。利益ばかりを追い求める「お金信仰」から離れ、コミュニティでのつながりや楽しさを大事にすることで得られる豊かさが提案されています。
日々書店という商いの現場に立つ私自身、売上はもちろん大事ですが、まずは「自分たちが楽しい気持ちでお客様や近所の方たちと接する」という本質を手放してはいけないなと、改めて気づかされました。

お話を伺った方
遠井 大輔
トオイダイスケ名義でミュージシャンとして活動ののち、出版・書店業界未経験ながら2023年4月より透明書店の店長として勤務。書店実務(書籍仕入・陳列・句会歌会の運営など)を主に担当する。好きな本のジャンルは人文や創作論的なエッセイ、詩歌。
著者/ライター
町田 晴
1989年生まれ。ビジネスからエンタメまでインタビュー取材を主にこなす。ミステリー小説とノンフィクションが好き。書店に行くと本だけでなく、文房具コーナーでもつい何か買ってしまうタイプ。

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