ゴールド月次モニター7月

提供元:ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント

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2027年初頭に向け、5,000ドル/オンスの目標価格を維持

・短期的な逆風…6月の金の買い(ロング)ポジションは苦戦しました。金を保有する際の機会費用の上昇や、ドル高が投資家心理を圧迫したためです。金のスポット価格は11.7%下落し、断続的に1オンス当たり4,000ドルのサポートラインを試す展開となりました。これに対し、銀が22.2%、ビットコインが20.4%、先物の期間構造を考慮しないコモディティ価格は9.2%下落しました。リスク調整後のパフォーマンスを見ると、金は銀、ビットコイン、コモディティのスポット価格をアウトパフォームしました。米国上場の金上場投資信託(ETF)の資金フローは、4月、5月は比較的均衡していたのに対し、6月には解約によって約53億ドルの資金が流出しました 1

○ 米国の翌日物金利スワップ(OIS)カーブは直近で今年約1.5回の利上げを織り込んでいるのに対し、2月時点では今年2〜3回の利下げを織り込んでいました 2。これは年限をまたいで実質金利を押し上げ、米国マネー・マーケット・ファンド(MMF)の資産残高は過去最高の7.9兆ドルに達しました 3

○ 米ドルが買いを集めています。3月から6月のイラン紛争の期間中、金は対米ドルで、米国を除く主要10カ国通貨に比べ約2.6%ポイント、アンダーパフォームしました 4

○ ブレント原油価格は米国とイランが停戦を維持する可能性を受けて、当社の1バレル当たり80ドルの目標価格を下回っているものの、金利トレーダーは依然として米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締めを実施すると予想しています。回復基調の米国の労働統計や、FRBのウォーシュ議長が2%のインフレ目標を掲げていることから、短期的には再利下げが遠のいているとみられます 5

・構造的には追い風…2024〜2025年に比べれば不安定な推移となっていますが、当社は金の上昇サイクルが続くと考えています。FRBがタカ派に転じたとしても、コロナ禍以降の金に対する構造的な追い風は変わらないはずです。

○ 世界の債務残高は2026年上半期に、過去最高の353兆ドルに膨らみました。重要なのは、政府部門の債務が急速にその3分の1に近づき、これも過去最高という点です 6。積極的な財政運営とインフレ圧力は、金の通貨ヘッジ手段としての需要を引き続き支えるはずです。

○ 株式と債券の相関度は、1990年代後半〜2021年までの約25年間に比べると依然として、高水準が続いています。2025〜2026年にかけて相関度はやや低下したものの、アセットアロケーション担当者にとって、流動性の高い分散投資需要は、今後も引き続き検討すべき重要項目であると予想されます 7

○ 金の実需は底堅く、特に中国の個人投資家や、新興国中央銀行からの旺盛な需要に変化はありません。イラン紛争以降、中国の個人向け金輸入は急増し、国内プレミアムも上昇しています。これは、根本的に中国国内の金需給が逼迫していることを示唆しています 8

○ 世界的なミューチュアルファンド(MF)およびETF資産に占める金の保有比率は、1%を下回っています 9。これは、当社がほとんどのポートフォリオで推奨する戦略的な目標比率の3〜10%を大きく下回っています。

・当社は、今後6〜9カ月で金価格が1オンス当たり4,750〜5,500ドルまで上昇する可能性が高いとみています(基本シナリオ、確率70%)。一方で、短期的には弱気の逆風が強まっており、金価格が4,000〜4,750ドル前後にとどまる可能性も高まっています(確率25%)。3,750〜4,000ドルには強固なサポートラインがあるとみていますが、5,500〜6,250ドルに達する可能性(強気シナリオ、確率5%)は、1〜2月のマクロ環境に比べると低くなっています。

欧米の投資家は売る一方で中国の投資家は2026年下半期に買いに動く構え

・金価格を左右する力学が2023年下半期〜2026年第1四半期の安定した強気トレンドから変化する中、2026 年以降、3〜6月の金売りに伴い、地域ごとのファンドへの資金フローには乖離が見られます。1〜2月には季節的に過去最大となる115億ドルの資金流入がありましたが、北米の投資家はその後4カ月間に187億ドルを売却しました。しかし、中国では年初来59億ドルの資金が流入しています。アジア全体のファンドへの資金フローと合わせ、2026年上半期にアジア地域の買いは合計約126億ドルに達しました 10。これは、イラン紛争時に欧米投資家が見せた資金引き揚げを拡大させる動きを幾らか緩和しています。欧米投資家は、主要4カ国の中央銀行がタカ派に転じたことを、引き続き警戒している可能性があります。

・中国を含むアジアの金ファンド投資家は、5月下旬から6月にかけ、合計約36億ドルを売却しました。しかし、これは一時的な巻き戻しにすぎないのでしょうか。中国の国内金価格のプレミアムは6月に平均1.0%となり、2025年4月の「解放の日」直後以来の高水準に達しています。これは、2025年後半にアジア向け金ファンドへの流入が総額147億ドルに達する急回復に先行する動きでした 11。確かに、中国本土への外貨準備以外の金の輸入は第2四半期に急増し、4月は前年同月比25%増の160トン、5月は同63%増の163トンに急増しました。これは、イラン紛争と原油価格ショックが始まった3月に、金の輸入が同120%増と急拡大した延長線上にあります 12

・中国の国内金価格のプレミアムが上昇しているものの、ETFの大量の買いには依然としてつながっていません。ただし、国内の実需は依然として底堅く、今後の強さを示唆している可能性があります。当社は、中国が牽引するアジア全体の買いの動きは金価格を1オンス当たり4,000ドル前後で支え、2026年下半期には4,500〜5,000ドルに押し上げる可能性があるとみています。これによって、欧米のファンドへの資金フローは4〜5月前半の水準で安定するでしょう。

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