ファン株主とのコミュニケーションが企業価値を上げる
良品計画が「株式分割」「株主ミーティング」を通して個人株主との絆を深める理由
「100株以上保有」という基準をあえて見直さなかった「株主優待」
良品計画の個人株主増加の理由は、株式分割だけではない。多くの株主から評価されているのが、株主優待だ。良品計画の株式を100株以上保有していると、買い物の際に7%割引になる優待クーポンが配布される。
株式分割によって、これまで100株保有していた株主は200株保有することになったが、優待クーポン配布の基準は「100株以上保有」から変更しなかった。
「株主の方々に平等な優待でありたいという思いから、『100株以上保有』という基準は変えませんでした。それによって、より多くの方に優待を活用していただきやすくなったと思っています」
ポイントとなるのは「平等」。株式の保有数にかかわらず、投資してくれていることに対する感謝の意味を示すものとなっているのだ。
「7%は、株主優待としては比較的高い割引率ではないかと考えています。また、日常的にご利用いただきたいという思いから利用頻度の制限や限度額などは設けていないので、クーポンが使用できる期間中であれば、いつでも何度でも7%割引でお買い物をしていただけます。2024年に割引率を5%から7%に引き上げたのですが、その反響が大きく、日頃から無印良品などでお買い物をしてくださっているお客様が株主になるきっかけになったと感じています」
コストカット以上に大切にしたい“株主との接点”
株式分割や株主優待の拡充によって個人株主が増加すると、その分だけ株主総会の招集通知をはじめとする通知書類も増え、印刷や郵送にかかるコストが上がる。企業としては懸念材料になる点であり、良品計画でも議論された。
「事務的なコストが増えることを気にする声は、確かにありました。また、個人株主が増えるとお問い合わせの件数も増え、オペレーションに負荷がかかるのではないかという声もありました」
コストの増加は免れないものだが、社内で議論を重ねた結果、それ以上に個人株主が増えることの効果のほうが大きいという判断になったそう。
「個人株主が増えることによって、優待を利用してお買い物してくださる方やその回数が増えると、我々の売上にもつながります。その結果として企業価値も上がる好循環が期待できるという結論に落ち着きました。中長期的に見て、ファン株主を増やしていく取り組みは重要だと考えています」
招集通知などを電子化してコストを抑える方法もあるが、あえて紙で届けることで個人株主とのつながりを強くしたいという思いのもと、郵送を継続しているとのこと。
「招集通知や『MUJIレポート(統合報告書)』のデザインを統一し、ブランドイメージを大切にしています。招集通知のデザインは10年以上変わっていません。電子化したり簡略化して薄くしたりして、コストカットする方法もあるのですが、年に1回株主の皆さんに改めて当社のことを知っていただく機会なので、情報量も厚めにして、できるだけちゃんとお伝えしたいという思いでフルバージョンの資料をお届けしています」
株主優待のクーポンは、2026年5月に「MUJIアプリ」で利用できるように電子化された。ただし、これはコストカットのためではなく、より利便性を上げるための措置。
「かつての紙製の優待クーポンは有人レジでのみ対応しており、セルフレジやネットストアでは使えなかったため、利用が限定されていた部分がありました。電子化することで、セルフレジやネットストアでも使用できるようになったので、より多くの方にストレスなく気軽に利用していただけるのではないかと思っています」



