資産8億円超のサラリーマン投資家が伝える「節約」&「分析」のススメ・前編
株式投資で資産を形成するポイントは「損をしないで、元を取る」
「2つの指標」と「5つの要素」で見る銘柄スクリーニング術
投資歴20年を超えたいまも投資判断のベースは変わらず、「PER」を軸にしている御発注さん。具体的には、次の方法で銘柄をスクリーニングしているという。
(1)PER15倍以下
(2)ROE(自己資本利益率)6%以上、7.5%以下
(3)過去3年売上高変化率(降順に並べる)
「範囲を広げすぎると銘柄が絞り切れず、各銘柄を調べる気が起きなくなるので、主に『PER』『ROE』でスクリーニングをかけています。『PER』は先述した通りですが、『ROE』は高ければ高いほど魅力的です。ただ、『ROE』が上がると投資家の期待が乗り、株価が割高になる傾向があります。期待が乗る境界が8%以上といわれているので、そのギリギリの塩梅の銘柄を見つけ出すため6~7.5%で抽出しています。売上高変化率はわかりやすく並べるための設定なので、降順でも昇順でも問題ありません」
絞り込んだ銘柄のなかから、次の5つの要素ができるだけ重なるものを選定し、投資対象にしていくとのこと。
●バリュー(収益性)
●グロース(成長性)
●高配当・優待
●テーマ・時流
●カタリスト
「収益性や成長性は、『PER』などの指標から判断できる部分です。高配当・優待もわかりやすいですよね。テーマ・時流は、話題になっているもの。AIや電気自動車などの関連銘柄は値上がりしやすくなるからです。最後のカタリストとは、株価や企業価値に影響を与える要因や出来事のこと。業績の上方修正や新製品の発表、配当増額などが挙げられます。投資家の方々はそれぞれの異なる要素を重視していますが、その要素がいっぱい重なるということは欲しいと思う人がたくさんいると考えられ、株価や配当も上がるという見立てです」
現在の御発注さんの保有銘柄は200を超えるが、そのうち95%程度は日本株だという。その理由は、御発注さん流の選別法を実践しやすいから。
「僕の選定方法だと、話題になっているものや流行しそうなものという観点も大事になってくるので、よく知っている企業の銘柄のほうがいいんですよね。『長期投資するならアメリカ株のほうがいい』という見方があり、僕もそう思っているんですが、細かいところまでわかっていないと投資はできないので、日本株をベースにしています」
株式投資の魅力は「自分で投資先を選定できるところ」
株式投資を始めた当初に抱いていた「元が取れればいい」という思いは、資産が8億円を超えたいまでも変わっていないそう。
「株式投資に限らず、すべての投資で大切なのは『リターンを得ること=損をしないこと』だと思います。そう考えると、いまは投資信託が連動している指数の調子がいいので、あえて個別株を買わなくてもいいのかなとも思います。特に、2024年に新NISAが始まってからは指数が本当に強くて、明らかに勝てなくなったんですよ。僕も投資経験ゼロの状態でいまから投資を始めるとなったら、NISAで投資信託を積み立てると思います」
御発注さんは投資信託の最大のメリットを、「企業分析や銘柄選定などの時間をかけず、効率的にリターンを得られること」と話す。手間ひまかかる個別株への株式投資は、投資初心者には少しハードルが高いかもしれない。しかし、投資信託にはない魅力があるという。
「優待がもらえるのは、個別株ならではの魅力ですよね。もうひとつ、僕が魅力だと感じているのは“自分で決められる”という点です。投資信託だと『この銘柄の比率を高くしたい』『この銘柄は入れたくない』ということはできませんが、個別株であれば『この優待が欲しい』『この配当利回りが魅力的だ』といったそれぞれの視点で投資先を選ぶことができます。また、個別株だと、ある銘柄を買ってからその企業の業績が上がり、配当利回りがアップするといったことも期待できます」
さまざまな企業や業界のことを知り、成長に期待して投資をする。ひとつひとつの判断を自分で選択するからこそのやりがいや達成感が、株式投資ならではの魅力なのだ。
「僕は根底に『自由でありたい』という思いがありますが、同じように自由を求めるタイプの人は個別株での投資が合っている気がします。自分の思い通りにしたい人や『ほら、言った通りでしょ』って言いたい人は、向いているのではないでしょうか」
「損をしないで、元を取る」という堅実な思考で、資産を築いてきた御発注さん。後編では株式の売買で心掛けていることや、投資初心者に伝えたいことを伺う。
(取材・文/有竹亮介)

