TOPIX改革、その詳細は? 改革の狙い、今後のスケジュールまで確認
※下記内容は楽天証券の投資情報メディア「トウシル」上で2026年9月30日に掲載した記事の再掲載です。
2026年10月末に迫るTOPIX改革。スタンダード市場やグロース市場に上場する企業からの採用、定期的な入替えなど枠組みが大きく変わる。改革の狙い、中身の変化、今後のスケジュールなどをTOPIXを算出するJPX総研インデックスビジネス部の飯塚賢・統括課長に聞いた。
TOPIXの機能向上と連続性の維持、特徴は定期入れ替え
トウシル編集部(以下、トウシル):2026年10月からTOPIX(東証株価指数)の枠組みが大きく変わります。いわゆる「TOPIX改革」ですが、まずはどのような趣旨で今回の見直しがされるのか伺いたいと思います。
JPX総研の飯塚賢・統括課長(以下、飯塚):TOPIXの機能性の向上を目的にしています。具体的には、日本の株式市場をより広く表し、より運用しやすい指数にしていくことを目指しています。TOPIXは広く利用されている指数のため、これまでも性質としての連続性を維持しながら見直しを進めてきました。
トウシル:2022年4月には東京証券取引所の市場再編がありました。市場再編がTOPIX改革の一つのきっかけなのでしょうか。
飯塚:市場区分の見直し以前のTOPIXは東証市場第一部銘柄を対象としていました。市場区分の見直しをきっかけとして市場区分とTOPIXの構成銘柄を切り離す第一段階の見直しを実施しました。今般の2026年10月の見直しは、これに続く第二段階の見直しに当たります。プライム・スタンダード・グロースのすべての市場区分がTOPIXの選定の対象になることに加えて、これまではなかった銘柄の定期的な入替えを実施することが大きなポイントです。
TOPIXの見直しルール検討に当たってはパブリックコメントを通じて、市場関係者を含めた広い意見を募りました。見直しに際して市場への影響を抑えるためにルールの周知期間を十分に設けるとともに、一度で実施するのではなく段階的に進めていく形としています。
スタンダード・グロース市場からも採用 「流動性」基準で選定
トウシル:今回のTOPIXの見直しのポイントやルールの詳細を教えてください。
飯塚:見直しのポイントは大きく3点あります。1点目は繰り返しになりますが指数と市場区分を切り離し、プライム市場のみならずスタンダード市場、グロース市場を含む東京証券取引所の全市場の上場銘柄が対象になることです。
2点目は「流動性基準」を設けてTOPIXに入る銘柄を選定することです。
3点目は定期的な銘柄の入替えです。初回の入替えを2026年10月、ここで継続基準を満たさなかった銘柄の再評価を2027年10月、そして二回目の入替えを2028年10月に行います。以降、毎年10月に定期的な銘柄の入替えをしていきます。定期的な銘柄の入替えによって、指数の特性を維持していきます。
トウシル:「流動性基準」という言葉はやや難しいのですが、具体的にどのような基準になっているのでしょうか。
飯塚:2つの基準を設けています。1つ目は「年間売買代金回転率」です。個々の銘柄の売買代金を時価総額で割ったもので、市場でどれほどその銘柄が売買されているかを示す指標です。
2つ目は「浮動株時価総額の累積比率」です。銘柄間の相対的な規模を測る指標で、株式市場で実際に流通する「浮動株」を基に計算した時価総額を積み上げていくことで判定します。TOPIXに採用されていない銘柄であれば全体の上位96%に入れば新たに採用され、すでにTOPIXの構成銘柄であれば97%に達するまでは採用を継続するというルールです。
「浮動株」は株式市場で実際に流通する可能性が高い株式を指します。各企業が年に1回提出する有価証券報告書を基に計算して見直しをしています。2026年10月の初回の入替えでは2025年1月から12月までの期間を決算期とする有価証券報告書を基に計算された値が用いられます。
トウシル:つまりすでにTOPIXに採用されている銘柄のなかで浮動株時価総額の下位3%になる銘柄はTOPIXから除外となるということですね。新しいTOPIXのルールで追加は上位96%、継続は上位97%と差を設けているのはなぜでしょうか。
飯塚:追加と継続の差は、指数としての安定性と投資効率の観点を考慮したものです。追加と継続の基準が同じ場合、基準に近い水準に位置する銘柄が採用されても次の入替え時にすぐに除外になってしまいます。過度な銘柄入替えを抑制する「バッファ・ルール」と呼ばれるもので、国内外の主要な指数でも導入されている仕組みです。
トウシル:もう一つ確認しておきたいルールがあります。暗号資産(仮想通貨)の保有量が総資産の50%超の企業を当面はTOPIXに新規追加しないという方針を発表していたかと思います。
飯塚:2026年の4月にパブリックコメントを実施し、その意見を踏まえて決定しました。パブリックコメントでも本新規追加に関してさまざまな意見があることが確認され、TOPIXに連動する運用への影響を考慮し、「当分の間」は新規追加を見送る方針を決めています。
26年3月末時点の試算では継続性の維持と流動性の向上を確認
トウシル:今回のTOPIXの見直しでJPX総研ではどのように指数が変わると見ているのでしょうか。
飯塚:2026年3月末時点のデータで、2028年7月末時点のTOPIXの姿を試算しました。
TOPIX全体の浮動株時価総額は現在のTOPIXで691兆円、次期TOPIXでは684兆円と変化は約1%に留どまります。一方、構成銘柄の浮動株時価総額の中央値は2.6倍、1日あたりの売買代金の中央値が2.8倍と構成銘柄の流動性が大きく上昇します。
構成銘柄数は現在の1,654銘柄から約1,050銘柄にまで減り、スタンダード市場とグロース市場から約50銘柄が選定されるという試算結果です。
トウシル:銘柄数が減っても指数としての特性は大きく変わらない一方で、構成銘柄の中身に変化があるということですね。
飯塚:今回の見直しは構成銘柄数の増減を目的としたものではなく、指数の特性を維持しながらより運用しやすい指数とすることを目指しています。指数としてTOPIXがカバーする市場の範囲を維持しながら、構成銘柄の中身の規模や売買のしやすさに繋がる流動性を高めていることが確認できました。併せて、業種やファンダメンタルズも現状のTOPIXの特性を維持できていることを確認しています。
10月7日に選定結果を公表、段階的な移行へ
トウシル:TOPIXの見直しに関する今後の具体的なスケジュールを教えてください。
飯塚:まず2026年10月7日に初回の定期入替の結果を公表する予定です。現在のTOPIXに採用されていて今後も採用が継続する銘柄、新規追加となる銘柄、基準を満たさない銘柄を公表します。初回の入替えは10月30日となります。
基準を満たさない銘柄は一度に指数から除外するのではなく、段階的にウエイトを下げていきます。具体的には四半期ごとに8段階でウエイトを下げていきます。ただし、2027年10月には再評価を行い、その段階で改めて継続基準を満たしている場合、ウエイトの低減が止まります。
移行期間中に再評価を設けたのはパブリックコメントでの意見を踏まえたものです。企業の取組みや市場評価を反映できる仕組みが必要との意見がありました。加えて2028年10月の2回目の定期入替での売買の負担が軽減できるのではないかという意見があり、再評価の導入を決めました。
トウシル:大きな変更となりますが、移行のスケジュールもかなり長期間にわたるんですね。
飯塚:今回の見直しはTOPIXという指数が将来にわたってその役割を果たしていくための取組みです。TOPIXの利用や日本株投資を考えるきっかけとなれば幸いです。
(JPX総研)
楽天証券(トウシル)
TOPIX改革、その詳細は?改革の狙い、今後のスケジュールまで確認





