やせ蛙まけるな一茶これにあり
サラリーマン投資家の味方とは
提供:日興アセットマネジメント
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やせ蛙(がへる)まけるな一茶これにあり
ある日、会社から家に帰ったとき、けっこう疲れ切っていたときでした。そんなときに矢継ぎ早に、娘から自動車学校の授業料の振込を依頼され、妻から取りに行き忘れた新聞を取ってきてと言われたときに、ぱっと頭に浮かんだのが江戸時代の俳人、小林一茶が詠んだこの俳句でした。現在の自分がこの俳句のやせ蛙に重なったように思えたのです。
日本俳句研究会ホームページの俳人列伝の解説によると、「かわず合戦という、カエルのオス同士が一匹のメスを巡ってお互いを押しのけ合うのを見物し、弱いやせガエルを応援して作った俳句です。弱い者への哀れみを詠んだとされていますが、52歳まで結婚できなかった自らの不遇をやせガエルに重ねていたとも言われています。」とのことです。
また、「どうやら一茶は、29歳の頃にはすでに白髪になっていて、顔色も悪く、見た目の風貌が良くなかったために、女性にはあまりモテなかったようです。」ともありました。これを見て、さらにこの俳句について考え込んでしまいました。
サラリーマンまけるなXXXこれにあり
この俳句の情景を現代の企業戦士、サラリーマンにあてはめてみると、会社のあるポストを争いお互いを押しのけあっているサラリーマンがイメージされてきました。
競争はある意味、良いサービスや製品を生み、組織を活性化する付加価値創造の源泉なので必要なことだと思いますが、必ず勝敗があり、敗者のほうが大多数になる仕組みになっています。勝者はともかくとして、敗者、やせ蛙のケアや処遇は、組織の安定、はたまた社会の安定に不可欠ですが、誰が、何が、どのように行うのか、一茶の立場に立ってくれるものは何かと思いました。
XXXにあてはまるものとして、家族や友人、はたまた、企業年金、公的年金等の社会保障制度、自助努力としての貯蓄や投資を考えてみました。
家族や友人に関してですが、特に家族は大きな心のささえになると思います。が、生活を営んでゆくための必要経費があります。さらにその他の支出もあるでしょう。ベビーメタルの「おねだり大作戦」の歌詞が頭をよぎります。「買ってー♪、買ってー♪、ちょうだい♪、ちょうだい♪」と。
さて、企業年金、公的年金等の社会保障制度は個人ではどうにもしようがないので、自助努力としての貯蓄や投資について考えてみました。前述のように娘から依頼された自動車学校授業料の支払ですが、その払える残高がある貯蓄口座があれば心は平穏なのですが、無ければそうではないですね。貯蓄は得たものを貯める概念ですが、増やす概念ではなく、出費に対して元本を取り崩すということになります。
投資は増やして行く概念ですから、増やせたもので出費を賄える可能性があります。但し、投資というと、いくら儲かっているのか、いくら損しているかということに意識が集中しがちです。案外、投資の総資産額がいくらか、残高がいくらかということの意識が希薄なのです。
通常の投資商品で残高が積みあがっていれば、換金して支払にあてることが可能です。残高で捉えるようにしてみると、案外、損益の発生を見ているよりも長期投資に違和感が無くなると思います。積立投資はこの心理が働いているように思われます。
さて、残高を積み上げるにあったては、貯蓄・投資にかかわらず長期・分散・積立がキーワードになるかと思います。このあたりは東証マネ部でも繰り返し触れられている点です。ただ、あまり触れられていない点は「長期投資の対象資産として、その時間の経過と資産の成長が正の関係になる資産を対象にするのが好ましい」ということです。
代表的な投資対象である株式は、資本を調達した事業会社が、その資本を投資して付加価値を創造して、時間をかけて成長してゆくものです。なかには失敗する会社もあるのでしょうが、その他の会社で成功・成長してゆくものもあり、これらの当たり外れを見極めるのは難しいので分散投資を行うのです。
一方、債券は発行体が一定の期間元本を提供してもらう見返りに定期的に利息を支払い、満期時に元本を返済するもので、時間の経過とともに利息という収益が発生するものです。
これらの時間の経過を収益発生の味方にしている金融商品が株式や債券に投資をしている投資信託であり、その投資信託の一種がETFなのです。ETFは、その比較的低い信託報酬から時間の経過を収益発生の味方にする長期投資に向いた金融商品です。
「サラリーマンまけるなXXXこれにあり」のXXXですが、資本市場の殿堂、東京証券取引所の運営する「東証マネ部」では、株式かETFかということになるのでしょうが、手軽に分散投資ができるという意味ではETFに軍配が上がるかと思います。そこで、最後に、「サラリーマンまけるなETFこれにあり」で締めくくりたいと思います。