ポイントは、「税金」「使い分け」「値段の振れ」「買い方」

専門家4人が語る「ETFの賢い利用法」

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冒頭、イデア・ファンド・コンサルティング社長の吉井さんが、長期投資の基本的な考えを説明。第1部パネルディスカッションのテーマであった人生設計同様、どれだけお金を増やしたいかなど、「長期投資も目標を明確に持つことが大事」と話した

冒頭、イデア・ファンド・コンサルティング社長の吉井さんが、長期投資の基本的な考えを説明。第1部パネルディスカッションのテーマであった人生設計同様、どれだけお金を増やしたいかなど、「長期投資も目標を明確に持つことが大事」と話した

1月22日(日)に開催された、東京証券取引所主催セミナー「人生100年時代のマネープランを考える!~東証ETFで長期投資を~」。第1部パネルディスカッションでは、著名起業家3人が、「人生100年時代」に向けた人生設計についてトークを展開。第2部では、「ETFで豊かな未来を実現しよう!」をテーマに、ETF初心者代表として、モデル・タレントの延時成実さんを迎え、プロのアドバイザーや運用会社の担当者が、ETFの活用法を紹介した。

序盤は、「TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価といった身近な指数に投資できる」「銘柄数が少なく選びやすい」「簡単に分散投資ができる」「信託報酬が安い」など、ETFの魅力をファイナンシャルプランナーの深野康彦さんと、イデア・ファンド・コンサルティング代表取締役社長の吉井崇裕さんが、延時さんに丁寧に説明。

延時さんは、個別株やFXといった、値動きに感情が左右されやすい「短期投資」よりも、比較的悩まずに続けられる「長期投資」の方が、「身の丈に合っている」と、長期投資に適するETFに興味を示していた。

モデル・タレントの延時成実さん。ETF初心者代表として、「ETF」の名称から運用の仕方まで、パネラー陣に素朴な疑問を投げかけた

モデル・タレントの延時成実さん。ETF初心者代表として、「ETF」の名称から運用の仕方まで、パネラー陣に素朴な疑問を投げかけた

■日本、世界、ETFの多彩な銘柄

それでは、ETFにはどのような銘柄があるのか。運営会社である、日興アセットマネジメントETFセンター長の今井幸英さんと、三菱UFJ国際投信シニアマネジャーの佐々木康平さんが、それぞれの商品の特徴を交えてETFの魅力を語った。

日興アセットマネジメントのETFは「長期投資」を前提に、日本株は基本的に、日本の企業の成長とともに資産が増えていくことをコンセプトにしているという。外国株では、日本を除く先進国・新興国の株式に投資する商品などを引き合いに出し、「日本株を組み合わせれば、日本を含む世界の経済をカバーできる。まずは関心のある銘柄から始めて、値動きや分配金をチェックし、実感していただきたい」と今井さん。

三菱UFJ国際投信の佐々木さんは、コストの低い商品の存在を示唆し、ETFが長期投資向きであることをアピール。信託報酬等の保有コストを低く抑えているメリットを解説したうえで、ニュースでもチェックできる指数を利用した商品や、トランプ相場に注目するなら押えておいてほしい商品なども紹介した。

■汎用性の高さやコストが魅力

そして、注目すべきはパネリスト4人が語る、ETFの「賢い使い方」だ。

ファイナンシャルリサーチ代表の深野さん。テレビ・ラジオ番組などの出演、各種セミナーなどを通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている

ファイナンシャルリサーチ代表の深野さん。テレビ・ラジオ番組などの出演、各種セミナーなどを通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている

深野さんは、税金に注目。「例えば、FXの税率は約20%で、一定額以上儲けたら確定申告が必要。ETFも株式と同じで税率は約20%だが、“源泉徴収ありの特定口座”を利用すれば、上場株式からの損失や、個人向け国債と損益通算をしたうえで、証券会社が自動的に納税してくれるので確定申告も不要。また、給料や公的年金、収益が合算されるような累進課税もないので、税制上でもウマミのある商品を、うまく分散、組み合わせることが、長期投資でプラスアルファを求めるなら重要です」(深野さん)

イデア・ファンド・コンサルティング社長の吉井さん。金融機関等に対する事業コンサルティングや、個人投資家に対する投信・ETFに特化した投資助言サービスを提供している

イデア・ファンド・コンサルティング社長の吉井さん。金融機関等に対する事業コンサルティングや、個人投資家に対する投信・ETFに特化した投資助言サービスを提供している

吉井さんは、ファンド選びの観点から、投資信託とETFの使い分けのコツを紹介。国内株式やJリート(日本の不動産投資信託)を対象とするアクティブ型の投資信託の中には、リターンが市場平均を上回る商品が意外とあるが、一方で海外の株式や債券、リートを対象とするアクティブ型の投資信託などは、なかなか市場平均を上回る商品がないそう。これらのジャンルはパッシブでかつコスト重視で、ETFを選んだりもするそうだ。

また、理想のポートフォリオ(分散投資)を長期的に管理する上でもETFは欠かせないと話す。「リバランスといって、当初定めた保有比率よりも比率が大きくなってしまった銘柄を売り、少なくなってしまった銘柄を買って、(分散投資の)バランスを定期的に整えることが重要。投資信託だと購入する価格にタイムラグが生じるのですが、ETFは、リアルタイムで売買ができるのでリバランスの管理をしやすいのが魅力です」(吉井さん)

■長期投資に最適なETFの選び方、買い方

日興アセットマネジメントETFセンター長の今井さん。2012年、2013年武蔵大学経済学部非常勤講師、2014年学習院大学経済学部非常勤講師

日興アセットマネジメントETFセンター長の今井さん。2012年、2013年武蔵大学経済学部非常勤講師、2014年学習院大学経済学部非常勤講師

今井さんは、長期投資を念頭に置くETF商品としては、「値段の振れが大きくないものが好ましい」とアドバイス。また、「ハーレーは味のあるアクティブ運用系、長時間走っても疲れないホンダゴールドウィングはインデックス運用系でしょうか」と、投資を延時さんの好きなハーレーダビッドソンにたとえた。

三菱UFJ国際投信 シニアマネジャーの佐々木さん。2015年にETF専担部署を立ち上げ、ETFビジネスを担う

三菱UFJ国際投信 シニアマネジャーの佐々木さん。2015年にETF専担部署を立ち上げ、ETFビジネスを担う

佐々木さんは、日本銀行を例に、ETFの買い方を説明。「2010年12月から日銀はETFの買い入れを始めました。それまでは機関投資家の間でもETFの認知度はあまり高くありませんでしたが、現状では、活用している機関投資家の数が大きく増加しています。ひとつひとつの銘柄を選んでいく投資も面白いですが、ETFを活用して日本株全体に投資する方法もありなのではないでしょうか。100年とは言わずとも、ETFが10年20年も役立つ商品になればと思います」と、期待を込めた。

セミナー終了間際に実施された、来場者を対象とした“リアルタイム投票”では、参加者の約40%が、「ETFに投資してもよいと思った」と回答。延時さんも、人生100年時代に向け、20代のうちから「習うより慣れろでやってみたい」と、意欲を見せた。今後、より認知が広まれば、ETF投資者の裾野がさらに広がることを感じさせる90分だった。

(赤木一之/H14=取材・文、林和也=撮影)

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