“ほったらかし”でも順調に資産を積み上げてきたコツとは
投資ブロガー・nantesさん「長期投資で仕事にも余裕が生まれた」
投資を始めるには「まずは知識を身に付けなければ」と考え、マネー誌とにらめっこしている人もいるかもしれない。しかし、実際にやってみることで初めて身に付けられる知識もあるはずだ。
そこでは、ブログ「2020年への資産運用の旅(インデックス投資の記録)」を運営し、今年で投資歴10年目を迎えたという投資ブロガー・nantesさん(30代男性)に、投資を始めたきっかけや、当時の運用などについて振り返ってもらった。
就職氷河期を経験、「労働収入のみに頼る生活設計に不安があった」
都内の企業に勤めるnantesさん(30代男性)は、25歳から資産運用を始めたという。
「もともと家族や親族に金融機関に勤めている者が多く、私も大学では経済学を専攻していたので、投資は割と身近な存在でした。また、就職氷河期世代ということもあり、就職事情が大変厳しく、労働収入のみに頼った生活設計については不安があったため、投資をすることの必要性を感じていました」(nantesさん、以下同)
しかし、誰しもそうであるように、最初はほとんど知識がなく、商品選びは“手探り状態”。外貨預金や純金積立、面白そうな投資信託を購入していた。
「はじめのころは手数料が高い外貨預金や投資信託、アカウント型保険なども平気で選んでいました。今思えば、手を出すべきではなかったと思います」
とはいうものの、「10年投資を継続できたということは“成功”だと思う」と話すnantesさん。インデックス投資を始めて10年で、ほぼゼロだったという資産が、約2500万円まで成長したそうだ。
資産運用で「いつでも辞められる状態を作る」ことが余裕につながる
「インデックス投資の積立金額は、ここ5年は毎月10万円以上のペースを維持しています。リバランスはほとんどやっておらず、結果的に“ほったらかし状態”です」
“ほったらかし”でも順調に資産を積み上げてきたnantesさん。独身のままであれば、ブログのタイトルにもなっている「2020年」にはセミリタイアができたという。
「今は結婚して子どももでき、住宅ローンも抱えることになったので2020年の“セミリタイア”は難しそうですが、それでも定年まで働く気はありません。確実に資産形成を進めながら、いつでも辞められる状態は作っておきたい。そうすることで、たとえ仕事を辞めないとしても、結果的には仕事に取り組む上で余裕につながると考えています」
相場を予想しても意味はないから、分散投資の徹底を
投資初心者にとって不安なもののひとつが、日々刻々と変わる“相場”。今後下落してしまったら…と心配する人も少なくない。しかしnantesさんは「相場を予想すること自体に意味はない」と話す。
「相場がどうなるかは誰にも分からない。だからこそ「時間」や「地域」、「商品」など、あらゆる要素について“分散投資”を徹底することが重要です。そうすればリスク資産の振れ幅は小さくなり、買うタイミングは重要でなくなる。だから“ほったらかし投資”ができる。このメカニズムを理解して、長く続けられる商品を淡々と購入していくことが、私も含めた一般人が最も無難に投資成績を上げられる運用法だと思います」
加えて、投資の運用には「家族の協力は欠かせない」という。
「我が家では、妻に対して運用成績を全て公開し、想定されるリスクについて普段から話し合うようにしています。そうすることで、いざという時にどういう行動がとることが合理的なのか判断できると思いますし、リスクを隠さずに説明した方が、結局は信用されると思います」
知識や判断力ではなく、“継続”こそが成功のカギとなるインデックス投資。相場などの情報をむやみに収集するのではなく、自分の“無理なく続けられる範囲”を探ることから始めたい。
(周東淑子/やじろべえ)