誰でも起こる!相続のワナ

そもそもどこまでの財産が相続税の対象なの!?

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土地を借りている場合でも、相続の「財産」になる?

両親や配偶者などの親族が亡くなったとき、相続税が発生するのかどうか。発生するなら、果たしていくらになるのか。これらは、故人がどれだけの財産を持っていたか、その総額と法定相続人の人数で決まる。詳しくは、前回の記事に書いた通りだ。

でも、「財産の総額」を調べる上で気になることがある。そもそも、どんな財産が相続税の対象になるのかということ。それが分からないと、総額を出すことはできない。

ということで、相続税を専門とする岡野雄志氏に、相続税の対象となる財産を聞いてみた。

「まず分かりやすい財産が、現金や預貯金、そして土地と家屋です。このうち土地と家屋については、改めて資産価値を算出しなければなりません。ただし家屋の場合は、毎年送られてくる固定資産税の評価額をそのまま適用すれば大丈夫です」

土地については、国税庁の発表している「路線価」を使っておおまかな金額を出せる。路線価とは、面積当たりにおける地価の目安を地域ごとに定義しているものだ。これでざっくりと土地の価格を算出できる。

「ただし、高低差のある土地や底地などは、路線価に比べて実際の売買価格が安くなる傾向にあります。こういった土地の場合、路線価ベースで相続税を計算すると、実際の資産価値より多く見積もることになるので、税金の払いすぎにつながります。土地を持つ方は税理士に相談する方が安心でしょう」

なお、相続税で見落としがちなのが「借地権」だ。「第三者から土地を借りて建物を建てられる権利」のことで、もし故人が誰かから借りた土地に建物を建てていた場合、その借地権も通常の土地と同様に財産としての申告が必要になる。

「そのほか、家具、自動車、貴金属などの『家庭用財産』も対象になりますし、個人事業主の場合は、機械や農機具、原材料などの『事業用財産』も対象になります。」

あいまいだけど対象になる「みなし相続財産」って?

これ以外にも、財産に含まれるものはある。そのひとつが、株や投資信託といった「有価証券」だ。特に株などは、算出方法を知っておくことで「減税」につながる可能性もある。

「上場株は株価をもとに計算しますが、独特のルールがあります。たとえば9月20日に亡くなった場合、亡くなった当日(9月20日)の終値、亡くなった月(9月)の毎日の終値の平均、亡くなった前月(8月)の毎日の終値の平均、亡くなった前々月(7月)の毎日の終値の平均の4つを比べて、もっとも金額が低い額を選択することができます」

非上場株については、評価額をいくらにするか難しい。これは税理士に依頼するべきとのことだ。

そして、財産の中でも特に見落としがちなのが、生命保険金や死亡退職金だ。

「たとえば夫が亡くなって、妻が生命保険金や死亡退職金をもらう場合、そのお金は相続財産に含まれます。厳密には、生前に夫が持っていた財産ではないので、故人から相続したとは言えないのですが、対象となるんですね。これを『みなし相続財産』といいます」

こんなところにまで相続税がかかってくるのか…と暗い気持ちになりそうなもの。ただし、生命保険金と死亡退職金は「500万円×法定相続人の数」まで非課税となる。

「さらに、『生命保険契約の権利』も財産となります。一例を挙げると、妻にかかっている生命保険について、保険料を夫が支払い、保険金の受取人も夫となっていたが、先に夫が亡くなった場合。この保険契約の権利も、故人である夫の財産となります。評価額は、死亡当日に生命保険を解約した場合の解約返戻金の額となります」

これだけいろいろなものが対象になると、予想以上に財産は高くなりそう…。ただし、なかには総額から“差し引ける”財産もある。借金などの「債務」や「葬式費用」だ。これらは必ず申告しないと損になる。相続税の申告書類に所定の用紙があるので、忘れずに記入しよう。

上述したさまざまな財産を合計し、さらに差し引ける財産を差し引いて、最終的な総額が算出される。それをもとに相続税が決まるわけだ。

相続税の仕組みや、対象となる財産を知ったところで、やはり気になるのは「どうやって相続税を少なくするか」ということ。次回は、相続税の節税対策を取り上げる。

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(取材・文/有井太郎)

※記事の内容は2018年9月現在の情報です