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若いからこそ少額で始められる「長期・分散・積立」

20代が“投資”を始める時の心得「少額×長期」

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結婚や出産、マイホームの購入、定年後の生活など、さまざまなライフイベントを考えて、資金を備えておきたいと考えている若手ビジネスマンも多いことだろう。

20代のうちから投資を始めて資産を増やしていけば、将来余裕を持った生活ができるのではと考える人もいるかもしれない。だからといって、やみくもに始めればいいというわけではない。

ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんに、20代で投資を開始するための心構えを教えてもらった。

給与6カ月分を「安全資金」に

「投資を考え始める前に、まずは支出を把握しましょう。家賃や食費、趣味などにいくら使っているのか、すべて洗い出して、余剰金がいくらあるか知ることが大切です」(横山さん・以下同)

余剰金=預貯金や投資に回せる資金と考えられる。横山さん曰く、「一人暮らし・実家暮らしといった生活環境や収入によっても異なりますが、給与の手取り額の6分の1は預貯金や投資に回せると理想的」とのこと。

「手取りが20万円程度であれば、3万3000円ぐらいですね。まだ貯金がない段階で、すべて投資に回すことはおすすめできません。不意のケガや病気、解雇などで働けなくなった時を見越し、手取り額の6カ月分は貯めておくと安心です」

まずは、投資よりも預貯金を優先すべきということだ。しかし、手取り額で20万円として、6カ月分の120万円を貯めるには、月々3万円の積み立てで4年2カ月もかかってしまう。もう少し早く投資を始めたいものだが、手はないのだろうか。

「確かに貯金には時間がかかりますよね。余剰金が3万円あるとしたら、2万円は預貯金、1万円は投資というように割り振り、並走するのも1つの方法です。6カ月分貯まったら、全額投資にシフトしてもいいと思います」

老後のための投資は“少額×長期”

投資を始める前に、明確にしておくべきことがあるという。

「個別株や不動産投資、FXなど、いろいろな投資に興味が湧く人もいると思いますが、『どの投資をするか』ではなく『なぜ投資をするか』を考えてみましょう。将来のために効率的に増やすのか、経済の動きを知るためなのか、優待を受けるためなのか。目的によって、投資の手段や金額が変わってきます」

例えば、老後資金を準備するための投資なのであれば、FXや仮想通貨はリスクが大きすぎて、確実性は低い。また、経済の動きを知りたいのであれば、無理して個別株を買う必要はなく、少額の投資信託でも十分に学び始められる。

「どの投資手法がいい、悪いということはありませんが、それぞれのメリット・デメリットを知った上で、目的に合っていて自分が実践できる投資を選びましょう」

では、老後の資金確保のため、月々1万~3万円を投資に回せるとしたら、どのような投資手法が向いているのだろうか?

「20代のうちであれば、長期的にコツコツ、リスクの低い手法でするのが合っているので、投資信託の積立がいいと思います。投資の基本である『長期・積立・分散』をすべて押さえています。特に“インデックス型”と呼ばれるものは安定感があり、手数料が低く抑えられているので、長く続けやすいです」

投資の世界でいわれる「分散」とは、複数種類の金融商品を保有すること。その数は2~3種類ではなく、数百、数千単位の分散を意味している。投資信託とは、まさに数百、数千種類の商品をパッケージ化したような金融商品だ。

近年は、月々一定額の投資信託を自動的に積み立てすることができる証券会社も増えている。毎月自分で購入手続きを行う手間が省けるため、長く続けやすい。

低利回りでも長く続ければ資産は増える

金融庁の統計によると、投資信託の利回りは平均3~5%。堅実な数字ではあるが、もう少し利回りが大きい金融商品に投資すれば、資金が増えやすいのではないだろうか。

「個別株だと、大きな値上がりを期待できるイメージがあるかもしれませんが、同じだけ資産が減るリスクもあることを忘れないようにしましょう。リスクをとって高い利回りを求めなくても、投資に回すお金を少しでも長期で捻出することができれば、利回りが低いものでも、大きな資産に化けることがあります」

例えば、40年間で月々3万円を積み立て、想定利回り4%で運用すると、最終積立金額は約3500万円。利回りが低くても長く運用すれば、投資元本は1440万円、収益は2000万円以上と、元本を上回る結果が期待できるのだ。

「投資に回せる資金が少なくても、20代のうちから自身の支出を把握して、投資の仕組みを作っておき、徐々に資金を増やしていってもいいでしょう。ボーナスを投資に回してもいいですね。積み立ての全期間を平均して月々3万~5万円投資できれば、シミュレーションと同じ結果になると考えられるので、最初からたくさん投資できなくても大丈夫です。長く続けることを念頭に置きましょう」

積立投資を長く続けるためには、最初が肝心のようだ。

「投資信託は、最初の10年未満は収益の出方が地味です。場合によってはマイナスに動くこともありますが、そこで積み立てをやめないことが大事。“複利”という効果によって、長く持つほど収益の増え方が大きくなっていきます。数百、数千の商品が組み込まれている投資信託は、それ自身で分散投資ができているためリスクが軽減されており、価値がゼロになることがほとんどないので、コツコツ粘り強く積み立てを続けてほしいです」

若いうちだからこそできる長期の積立投資。最近は数百円、数千円で積立できる商品も多数ある。月々少額しか捻出できないとしても、早いうちに始めておくことで、金銭的に余裕のある将来を迎えられるだろう。
(有竹亮介/verb)

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