子育てにまつわるお金の話

「親子ゼニ問答」出版記念イベントレポート(第二回)これから資産運用をはじめる人が心がけるべきことは?

提供元:THEO by お金のデザイン

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2019年8月23日(金)にお金のデザイン本社で行われた、経済アナリストの森永康平さんと森永卓郎さんの著書「親子ゼニ問答」出版記念イベントのなかから、森永康平さんと弊社CEO中村のパネルディスカッションの様子をお届けします。

第一回は二人が実践しているユニークな家庭での金融教育や、自身が金融業界に入ったきっかけなどのテーマについてお届けしました。

第二回では、資産運用や投資について、さらに深い話が繰り広げられた模様をお届けします。

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これから資産運用をはじめる人が心がけるべきことは?

――次のテーマです「子どもへの金融教育、またはこれから資産運用を始める方が最初にすべきことは?」

森永:すでに資産運用をしているという方、手をあげてもらっていいですか?ありがとうございます、半分くらいの方はやっているんですね。

これから資産運用を始める方に、今やっている方もそうですけど「将来どうなるかというのは絶対にわからない」ということは覚えておいたほうがいいと思います。

例えば「(この株)絶対上がります」と言ってくる人は全員詐欺師です。将来が確実に分かるんだったら、そんな営業せずに自分で運用して億万長者になればいいんだから。

将来どうなるのかわからないという前提で、投資をして「資産を増やそう」、「損しないようにしよう」と考えたら、やはり勉強は必要になってきます。100%当てるのは無理ですけど、勉強して知識と経験を積むことである程度リスクは低減できますし、資産が増えるかはわからないけれど、投資を通して得た知識は絶対に身につくので。

これから資産運用を始める人には「将来は絶対にわからないけど、ちゃんと勉強していけばリスクは減らせる」ということはお伝えしたいですね。

中村:本にもありましたけど、大学生のときから投資をされていたんですよね?

森永:そうですね。

中村:最初に買った銘柄とか覚えていますか。

森永:最初に買った、…なんだったかな。家電作っている会社の株だったかな。当時ってまだ売買単位が100株に統一されていなかったので、金額的に学生の僕が買える株って限られてたんですね。僕が買える株のなかで名前を知っている会社の株を買ったんですけど、知識がなかったから1円上がった瞬間に儲かったと思って売ったんです。そうしたら手数料で負けちゃった。そのくらい知識がなかったんです。

まあ、そこから大学卒業するまでにガッツリ勉強して、なんとか新卒で機関投資家になれたので勉強は大事だなと思います。

中村:僕は金融教育って自転車と同じだと思っています。自転車は教科書を読んで学んでも乗れるようにならない、金融も一緒だと思います。「やってみること」ってすごく重要だなと。

例えばアメリカって金融大国だと言われていますが、なぜそこに行き着いたかを考えてみる必要がある。ジョセフノセラさんの「アメリカ金融革命の群像」という本があって”アメリカ型金融を目指すにあたってのその本質を見極める”というような内容なのですが、「なぜアメリカ人にこんなにクレジットカードが広まったか」というと、金融機関が無償でバラまいたんですよね。それで、みんなが利用するようになった。

アメリカが金融大国になった理由も、みんなの金融リテラシーが高かったわけではなくて、結局は401k(確定拠出年金)などが導入されて、皆がやらなくてはいけない・自分で考えなくてはいけない”仕組み”になっていたからなんです。

NISAやiDeCoなどの制度も重要ですが、それだけでなく、僕ら民間企業が、テクノロジーの力でいかに一歩を踏み出すのを楽にしてあげられるか、その環境を作るのがいま一番求められているんじゃないのかと思っています。

例えば、NTTドコモとポイント投資というサービスをやっていますが、これはサービスを利用して貯めたポイントを投資に使うので、実際のお金を投資するより怖くないですし、お子さんでも誰でも簡単にはじめられる。ポイントとはいえ値動きが毎日あり、なんで動いているのか?という親子の会話にも繋がります。そういうものをまずやってみるのが、金融教育の第一歩としては重要だと個人的には思っています。

森永:ありがとうございます。森永家もかれこれ17年ぐらいドコモユーザーなので、ちょうど僕の子どもにも薦めやすいなと思いました。

ただ気をつけないといけないんですけど、あまりにも早期から金融市場に子どもを漬けておくと、個人投資家の方はわかると思うのですが、子どもがお店を銘柄名でしか呼べなくなる病になるかもしれません。例えば、ユニクロのことをファーストリテイリングと呼ぶようになったり、飲食チェーンの「かつや」のことをアークランドサービスとかですね(笑)。日高屋行こうよが「ハイデイ日高に行こう」という風に日々の会話が銘柄名になってしまいます(笑)。

中村:そのうち銘柄コードになるんじゃないですか。

森永:そうですね。そのうち孫(正義)さんを見たら「9984(ソフトバンクグループの銘柄コード)」と言うようになりますね(笑)。あんまり調子にのるとうちの娘の交友関係に支障が出るので、気をつけたいなと思っております。

コツコツ投資を続けられるのは「前の危機を味わったことがあるから」

――4つ目のテーマです「お二人とも分散してコツコツ投資することをお勧めしていますが、それをお勧めするご自身のきっかけや経験はありますか。」

森永:僕の場合は、過去に攻めの投資をして一気に損をした経験があって、子どもに残してあげたいお金はコツコツ分散投資で運用しなきゃダメだなと思うようになりました。「コツコツ分散」すべきというのは最初からわかっていたわけじゃなくて、失敗して初めて「コレはダメだ」と思ったんです。実体験がベースということですね。

中村:僕も実体験ですね。僕は前職が証券会社勤務だったのに株を買うのは嫌で、色々と勉強して仕組債を売買したりしていましたが、2008年にリーマンショックで全滅してしまいました。でも、僕の資産で唯一儲かっているものがあったんです、それは「401k(確定拠出年金)」でした。

当時401kに上限額を入れて、株式や債券に分散して毎月勝手に買っていくようにしていたんですがリーマンショックが終わって開けてみたら40%くらい儲かっていたんです。その時に、何も考えずずっと積み立てるのが一番良いのだと実感しました。

でも金融機関の営業ってあまり積み立ての商品を提案しないんですよね。なぜかというと儲からないから。賢くお金を貯めていくために個人ができることは、長期積立分散での運用以外ないと思うのですが。この業界構造を変えないと積立投資って日本に普及しないだろうなという課題意識はあります。

森永:今、ファイナンシャルプランナーさんや投信ブロガーと呼ばれる方が中心に、長期分散積立の投資を啓蒙してるじゃないですか。でもだいたい教科書的な話で、いまいち説得力がないなと思うのは、彼らがギャンブル的な投機の怖さを経験していなかったりして、その怖さを同時に教えられないからじゃないかなと思うんです。

中村:そうですね。「長期積立分散」って正直なところ面白く無いじゃないですか。刺激はないし。そのやり方が正しいかどうかも10年後20年後にしかわからない、となると「これでいいのかな」「なんか儲かんないからやめよう」と考えてしまうんですよね。

THEOは長期積立分散が前提のサービスですが、実は100日ぐらいでユーザーが辞めてしまうピークが来る。コツコツ地道に長期積立分散をやりましょうというメッセージを徹底的に出しているのに、少し経ったら不安が出てきてやめてしまう。人間の心理って面白いなって思うのですが、わかっているけど続けられない。

森永:「10年に一度の危機」とか「100年に一度の危機」とメディアが煽る危機ってありますよね。リーマンショック、欧州債務危機、チャイナショック、ITバブルの崩壊もそうですが、いま言ったのって全部2000年代以降の話なんです。ということは、10年に一度の危機がこの10年の間にいっぱい来ているのが実情で、割と頻繁に起こることなんです。

この間、某証券会社の人と話していたのですが、積立設定をされた口座はだいたい2、3年ぐらいで辞めてしまう人が多いと聞きました。この「2、3年」って何かと言うと今言ってた「10年に一度の危機」が来るタイミングなんです。辞めなかった人にアンケートをとると、みなさん”前の危機”を経験した人たちなんですね。みんな知ってるんですよ、株価指数っていうのは放っておけば回復すると。

そういう人たちは相場が下がった時にも「放っておけば良いじゃん」と無視できるのですが、初めて味わう人たちは見る度に資産がバンバン減っていくから「やっぱり投資は危ないんだ」と感じて全部売ってしまう。で、だいたい損切りした時が底になったりするんですよ。それで久しぶりに相場を見たら上がっていて「持ち続けていたら、あそこまで損しなかった」とショックを受けて投資が嫌いになって、SNSなんかで「投資は危険だ」とつぶやいて、それを未経験者が見て「危ないんだ」と思ってしまう。

投資をし続けられている方のなかには、既に過去に”やられている”方が多いと思うんですけど、まだ危機を味わったことない人は是非一度経験してください。危機が来ても慌てないで我慢。放っておけば危機は終わりますし、一回体験したら「はいはい、またこれね」と焦らなくなります。

中村:「危機を味わって」って、資産運用サービスをやっている会社としてはすごく嫌な言葉ですね(笑)。

森永:耐えればいいんですよ、耐えれば。

中村:でもファクトを見てもそうで。2016年の2月にTHEOをスタートしたのですが、その頃ブレクジットが起きたんです。でも、それを経験して乗り越えた人ってその後辞めてないんです。この2、3年いわゆる地政学的リスクによってバンバン相場が揺れていますが、それを耐えてきた人は、辞めずに続けられる。僕らもなるべく早めに揺れを体験してもらうと良いのではと思います。

森永:今まだ初めてない方は、チャンスですね。強烈な下落相場を体験するチャンス(笑)。87年にブラックマンデーがあり、97年にアジアの通貨危機があり、2008年にリーマンショックがあったんだから、10年ごとに波が来るんですよ。サイクル的にはそろそろ来てもおかしくないでしょう。

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第三回では「お金の亡者は悪か?」「老後資金2000万円不足問題について」など気になる質問に答えていきます。

<イベント登壇者プロフィール>

森永康平
マネネCEO・経済アナリスト

株式会社マネネCEO / 経済アナリスト。証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。
現在は複数のベンチャー企業のCFOや監査役も兼任している。著書『親子ゼニ問答』 (角川新書)。日本証券アナリスト協会検定会員。Twitterは@KoheiMorinaga

中村 仁
お金のデザイン代表取締役社長 CEO

関西大学卒業後、野村證券に入社。支店営業後、野村資本市場研究所ニューヨーク事務所にて金融業界の調査を実施。帰国後、営業企画部にて営業戦略の立案、世界中の金融業界の調査を行う。その後、京都支店にてウェルスマネジメントを担当。2016年4月お金のデザインに入社、2017年3月に代表取締役社長就任。2017年11月、「お金の健康診断」サービスを運営する事業子会社の株式会社400F代表取締役社長就任
THEO:https://theo.blue/
お金の健康診断:https://okane-kenko.jp/

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(提供元:THEO by お金のデザイン)

 

<第三回はこちら>
「親子ゼニ問答」出版記念イベントレポート(第三回)老後2000万円不足問題についてどう考える?

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