株主優待とは?メリットや注意点、銘柄選びのポイントを解説

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株主優待は食品や金券などを受け取ることができ、個人投資家にとっても魅力的です。実際に、株主優待を目的に投資を行う方も少なくありません。

株主優待とは企業が株主に対して優待品を贈ることです。任意の制度のため、すべての企業が実施しているのではありません。

この記事では、株主優待を実施している銘柄に投資するメリットや注意点をまとめました。また、銘柄を選ぶ際に注意したいポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

株主優待とは企業から株主へのプレゼント

株主優待とは、企業から株主に贈られるプレゼントのことです。プレゼントの内容は企業ごとに異なります。自社商品やサービスが優待品になることもあれば、カタログギフトや金券が提供されることも少なくありません。

株主優待を贈る基準も企業ごとに異なるので、注意が必要です。最低保有株数が100株の企業やそれ以上の企業、また、株式を保有している期間によって優待品の内容が変わる企業もあります。

株主優待を実施している企業は35.2%

株主優待を実施している企業は決して多いわけではありません。2021年10月末時点では上場企業のうち35.2%の企業でのみ実施しています。

なお、株主優待を実施している企業の割合は年々変化しています。1992年9月末では上場企業のうち9.5%が実施していましたが、2002年9月末では20.0%、2012年9月末では28.6%と長期的に見ると増加してきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響などもあり、株主優待を廃止、あるいは優待品にかかるコストを縮小する企業も現れ、2019年9月末の37.2%をピークに減少傾向が見られます。

食品や金券などの優待品が多い

優待品としてもっとも多いのは食品で、全体の1/3以上を占めます。その次に多いのは金券です。特に自社製品を持たない企業は、金券を優待品とすることが多い傾向にあるといえるでしょう。

その他にも、カタログギフトや食事券、地域の特産品、工場や施設を見学する権利などの多岐にわたる優待品があります。また、優待品の内容を選べる企業では、寄付などの社会貢献を選択肢にするケースも増えてきました。

受け取りは権利確定日の約3カ月後

株主優待を受けるためには、「権利確定日」までに株主になっておくことが必要です。権利確定日とは、株主としての権利を得ることができる日のことで、その日に株式を保有している人が株主として認定され、優待品を受け取る権利も獲得します。

ただし、権利確定日に株式を購入しても、株主としての権利は得られません。株式を購入してから株主名簿に名前が登録されるのに2営業日かかるので、権利確定日の2営業日前(権利確定日を含めて3営業日前)までには株式を購入していることが必要です。なお、権利確定日の2営業日前の日を権利付き最終日と呼びます。

また、権利確定日までに株主になっているときは株主優待を受ける権利を有しますが、優待品をすぐに受け取れるわけではありません。企業にもよりますが、一般的に優待品を受け取るのは権利確定日の約3カ月後です。株主優待が届くタイミングについては、以下の記事もご覧ください。

「株主優待はいつ届く?株式取得しても優待が届かないケースも紹介」

手続きなしに受け取れる

株主優待の優待品は、証券会社を通さず企業から株主の住所に直接届けられ、基本的には受け取るために特に手続きをする必要はありません。

しかし、企業によっては商品を選ぶ必要があるなど受け取る前に手続きが必要になることもあります。手続きが必要な場合は、事前に企業から手続き方法や受け取り方についての案内が来るので、株主側からは行動を起こす必要はありません。優待品のもらい方については、次の記事もご覧ください。

「株主優待のもらい方を4ステップで理解する!注意点についても解説」

配当も受け取れることがある

企業によっては、配当も実施していることがあります。配当とは企業が利益の一部を株主に分配することで、保有する株数に比例して受け取ることが可能です。ただし、配当も株主優待と同じく、赤字のときや企業の方針によっては実施されないこともあります。

株主優待は配当とは別に実施される制度です。そのため、銘柄によっては配当も株主優待もどちらも受け取れることがあります。

なお、本来であれば配当は課税対象のため、税率20.315%で源泉徴収されてから受け取ることが一般的です。しかし、NISA口座で株式を保有している場合は、配当が非課税になり、受け取れる金額が増えます。

また、株主優待で受け取る優待品も「雑所得」となり、受け取る相当額が多くなると課税されます。

次の記事では株主優待のある銘柄をNISA口座で運用するメリットなどについて解説しているので、ぜひご覧ください。

「NISA口座は株主優待目的の投資に活用できる!メリットや注意点を解説」

株主優待の注意点

メリットの多い株主優待ですが、注意点もあります。特に注意したいポイントとしては、次の2つを挙げられるでしょう。

●株主優待の割当日と権利確定日が異なる可能性がある
●権利付き最終日前には株価が高くなることがある

それぞれの注意点について解説します。

株主優待の割当日と株主の権利確定日が異なる可能性がある

一般的には、権利確定日までに株主になっていれば、株主優待を受け取ることが可能です。しかし、銘柄によっては、株主の権利確定日と株主優待の割当日(株主優待を受け取る権利を確定する日)が異なるため、株主の権利確定日までに買い付けを終えていても株主優待を受け取れないことがあります。

株主優待を実施している銘柄を保有するときは、権利確定日だけでなく株主優待の割当日も確認しておきましょう。株主名簿に登録されるのに2営業日かかるので、株主優待の割当日の2営業日前(割当日を含めた3営業日前)までには株式を購入します。

権利付き最終日前には株価が高くなることがある

権利付き最終日前には権利の価値分、株価が高くなる可能性があります。反対に権利確定日を過ぎると株価がその分下落する傾向にあるため、前もって購入しておくのも一つの選択肢となるでしょう。

株主優待目的の銘柄の選び方

株主優待目的で銘柄を選ぶときは、次の3つのポイントに注目しましょう。

  • 優待品が役立つのか確認する
  • 興味のある企業を選ぶ
  • 配当と合わせて考慮する

それぞれのポイントを解説します。

優待品が役立つのか確認する

優待品が役立つのか確認しておくことが大切です。例えば、優待品として食事券を受け取れる場合、食事券が使えるレストランが家の近くにあるかチェックしておきましょう。

遠くまで出かけないと食事券を利用できないときは、使い切れない可能性もあります。また、利用する際の条件についても確認し、本当に役立つのか検討しておきましょう。

興味のある企業を選ぶ

株主になると、株主優待や配当を受け取る権利を持つだけでなく、株主総会に参加して経営に関わることもできます。ご自身が興味のある分野、興味のある企業を選ぶことも大切です。

配当と合わせて考慮する

株主優待だけでなく、配当についても確認しておきましょう。配当の割合は企業によっても差があるため、過去の配当実績もチェックしておきます。高配当銘柄であれば、効率よく資産運用することが可能です。

株主優待目的の投資も検討してみよう

株主優待を実施している企業は約1,500社(2021年10月末時点)です。企業ごとに趣向を凝らした優待品を用意しているので、一度、チェックしてみてはいかがでしょうか。

興味のある分野や企業を選べば、株主として経営に参加する楽しみも得られます。株価だけでなく、配当なども考慮し、ご自身に合う銘柄を選んでください。

(参考)特集:「株主優待」の裏側に迫る!

ライター:林 泉
監修者:高橋 尚

監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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