株主優待のもらい方を4ステップで理解する!注意点についても解説
株主優待のもらい方を理解するためには、権利付き最終日との関係性を押さえておかなければなりません。また、実際に株式投資する際には、株主優待の内容だけにとらわれすぎないことも大切です。
本記事では株主優待のもらい方や注意点などについて解説します。
株主優待とは
株主優待とは、企業が株主(株式を購入した人)に対して優待品を贈る制度です。企業から株主へのプレゼントと考えると、より理解しやすいでしょう。
株主優待の品は、自社商品やサービス、商品券など各企業によって異なります。また、企業によって、株主優待の制度を実施していない場合もある点に注意しましょう。
株主優待によるメリットや権利付き最終日との関係性から、さらに詳しく株主優待について解説します。
株式投資のメリットのひとつ
株主優待は、株式投資のメリットのひとつとされています。株主優待のメリットは、金額換算できる特典を受けた場合に実質的な利回り上昇につながりうることです。株式を保有することで配当金も株主優待も受けられれば、配当金のみの場合と比べて利回りが大きくなります。
また、以下の数式を用いれば、株主優待だけの利回りを比較可能です。
株主優待の価値(金額換算)÷ 投資金額×100
ちなみに、株主優待以外の株式投資のメリットは、キャピタルゲインやインカムゲインです。キャピタルゲインは、購入時よりも売却時の株価が上昇することで値上がり益を得ること、インカムゲインは企業の利益の一部を配当金として受け取ることを指します。
権利付き最終日と関係がある
株主優待は、権利付き最終日と関係があります。権利付き最終日とは、株主優待を受ける権利を得るために売買契約を成立させなければならない期日のことです。権利付き最終日までに株式を購入していなければ、株主優待を受けられない点に注意しましょう。
また、権利確定日や権利落ち日も関係性の深い用語です。権利確定日は「株主」である人に配当金や株主優待を受ける権利があると判断される日(一部の企業で権利確定日と株主優待の割当日が異なる可能性あり)で、権利落ち日は権利付き最終日の翌営業日を指します。ちなみに、権利付き最終日は権利確定日の2営業日前です。
権利確定日や権利付き最終日は理解しにくい部分もあるため、株主優待のもらい方の流れSTEP3で、図を交えてさらにわかりやすく解説します。
株主優待のもらい方の流れ
株主優待を受けるためには株式購入をするなどの手続きがあります。株主優待のもらい方の流れをまとめると、以下のとおりです。
1.証券会社で口座開設
2.優待内容に魅力のある株式を選択
3.株式を購入
4.株主優待を受ける
株主優待をもらうまでに必要な手続きを、4つのSTEPに分けて確認していきましょう。
STEP1 証券会社で口座開設
株式を購入するためには、まず証券会社で証券口座を開設します。一般的に、口座開設時はマイナンバー確認書類、運転免許証や健康保険証などの本人確認書類、印鑑、金融機関の口座番号などが必要です。
証券会社の店舗やインターネットなどであらかじめ請求した口座開設申込書に必要書類を添付して提出すれば、所定の審査を経たのちに口座を開設できます。中には、インターネットだけで口座開設が完結し、最短で申込当日から利用可能となる証券会社もあるようです。
一般口座・特定口座・NISA口座といった口座の種類の違いや、株式投資の始め方の詳しい内容については、以下の記事も参考にしてください。
「株式投資の始め方は?知っておきたい3つのポイントも紹介」
「NISA口座は株主優待目的の投資に活用できる!メリットや注意点を解説」
STEP2 優待内容に魅力のある株式を選択
続いて、購入する株式を決めます。株主優待制度があるか、自分にとって魅力のある優待内容なのかといった点をチェックしましょう。優待内容は、対象企業や各証券会社のウェブサイトなどから確認可能です。
また、企業の株価は日々変動します。魅力的な優待内容の企業であっても、購入資金が足りない可能性もあるため、株価の確認も怠らないようにしましょう。
STEP3 株式を購入
開設した証券口座に取引に必要な金額を入金しておけば、株式を購入できます。各証券会社によって異なりますが、ネットや電話などで株式の注文が可能です。
株主優待を確実に受けられるように、対象企業の権利確定日をあらかじめ確認しておきましょう。上記スケジュールの例では、31(金)が権利確定日として設定されているため、その2営業日前(権利付き最終日)の29(水)までの購入が必要です。
なお、権利確定日の「2営業日前」が期限のため、もし31日が月曜日であれば27日(木)が権利付き最終日となる点に注意しましょう。
STEP4 株主優待を受ける
株主優待制度がある株式の購入が完了すれば、あとは対象企業から優待品が送られてくるのを待ちます。企業によって異なりますが、権利確定日から2〜3カ月程度で届くことが一般的です。
自分で受け取る商品を選択する方式の株主優待の場合、企業から送られてきた書類を返信しなければなりません。
返信期日に間に合わず株主優待を受け損ねることがないように、こまめに郵送物を確認しましょう。
株主優待における3つの注意点
株主優待の制度がある企業の株式を購入すれば、配当金の利回り(配当利回り)以上の利回りが期待できます。ただし、株主優待を目的として株式を購入する際には、以下のようにいくつかの点に気をつけなければなりません。
1.株主優待・株式投資のリスクも把握しておく
2.株主優待以外にも注目して株式投資する
3.株主優待受け取りの条件を確認しておく
株主優待における3つの注意点を確認していきましょう。
1.株主優待・株式投資のリスクも把握しておく
株主優待制度がある株式を保有すると、株価が下がってきても思い入れがあるため売却(損切り)しにくい点や、自分で株主優待の商品を選択しなければならない場合に手続きが面倒な点がデメリットです。また、購入時に株主優待制度があっても、途中で廃止される可能性がある点にも気をつけなければなりません。
さらに、景気・金利などの経済的要因や、社会的要因により保有する株式の株価が大幅に下落する可能性があるなど、株式投資そのものにもリスクが存在します。株主優待だけに惹かれて購入するのではなく、株式投資のリスクも把握した上で株式を購入するようにしましょう。
2.株主優待以外にも注目して株式投資する
株式投資におけるリスクを軽減するため、株主優待だけでなく企業の財務内容や将来性なども意識しながら総合的に判断して株式投資することが大切です。株主優待以外に具体的に何を比較すればよいかわからない場合は、対象企業の売り上げ・利益、配当金などが参考になります。
一社の株式に限定せず、さまざまな業界の株式を購入する分散投資も検討しましょう。
3.優待品受け取りの条件を確認しておく
どれほど株主優待の内容が魅力的でも、最低投資金額が高くて手が届かない場合があります。そこで、購入前に優待獲得の条件をあわせてチェックしましょう。
保有株数の条件は100株としている会社が多いですが、企業によって200株以上のケースもあります。株価が1,000円の場合、100株が条件であれば10万円の投資になるのに対し、200株以上の保有が条件だと、株主優待を受けるために20万円の投資をしなければなりません。
また、1年以上の長期保有を株主優待の条件として設定している企業もあります。その場合は、権利付き最終日ギリギリに購入しても株主優待を受けられないので注意しましょう。
株主優待のもらい方を理解してかしこく投資
株主優待とは、企業が株主に対して商品やサービスをプレゼントする制度です。株主優待制度がある企業の株式を購入することで、毎年優待を受ける楽しみができます。
ただし、株主優待を受けるためには、企業が設定した権利確定日の2営業日前(権利付き最終日)までに対象の株式を必要数購入しておかなければなりません。また、株式投資はリスクを伴うため、優待内容だけに注目するのではなく、対象企業の将来性や業績もチェックしておくことが大切です。
購入にあたって注意点はありますが、株主優待制度がある株式は配当利回り以上の利回りが期待できます。株主優待のもらい方を理解してかしこく投資しましょう。
(参考)特集:「株主優待」の裏側に迫る!
ライター:Editor HB
監修者:鈴木 靖子(ファイナンシャルプランナー、AFP認定者)
監修者の経歴:
銀行の財務企画や金融機関向けサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わる中、その経験を人々の生活に生かすためFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。フリーランスがお金の知識を持つことの大切さを実感しており、フリーランス向けマネーブログを運営している。