難しいけど楽しい?
投資ってどんなイメージ?
NISAやiDeCo(イデコ)といった奨励制度の浸透もあり、投資は特別な人がするものではなくごく一般の人が当たり前にする行為となりつつあるが、いきなり投資と言われても「とっつきにくい」部分もあるかもしれない。会社員は投資についてどのようなイメージを持っているのだろうか? 全国の20〜40代の会社員732人を対象に調査した。
Q. 投資や資産運用は難しいと思いますか?
とても難しい 33.4%
やや難しい 39.8%
どちらとも言えない 15.0%
あまり難しくない 4.8%
全然難しくはない 2.2%
わからない 4.8%
投資や資産運用は「やや難しい」とした人が最多の39.8%であった。「とても難しい」の33.4%と合わせると73.2%に達し、難しいと感じる人がかなり多いようだ。
投資経験別に見ると、「とても難しい」とした人は投資経験者で24.3%、投資未経験だが関心がある人(関心層)で36.4%、関心がない人(無関心層)で48.6%となった。投資を難しく感じていることが投資を実践することへのハードルとなっていることがうかがえる。
ただし、投資経験者でも「やや難しい」とした人が46.4%おり、「とても難しい」と合わせるとやはり7割を超える。難しさを実感しながら投資を実践しているようだ。
Q. 投資をしたり投資について考えたりすることは楽しいですか?
とても楽しい 12.3%
やや楽しい 29.4%
どちらとも言えない 28.4%
あまり楽しくはない 10.1%
全然楽しくない 10.5%
わからない 9.3%
投資をしたり投資について考えたりすることは「やや楽しい」とした人が最も多く29.4%を占めた。「とても楽しい」の12.3%と合わせると41.7%に達する。他方で、「あまり楽しくはない」と「全然楽しくない」を合わせると20.6%だった。
投資経験者に限定すると、「とても楽しい」が22.9%、「やや楽しい」が45.9%となり、合わせると68.8%に達する。投資は難しいにもかかわらず楽しいとも感じている人が多いと言えそうだ。
Q. 収益を目指して投資をすることは社会や世界にとって良いことだと思いますか?
とても良いことだと思う 19.0%
どちらかといえば良いことだと思う 38.9%
どちらとも言えない 28.7%
どちらかといえば悪いことだと思う 3.1%
とても悪いことだと思う 1.6%
わからない 8.7%
投資は社会や世界にとって「どちらかといえば良いことだと思う」人が最多で38.9%だった。「とても良いことだと思う」の19.0%と合わせると、過半数の57.9%が肯定的に考えている。
投資経験別では、「とても良いことだと思う」とした人は投資経験者で31.5%、関心層で10.2%、無関心層で3.3%だった。投資経験者は肯定的に捉える人が76.5%に達する。
他方で、投資に無関心な人でも「悪いことだと思う」人は合わせて13.7%にとどまるので、投資自体を否定的に捉えているというわけではなさそうだ。
Q. 前問のお答えの理由を教えてください。
【とても良いことだと思う】
「相互利用でお互いにウィンウィンの関係が保てるので」(男性、40代)
「投資をすることで経済活動の一員として参加できると思うから」(男性、40代)
「お金の流れや世間の流れ、世界情勢を勉強する機会になるし、お金が増えることが嬉しいから」(男性、30代)
「自分のためにもなるし、社会のためにもなるため」(女性、20代)
「働いて給料を貰って、物を買ったり利用したりしてお金を消費して、さらに余ったお金で投資することで資金が循環して社会全体が成長するため」(男性、20代)
「投資をするということだけで、そのお金を必要なところに流せてさらに世界の進歩のためになる行為はほかにあまりないから」(女性、20代)
「投資することで、世の中で新しいことに着手することができたりして便利になっていくのは良いことだと思う」(女性、40代)
「投資によって得た利益で、買い物をしたりすれば、より経済が拡大するので」(女性、30代)
「資産運用を通じて、企業活動の資金需要に貢献することができるため」(男性、40代)
「投資をすることでその会社の成長するきっかけになる」(女性、40代)
「経済を活性化するためにも投資は大切で個人にも社会にもメリットがあるから」(女性、20代)
「お金は使わずに貯めるものではなくて有効的に投資するのが自分にとっても社会にとっても役立つことだと思うから」(男性、20代)
【どちらかといえば良いことだと思う】
「国際情勢を気にしたり、関心を持ったりするようになったから」(女性、30代)
「投資をすることで世界経済を良くできると思うから」(男性、40代)
「社会貢献できる会社を間接的に支援することができる」(女性、30代)
「各個人が投資などに興味を持てば、経済や企業活動にもっと関心が高まるから」(男性、40代)
「各々がお金を稼ぐ手段を得るのは良いことだと思うから」(女性、20代)
「お金に関する問題が少しでも減ると経済だけでなく、治安など環境も変わると思う」(女性、30代)
「自分の資産を増やすと共に、多少なりとも経済を回すことにつながると思うから」(女性、40代)
「個人の利益があるとその分社会全体の収益につながるから」(女性、20代)
「投資をすることで企業の成長を促し、成功すれば社会や業界、ゆくゆくは国の発展につながり投資者へのバックもあるから」(女性、20代)
「銀行だけで貯金をするのも良いが何かに投資をして、そこを潤すことにより経済も回りこちらの蓄えも増えるのかなと思ったため」(女性、30代)
「一人一人が自分の生活を守るために動くことは良いと思うから」(男性、30代)
「資金を使って開発などが進んで良い社会になっていくので」(女性、40代)
「企業に投資をすることで、サービスや品質向上など生活に関わってくると思うので」(女性、30代)
「誰一人株式投資をしないなら資産が変わらず社会の金融移動もなく、消極的な世になるだろう。リスクやメリットをじゅうぶん理解した人のもとでなら資産運用は有益であろう」(男性、40代)
【どちらとも言えない】
「社会に与える影響を考えたことがなかった」(男性、40代)
「社会への影響まで考えるほどの投資額ではない」(女性、40代)
「社会にとってというと微妙。やはり自分のためにするものだから」(男性、40代)
「あまりにも収益にこだわると、例えば株などは企業育成などの妨げになる」(男性、30代)
「得をする人がいれば損をする人がいて自己責任ではあるが良い悪いではないと思うので」(男性、40代)
「現段階では意見を持つくらいの知識を得ていないから」(男性、30代)
「企業を応援するという点では賛同できるが、利益を上げるためという点では違和感や抵抗を感じる」(女性、40代)
「そもそものシステムの理解が難しく、正しいことなのか分からない」(女性、20代)
「難しくて身近に思えないし、自己判断がしづらい」(女性、40代)
「投資をすることで経済の中でお金が動くことはよいことだと思うが、益を得る人と失う人の均衡が取れているのか疑問に感じるから」(男性、40代)
「世界がよくなるということにどのような関係があるのか思いつかないから」(女性、30代)
「もうけすぎると人生狂いそう」(男性、40代)
「経済の先行きの見通しなどいろいろな要因を検討する必要があるため、どちらともいえない」(男性、40代)
【どちらかといえば悪いことだと思う/とても悪いことだと思う】
「ゼロサムゲームであり、誰かが損をするから」(女性、20代)
「経済が安定しない」(女性、30代)
「損得しかないので」(女性、30代)
「詐欺に遭いそう」(男性、20代)
「マネーゲームに参加している気がするから」(男性、40代)
「イメージが悪い」(女性、20代)
「富のある人たちに集中してしまう」(男性、20代)
「あまり内容が分からないから」(女性、20代)
回答全体の傾向として、投資の社会的影響に肯定的な意見の方が長い文になる傾向が見られた。より具体的なイメージを持つことで投資に肯定的になるのかもしれない。また、マイナスイメージを持っている人は“なんとなく”そう思っているという人も少なくないのではという気がする。
社会への影響まではわからないという人も少なくなかったが、投資の本質は資金を有益なものに投じることで成長させて見返りを得ることにある。人類社会が成長と進歩を続ける限りはトータルではゼロサムではなくプラスサムになるものなので、投資を難しく感じている人は、自分が本当に成長させたいと思える企業や分野に「少しずつ、幅広く」投資してみることから始めてみるのはどうだろう。
今マイナスイメージを持っている人も、投資の本質を正しく理解したうえでぜひ実践してみてほしい。自分のお金で世の中が良くなったと実感できれば、きっと楽しいはず!
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調査方法:インターネットによる調査
調査時期:2022年3月
調査対象:全国20〜40代の会社員
有効回答数:732件