自分も教わりたかった!?
学校で子どもにお金のことを教えるのはアリ?
2022年4月からは高校の家庭科で学習指導要領に「資産形成」が盛り込まれるなど、いわゆる金融教育が動き出そうとしている。会社員は学校でお金について教えることをどう考えているのだろうか? 全国の20〜40代の会社員732人を対象に調査した。
Q. 学校で具体的なお金の話を教える金融教育をどう思いますか?
大いに賛成 34.4%
どちらかといえば賛成 37.8%
どちらともいえない 18.5%
どちらかといえば反対 1.8%
大いに反対 1.5%
わからない 6.0%
「どちらかといえば賛成」が最多の37.8%となった。「大いに賛成」が34.4%で続き、合わせて72.2%が金融教育に賛成であった。反対は合計でも3.3%にとどまった。
「どちらかといえば賛成」の多さから若干の抵抗感の存在も垣間見えるものの、総じて会社員は金融教育には肯定的であると言えそうだ。
「大いに賛成」と回答した人を投資経験別で見ると、投資経験者で45.3%、投資未経験だが興味はある人で29.4%、投資に関心のない人で18.0%となった。やはり自身の投資への立ち位置が賛否に大きく影響している。
子どもの有無別では、「大いに賛成」としたのは子どもがいない人の32.9%に対し、子どもがいる人では37.0%と多くなった。子どもがいる人の方が金融教育の必要性を強く感じているようだ。
Q. 前問のお答えの理由を教えてください。
【大いに賛成】
「日本はこれだけ働いているのに投資の勉強をさせないため、歳を取ってからみんな困っている。時間をかけて増やす信託などしっかり投機ではなく投資を教えないといけない」(女性、40代)
「自分が大人になってからそう感じたから。もっと若い頃から投資に出会っていたら違ったはず」(男性、30代)
「今後年金が望めない世の中では投資が必要になると思うから」(女性、20代)
「お金の教育を行えば富が世界に分配されると思うから」(男性、40代)
「お金に騙されないことは重要だから」(男性、20代)
「お金で間違うと取り返しがつかないから」(男性、30代)
「みんなが投資に回せばそれだけお金が回る」(男性、20代)
「お金の流れ、仕組み、大切さを早くから知って、将来有望な金融家が生まれて欲しい」(女性、40代)
「食べるのに困らない大人になって欲しいので、お金を生むことにはどんどん着手してほしい」(女性、40代)
「お金のしくみを学ぶことで社会を学ぶことができるから」(男性、20代)
「日本はお金の話がタブーになっていると思う」(女性、40代)
「自分が小中高でそのような教育を受けていればもっとお金の大切さやありがたみがわかったと思う」(男性、40代)
「つい最近そういうニュースを見て良いなと思ったところだし、日本はそういう面で遅れていると思うので大人になってから実際に役立つことは1つでも多く教育現場で扱うべきだと思う」(男性、20代)
「お金についての知識を持っていれば学生時代からでもちゃんとした考え方でお金を考えられるから」(女性、20代)
「リスクについてもしっかりと理解することが大切だと思うから。自分で行動を起こさない限り、お金について学ぶ機会は大人になってもなかなかないから」(女性、40代)
「学生のうちに世の中のお金の流れや、投資することで経済が動くこと、自分のお金に収益があることや、時には損をすること、お金を甘く見ると痛い目に遭うこともあることを学んだ方が、良い勉強になるから」(女性、40代)
「大人になって、お金を蓄える大変さや稼ぐ大変さを実感している。子どもの頃からお金の運用等を勉強しているとしていないとでは、奨学金等に対する考えも変わったりして、もう少しお金に対して慎重になれると思うから」(女性、20代)
「知っている人だけが得する世の中なので、必ず投資はすべきだから」(女性、30代)
「現在、あまりにも金融リテラシーが低いと思う。学校で当たり前のように投資や債券などのお金の授業をしてほしいと思う」(女性、30代)
「成人してからお金に関することを全く知らなくて、どうして学校では教えないのか不思議になった。義務教育で教えるべきだと思う」(女性、40代)
【どちらかといえば賛成】
「優先順位として最高ではないが、やるに越したことはないから」(女性、20代)
「仕組みや大切さ、活かし方を学べるのはすごくいい。ただ、お金が一番という考え方にならないでほしい」(女性、30代)
「大人になってからでは、遅すぎる。わかる人との差がひどい」(男性、40代)
「何でも勉強は大切だから」(男性、40代)
「あまり教えてもらうことがないから」(女性、20代)
「お金の大切さを早い内から学ぶのは良いと思うから。但し、運用をする場合は、大人が助言や多少の管理を行う方が良いとは思う」(女性、30代)
「投資はともかく、日常生活で必ず関わる税金のことなどは習っていても良いかと思う。覚えているかどうか微妙だが」(女性、40代)
「世の中を変動させる仕組みについての知識はさわり程度には知っていて良いと思う。経済学部や事務職につきたい人になら必要な教育だろう」(男性、40代)
「自分で稼いでいるわけでもないのに、これを買うと言っている子どもを見ると違和感を覚える。親の金と自分の金の区別くらいはつけられるようにはなったほうがいい」(女性、40代)
【どちらともいえない】
「自分で学ぶものだから」(女性、30代)
「教える側のレベルに依存するから」(男性、20代)
「自分が、詳しく説明できない」(男性、40代)
「何を教えるかが大事なので、内容がわからないと判断できない」(男性、40代)
「学ぶ面では良いが、全ての人間にそれが身に付くかどうかはわからない。有効活用できるかも絶対と言えない」(男性、40代)
「価値観がみなバラバラだから」(男性、40代)
「中途半端な知識だと危ない気がする」(女性、30代)
「必要な知識だと思うが、教えたところでFPが話すような一般的なものだと思うから」(男性、40代)
「他に優先する学問があるから」(男性、40代)
「お金を得るようになってからでも遅くない」(男性、40代)
「未成年にはいらない知識に思える」(男性、20代)
【どちらかといえば反対/大いに反対】
「そんなにうまくは行かないと思うから」(男性、40代)
「少し難しいと思うから」(女性、20代)
「教育とは切り離すべきもの」(男性、40代)
「子どもが遊び半分で(投資を)やりそうだから」(男性、20代)
反対意見は絶対数が少なく、上で取り上げたものも大半が賛成意見となった。全部は紹介できなかったが、特に「大いに賛成」の人の意見は熱のこもったものが多い。
賛成理由としては「生きていく上で必要」「知識がないと社会で不利」「自分も教わりたかった」などが多く見られる。会社員対象の調査だけに、社会に出てから自分自身で必要性を痛感している人が多いようだ。
Q. 学校でどんなお金の話を教えるのがよいと思いますか?
より良く暮らすための生活設計 53.3%
トラブルに巻き込まれないためのお金のリテラシー 63.1%
資産を増やしていくための金融知識 52.0%
お金を稼ぐためのキャリア形成 31.9%
金融を通じた社会経済全体の理解 45.4%
その他 1.3%
わからない 1.7%
(複数回答)
金融教育に賛成の人に、どのようなことを教えるのが良いかを尋ねたところ、「トラブルに巻き込まれないためのお金のリテラシー」が最多の63.1%だった。「より良く暮らすための生活設計」が53.3%で続き、まずはお金を安全に正しく使うことを教えるべきだと考えられているようだ。
一方で「資産を増やしていくための金融知識」も52.0%と半数を超えており、投資にまで踏み込んで教えることが求められていると言えそうだ。
「その他」としては、税金や確定申告について教えてほしいという意見が複数あった。
Q. お金の話はいつごろから教えるのが最もよいと思いますか?
小学校就学前 4.4%
小学校低学年 11.5%
小学校中学年 12.6%
小学校高学年 17.8%
中学校 24.6%
高等学校 14.5%
大学 6.0%
社会に出てから 1.5%
その他 0.3%
教える必要はない 1.2%
わからない 5.6%
お金の話を教えはじめる時期は、「中学校」が最多で24.6%だった。一方で、小学校までで教えはじめるべきだとした人を合計すると46.3%と半数近くにのぼる。総じて、かなり早い段階からお金について教えていって良いと考える人が多いようだ。
会社員が学校での金融教育に寄せる期待の大きさがうかがえる結果であった。金融教育は英語やICTなどと同様に、教員側がどこまで教えられるのかに課題があるともされるが、大きな期待と社会的要請に応える実のある教育の実現を期待したい。
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「あなたご自身に関するアンケート」
調査方法:インターネットによる調査
調査時期:2022年3月
調査対象:全国20〜40代の会社員
有効回答数:732件