「給料の稼ぎ過ぎ」で影響を受けるのは親?
アルバイト学生も知っておくべき「103万の壁」「130万の壁」
「103万の壁」「130万の壁」は超えないほうがメリットが大きい?
「親の扶養に入っている間は、基本的には103万円までに抑えたほうがいい」と、氏家さんは話す。
「103万円を多少超えて稼ぐより、親の『特定扶養控除』を利用するほうが、家族全体で見て税負担を軽減する効果が高く、お金が手元に残りやすいと考えられます。特に親から家賃や仕送りなどを受け取っている場合は、103万円以内に抑えることで、親の負担を軽くできるでしょう。年間103万円となると、ひと月8万5000円程度。毎月コンスタントに稼ぐのは難しくても、夏休みや冬休みに頑張って働くとうっかり超えてしまう金額なので、注意しましょう」
年収が103万を超えると、親は「特定扶養控除」を利用できなくなる。ただし、学生本人は年収が130万円までであれば、「勤労学生控除」という制度を利用することで、所得税の発生を抑えられる。「勤労学生控除」はアルバイト先の年末調整、もしくは確定申告で手続きしよう。
親の収入が少なく、家賃や生活費を自身でまかなっている学生であれば、「勤労学生控除」の利用を視野に入れつつ、「103万の壁」「130万の壁」はあまり気にしなくてもいいとのこと。
「自身で家賃や生活費を支払っている学生の場合、130万円以内で生活するのは厳しいでしょう。親の収入が低いようであれば、『特定扶養控除』がなくなったとしても、所得に応じて税率が上がる所得税はそこまで増えません。それであれば、学生自身ができる範囲で稼ぎ、生活を回していくほうがメリットが大きいといえます。家庭の事情を踏まえ、学生自身の自立が必要な場合は、『103万の壁』『130万の壁』を気にせず、アルバイトに励むことも大切です」
改めて、「103万の壁」「130万の壁」をまとめると、次のようになる。
●学生アルバイトと税金・社会保険料の関係
最後にひとつだけ、学生が忘れてはいけない大事なことを教えてもらった。
「生活費のためにアルバイトが必要だったとしても、学生の本分は学業であり、自己投資が第一優先です。アルバイトを頑張りすぎて留年してしまうようでは、さらに学費がかかり、かえって負担が増してしまいます。親とも相談しながら、どこに重きを置くべきか、改めて考えてみましょう」
新たな世界が広がるアルバイトだが、学生であることを忘れずに、できる範囲で働くことが重要といえそうだ。
(取材・文/有竹亮介(verb))