プロが語る!資産形成のすゝめ

伸び悩む相場局面で役に立つ相場格言

提供元:SMBC日興証券

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「突発事件は売るな」
「備えあれば迷いなし」
「卵を1つのカゴに盛るな」

昨年来、世界の株式市場の重石となってきた物価の上昇(インフレ)は、多くの国や地域で鎮静化する動きを見せており、株式市場に与える悪影響は徐々に小さくなってきています。

しかし一方で、米国の地域金融機関が経営破綻したことで、金融システムの健全性に対する懸念が高まっています。また、米連邦政府の債務上限に関する協議が難航しているとの報道もあり、投資家の心配の種は尽きません。

株式投資を行っている投資家にとって、日々流れてくる情報、特にネガティブな情報に対してどのような心構えで臨み、どのように対応するのかということは、投資成果を向上させるためには非常に重要な問題となります。

投資家は命の次に大切と言われる自分の資産を元手に、リスクを取って投資している訳ですから、どのような時でも平常心で相場に対峙することは困難です。しかし、相場に対峙してきた先人が残した教え(相場格言)を紐解くと、リスクに直面した時に、どのように対応すべきなのかが見えてきます。

まず、予測していなかった危機的な状況に直面し、相場が大きく下落する局面においては、衝動的に保有株式を売却することを戒める格言が数多く残されています。「突発事件は売るな」「疑わしいときは何もするな」といった格言がそれに該当します。江戸時代の米相場の格言にも「気の落ちつかぬときの商いは、十度が十度ながら損なりと察すべし」という言葉があり、同様のことを戒めています。

また、予期せぬ相場の急落に直面した時に慌てることがないように、日頃の備えが大切であることを説いた格言もあります。「備えあれば迷いなし」という言葉はそれを言い表していますが、具体的にはどのような「備え」が必要なのでしょうか?

江戸時代の格言には「商いを仕掛けたるとき、まずは損銀をつもるべし。後悔を先へ慎むべし。」という言葉があります。これは「取引を行う際には、まず最初に自分が許容できる損失を見積もっておき、その範囲内の損失に対しては慌てずに対応すること」を教えています。そして、損失が拡大し、許容できる金額を超える場合は、「見切り千両」の格言通り、迷わずに売ることを勧めています。

こうした一連の対応は「言うは易く、行うは難し」の言葉通り、簡単に実践できることではありません。しかしそれは先人たちも同様で、だからこそ自戒の意味も込めて格言を残したのだと思います。

これらの相場格言とは少し離れますが、投資対象を分散しておくこともリスクへの対応策としては有効です。「卵を1つのカゴに盛るな」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

一般に株式投資を行う際のリスクは、市場全体の環境に起因する「市場リスク」と、個別銘柄に起因する「個別銘柄リスク」に大別することができます。
「市場リスク」は天災など市場全体が被るリスクですので、回避することは難しいですが、「個別銘柄リスク」は卵を1つのカゴに盛ることを避ければ、ある程度軽減することが可能です。

冒頭でも書いたように、足元の投資環境を俯瞰すると心配の種は尽きませんが、投資を行う以上、どのような環境であってもリスクとは無縁という訳にはいきません。しかし、日頃からリスクへの備えを意識するとともに、投資先を分散すれば、万が一の際に慌てずに対応ができ、「個別銘柄リスク」を軽減することができるのです。

投資の世界では、リスクは危険を意味する言葉ではありません。想定とは異なる値動きをリスクとして捉え、計測しますので、予想以上の値上がりもまた、リスクという概念に内包されます。

リスクが少ない投資先は、損失を被る可能性が低い一方で、利益を上げる可能性も低くなります。期待する利益を得るためには、上手にリスクをコントロールする心構えと手段が必要なのです。

皆さまの投資成果が向上することを祈念いたします。

(SMBC日興証券 Kazu)

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