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投資信託のトレンドが分かる!

2023年5月 投資信託の資金フロー

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。

そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2023年5月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。

(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

1.投信市場における資金の流出入動向

「約2年半ぶりに資金流出超」

資金流出入は約1,040億円の資金流出超と、前月(約570億円の流入超)から一転し、2020年11月以来約2年半ぶりの流出超となった。

資産別の資金流入では、流入額の大きい順に、エマージング株式(約350億円)、外国債券(約270億円)、ハイイールド債券(約80億円)となった。エマージング株式は8ヵ月連続で資金流入超となった。主に景気が堅調に拡大しているインドに関連するファンドへの流入が寄与した。

資産別の資金流出では、国内株式(▲約1,280億円)、外国株式(▲約260億円)、複合資産(▲約88億円)が流出超となった。国内株式は前月から引き続き大幅な資金流出超となった。主に日経平均株価が1990年7月以来の高値を更新したことなどから利益確定売りが進み、日経225のパッシブファンドから資金が流出した。

個別ファンドでは、前月に引き続き「インベスコ世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)」(インベスコ)(約660億円)が資金流入で1位となった。2位は5月15日に新規設定された「スパークス・企業価値創造日本株ファンド」(スパークス)(約540億円)、3位は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ国際)(約390億円)となった。

主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)

※合計には、グラフ表示していない、その他資産も含む

2.投信市場のパフォーマンス動向

「すべての資産カテゴリーでリターンがプラス」

5月の金融市場は、米債務上限問題や利上げ継続観測により米欧株式の上値は重い展開となったが、日本株式は、国内企業の好調な決算発表や海外投資家からの買いが強まったことなどから上昇した。金利は各国でまちまちの展開となった。

株式市場は、米債務上限問題に対する懸念から米欧中心に低調であった。月前半は、日米欧ともに、米地銀破綻による金融システム不安やFRB、ECBによる追加利上げの決定により、売りが優勢となり下落したが、その後堅調な米雇用統計の発表を受け上昇に転じた。

月中旬は、米債務上限引き上げを巡る協議が難航したことから米欧株式の上値は重い展開であったが、その後協議が合意に近づいているとの報道から株価は上昇した。日本株式は、海外経済の先行きが不透明となっている中、2023年1-3月期の実質GDP成長率が前期比プラスとなったことで海外投資家からの買いが強まり、一段と上昇した。

月後半は、米債務上限問題の交渉が進展し不安が後退したことや、AI関連分野などにおける半導体需要の増加期待からハイテク株が買われ株価は上昇したものの、その後は米金利上昇に伴い上値は重い展開となった。日本株式は、為替市場で円安が進んだことで輸出関連株が買われ、日経平均株価は1990年7月以来およそ33年ぶりに高値を更新した。

債券市場は、日米金利は概ね上昇(債券価格は下落)し、独金利は概ね横ばいとなった。米10年国債利回りは、月前半はFOMCで今後の利上げ停止が示唆され一時低下する局面もあったが、月中旬以降は、再び金融引き締め観測が高まり上昇基調で推移した。

独10年国債利回りは、ECBによる追加利上げ観測から月後半にかけて概ね上昇するも、その後ドイツの1-3月期実質GDP成長率が前期比マイナスとなったことから低下に転じた。日本10年国債利回りは、月前半は大型連休もあり概ね0.40%強で横ばいとなった。

月中旬は、米債務上限問題に伴うリスク回避の動きが見られ0.35%近辺まで低下したが、その後国内の実質GDP成長率が前期比プラスとなったことや消費者物価指数の伸び率が上昇したことなどから、月末にかけて0.45%近辺まで緩やかに上昇した。

為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円安が進行した。米欧の追加利上げ観測の高まりや日銀による金融政策の現状維持により、国内外の金利差が拡大したことが影響した。ユーロ・米ドルでは、ユーロ安・米ドル高が大きく進行した。独・仏の製造業景況感の低迷や中国景気の減速懸念などから、ユーロは下落基調となった。

これらを背景に、当月はすべての資産カテゴリーでプラスのリターンとなった。外国株式は米債務上限問題に対する懸念から市場全体としては軟調な推移となったが、ハイテク株の大幅な上昇や円安の進行がプラスに寄与した。エマージング株式は中国株式が景気の先行き不透明感から下落した一方、経済が堅調なインド株式などは上昇した。

パフォーマンス上位5資産のランキングと実績

3.新規設定ファンドの動向

「設定本数は減少するも、設定額は増加」

当月の新規設定本数は8本、設定額は約780億円となった。前月対比で設定本数は10本減少したものの、設定額は約480億円増加した。設定額は国内株式ファンドが全体の約8割を占めた。

新規設定ファンドのうち、設定額が最も多かったのは、「スパークス・企業価値創造日本株ファンド」(スパークス)(約320億円)、次いで「アクセラレーション・ジャパン2023-05(限定追加型・早期償還条項付)」(三井住友DS)(約310億円)となった。

1位のスパークス・企業価値創造日本株ファンドは、潜在価値や成長性から見て過小評価されている企業を選別し、企業との対話を重視した運用を行う。

新規設定金額、設定本数の推移

※ETF、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

最後に、5月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。

資金流入上位15ファンド一覧

(三菱アセット・ブレインズ)

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