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アジア株式市場、過去10年間の勝者は? ~語られざる投資の真実(69)~

提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント

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日本株が約33年振りの高値を回復する一方、他のアジア株の水準は?

アジアの主要株価指数について、過去10年余りの騰落率を比べてみました。基準日の2013年5月22日はバーナンキ・ショック※1当日ですが、当時のアジア市場は総じて過去最高値圏で推移していました。あれから10年1カ月、インドの株価は3.1倍、日本、台湾は2倍強となった一方、アセアン諸国※2の一部や香港は当時の水準を下回っており、「失われた10年」とでも言うべき状況となっています。

※1:FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長が唐突に量的金融緩和の縮小に言及したことで、世界的な流動性懸念が発生し、株式や通貨など新興国の金融市場が大混乱となった。
※2:インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム

過去最高値更新が続くインドは企業業績が好調なほか、米中対立激化を背景に中国に代わる投資先として資金流入が加速しています。

一方、アセアン諸国は10年前と比べ、政治的な安定性や改革期待が後退した印象は否めません。フィリピンはアキノ政権下で高成長が続きましたが、「ミニ・トランプ」と言われたドゥテルテ政権(2016-22年)下では治安などは改善したものの、株価は下落しました。 約33年ぶりの高値を回復した日本(日経平均株価)の上昇率は、インドに次ぐ第2位です。AIブームの中で主力の半導体関連株が堅調に推移する台湾を上回っています。

また、タイは2014年に軍事クーデターがあり、マレーシアは2018年に汚職疑惑でナジブ政権が崩壊するなど政治の混迷が続いており、景気回復の重荷となっています。香港は2022年10月、中国の習近平政権による経済統制強化が警戒され、一時2009年4月以来の安値をつけました。

約33年ぶりの高値を回復した日本(日経平均株価)の上昇率は、インドに次ぐ第2位です。AIブームの中で主力の半導体関連株が堅調に推移する台湾を上回っています。

名目GDPと株価の関係とは?

図は、過去10年間(2012年~2022年)の名目GDP(国内総生産)の増加の程度を比べたものです。

物価変動を考慮しない「名目」べースで、相対的に物価上昇率、人口増加率の高いインド、インドネシア、フィリピンが上位に並んでいます。

通常、各国の成長率を比較する際、物価を考慮した「実質」ベースで語られますが、消費者などの景気の「実感」は「名目」ベースのほうが近いと言われます。企業の売上高や利益は「名目」ベースです。単純化して言えば、物価が10%上昇すれば売上数量が横ばいでも、売上金額が10%増加する可能性があるということです。

日本の商社株買いで話題の投資家W・バフェット氏は、こうした点に着目し、その国(市場)の株式時価総額が名目GDPを上回ると、株式市場の割高サインの1つとみています。この論法では、名目GDPの持続的な伸びが期待できる国(市場)ほど、株式投資のリターンが期待しやすいことになります。

過去10年間、日本の名目GDPの伸びはわずかにとどまっていました。日本がデフレから完全に脱却し、持続的に名目GDPが増加する国となるのであれば、一段の株価上昇も期待できそうです。

足元の日本株高の背景には、「東証の低PBR改善要請」や「中国の代替投資先ニーズ」が挙げられます。「デフレからの完全脱却=名目GDPの持続的な伸び」が実現すれは一段の上昇余地もありそうです。

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(提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント)

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