「投資INSIDE‐OUT」
ウインド・フォール課税、日本でも必要か?
提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント
◆ウインド・フォール課税=「棚からぼた餅」のような利益に課税!
ウインド・フォール課税(=windfall-profit tax)とは、「風が吹いて落ちた果実を手にする」ように企業が得た「想定外」の利益に税を課すものです。「超過利潤税」と訳されますが、「棚ぼた課税」と呼んだほうがピンとくる方も多いでしょう。
かつての石油ショック時に始まったようですが、昨年もウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰を受けて、英国、イタリア、ギリシャなど欧州で実施されました。石油・ガス企業への追加課税を原資に、インフレに苦しむ低所得者層向けの支援策などが強化された模様です。
こうした課税については、「特定業種の狙い撃ちは不公平」、「企業の投資意欲が低下する」、「何が超過利潤か線引きが曖昧」といった批判があります。一方で、「努力で得た利益と幸運による利益は異なる」、「大きな損失が出た際は、減税で相殺すれば良い」といった反論もあるようです。
◆円安で潤う輸出企業、物価高騰で苦しむ消費者
さて、国内では大手企業の4-9月期決算の発表が一巡しましたが、円安による輸出企業の業績予想上振れが目立っています。これは、元々円高に見積もり過ぎていたレートを「実勢」(円安)に寄せた影響によるものです。
そもそも、円高進行で差損が出た際に補填してもらえるわけでもなく、円安による増益分を「超過利潤」とは言えません。しかしながら、物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、消費が伸び悩む中、円安で利益が1兆円以上上振れる企業もあると聞くと、釈然としない気持ちとなる方も多いのではないでしょうか?
下図は、日米のCPI(消費者物価指数)の伸びと政策金利を比べたものです。既に食品とエネルギー※を除く指数では日米の物価が逆転しました。日本の物価押し上げの一因は過度な円安進行とみられますが、日米の政策金利差は5%以上と大きな格差がある中、当面は円高方向への戻りは期待しづらい状況です。
さすがに「円安進行による利益に課税せよ!」といった話にまでなると株価が暴落しそうですが、一方で消費者の立場から見ると、マイナス金利の修正による円安の是正を期待する声が増えつつあるようにも思われます。
※:日本は生鮮食品とエネルギーを除く
物価高騰は国民の最大の「不満」の一つになっています。
過度な円安の放置は、政権支持率にも影響するのではないでしょうか。
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