資産形成の選択肢として着実に浸透しつつあるETF

2023年7月、ETF受益者が130万人を突破!~ETF受益者調査とは何かをわかりやすく解説~

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2023年11月27日、東京証券取引所は2023年版のETF受益者情報調査結果を公表しました。これによると、ETF(上場投資信託)・ETN(上場投資証券)の受益者(投資家)が初めて130万人を突破。何やらすごそうですが、そもそも受益者調査って何?どんなことがわかるの?今年の注目ポイントは?等々、簡単にご紹介します!

そもそもETF受益者情報調査とは?

ETF 受益者情報調査(以下、「本調査」)は、ETF・ETNの保有状況を明らかにするために全国の証券取引所が共同で実施・公表しているものです。「受益者」という言葉になじみがない方も多いと思うのですが、細かい話をすると、ETFやETNの法律上の位置づけが「受益証券」のため、それら受益証券を持っている人を「受益者」と呼んでいます。投資家、保有者と意味合いは同じです。

本調査は2012年7月から毎年公表しており、今年の調査対象は、2023年7月末時点で全国の取引所に上場しているETF及びETN 274銘柄です。一部調査対象外の銘柄(外国籍ETF等)があるため、どうしても気になる!という方は本調査の末尾に記載されている調査要綱をご覧ください。

受益者の集計ですが、各銘柄の受益者数を単純に合算した「延べ人数」であり、いわゆる「名寄せ」が行われていないため、こちらも注意が必要です。例えば、Aさんが一人でETFを10銘柄持っていた場合、本調査では受益者が10人とカウントされることになります。

調査でどんなことがわかるの?

主に所有者の属性別に、様々な角度から調査を行っています。属性は大きく分けて(1)政府・地方公共団体、(2)金融機関、(3)証券会社、(4)事業法人等、(5)外国法人等、(6)個人・その他の6種類。金融機関のなかに都銀・地銀、信託銀行、保険会社等々、さらに細かいカテゴリーに分かれています。

調査結果で特に面白いのは、カテゴリー別の受益者数です。日本株、外国株、国内債券、外国債券、REIT(不動産投資信託)、コモディティ、レバレッジ・インバース型(内国株型/外国株型)、その他、ETNと、ざっくりとした連動対象のカテゴリー別の受益者数や受益権口数、純資産総額が公表されており、昨年との比較も出ていますので、どのカテゴリーで増えたのか、あるいは減ったのかが一目瞭然です。

ちなみに、REITというのは、REITそのものではなく、REIT関連指数に連動するETFのこと。コモディティは原油や金などの商品関連指数に連動するETFのことです。

調査はPDF 20ページ分!少々とっつきにくいですが、最初の1,2ページに調査結果の概要が記載されていますので、そちらを読むだけでもおおよその傾向がわかります。

2023年7月ETF受益者情報調査結果(PDF)

今年の注目ポイントは?

編集部の私見ですが、受益者数が130万人を突破した点は注目に値します。

ETF受益者数推移、個人の純資産総額推移

ETF受益者の大半(約97.6%)は個人ですが、2016年の個人受益者数83.6万人をピークにしばらく減少・停滞気味でした。受益者数は、様々な要因で増減するため、単年度ごとに一喜一憂するのではなく、長い目で見て増加していくことが望ましいと捉えていますが、2020年に4年ぶりに過去最高を更新したのを皮切りに、2021年には個人だけで受益者数107万人と100万の大台を初めて突破、昨年は個人法人の合計で120万人を超え、今年はさらに130万人を突破し、4年連続で過去最高を更新しています。

では、どんなカテゴリーで受益者数が伸びたのか、詳しく見てみましょう

カテゴリー別の個人受益者数2022-2023比較

大元の調査では、今年から債券、レバレッジ・インバース型について内国/外国が分かれて集計されていますが、国内債券とレバレッジ・インバース型(外国型)の個人受益者数はまだまだ少ないため、上記の表では昨年同様、それぞれ債券、レバレッジ・インバース型としてまとめています。

従来、日本のETFで圧倒的に受益者が多いのは、主力商品である日本株と、レバレッジ・インバース型商品でした。今年の日本株の受益者数は前年比7%増の30万人と、昨年に引き続き全カテゴリー中トップとなっているのに対し、レバレッジ・インバース型は前年比2%減少の26.7万人となり、前年比24%増と一昨年より好調の外国株(受益者数28万人)にカテゴリー2位の座を譲り渡す結果となりました。

また、全体の数としてはまだ少ないですが、債券が前年比77%も増加しており、最も個人受益者数が増えたカテゴリーとなりました。債券カテゴリーの内訳は内国債券が減少する一方、外国債券の受益者が大きく伸びており、外国債券ETFが個人投資家にも浸透してきた様子がうかがえます。

2020年・2021年の調査では個人の受益者数がカテゴリー1位だったレバレッジ・インバース型 ETF。こうした背景から、数年前はETF投資家=投資上級者のイメージが少なからずありましたが、2021年にはコモディティよりも受益者数が少なかった外国株がカテゴリー2位に上り詰めた今年の調査は、ETF業界を見てきた担当者からすると隔世の感があります。

銘柄の新陳代謝もここ最近活発になっているETF業界。投資家のすそ野が広がり、レバレッジ・インバース型だけでなく、それ以外のETFについてもジワジワと認知が拡大し、投資家の方々に選んでいただけているようです。

日本のETF全体の純資産総額については、なんと前年比11兆6,654億円(19.1%)増加の72兆8,255億円となり、調査開始以来、14回連続で最高を更新し続けている状況となっています。

日本の個人投資家の間で着実に広がりを見せつつあるETF。今年は規則改正によりアクティブETFが登場したり、既存の商品も信託報酬引き下げが活発に行われていたりと目が離せません。是非チェックしてお気に入りのETFを見つけてみてくださいね。

また、その際は、ETF・ETN銘柄検索もご利用ください!

(東証マネ部!編集部)

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