伸び悩む相場局面で役に立つ相場格言
提供元:SMBC日興証券
「相場は明日もある」
「行き過ぎもまた相場」
8月上旬に大きく下落した日経平均株価は、その後一旦は持ち直しましたが、9月に入ってからも7営業日続落するなど、不安定な推移が続いています。
背景には、(1)冴えない米経済指標の発表が相次いだことで、米国景気が失速するのではないかという懸念が高まったこと、(2)日米金融政策の方向性の違い(日本は利上げ、米国は利下げ)から円高圧力が強まっており、日本の輸出関連企業を中心に業績悪化懸念が高まったこと、などがあると考えます。特に(2)については、これまでの日本株上昇の原動力の1つが、国内企業の業績拡大期待であったため、投資家が不安を覚えるのは無理からぬことだと思います。
過去においても、金融当局が政策スタンスを変更する前後で、為替相場や株式相場が大きく変動する局面がありました。今回も同様の局面でドル円相場と日本株市場が大きく変動していますので、そうした観点からすれば、円高進行や株価急落は過去の傾向に沿う動きだと言えます。
ただ、大きく変動する相場に直面した際に、多くの投資家はそこまで客観的に相場をみることはできません。投資家は自分の大切な資産を投資している訳ですから、株価が大きく下がれば動揺しますし、大きく上昇すれば強気の見方に傾きます。そうした心理面での動揺を極力抑え、冷静に投資判断を下すことが成功への近道であることを、頭では理解できても、それを実践するには困難が伴うのが一般的です。そうしたこともあってか、先人が残した相場格言には、投資家が冷静に投資判断を下すことが難しい局面で、どのように対応すべきかを訓えた言葉が数多くあります。
「相場は明日もある」という言葉は、性急に投資判断を下すことを戒める格言です。相場急落に直面した際に不安な気持ちに掻き立てられるままに保有株式を売ってしまうと、底値で売却するリスクが高くなります。逆に、株価が大きく上昇した時などに、その理由を正確に把握しないまま慌てて投資すると、高値掴みになるリスクが増します。
この格言は、「一呼吸おいて、相場動向を冷静かつ客観的に見極めてから投資判断を下しても遅くはない」ということを訓えているのです。江戸時代の米相場にまつわる格言にも「売り買いとも今日よりほか商い場なしと進み立つ(心がはやりたつ)とき、三日待つべし。」という言葉があります。時代は違っても、現代でも通用する考え方だと思います。
「行き過ぎもまた相場」という格言は、相場は勢いが付くと上にも下にも行き過ぎる傾向があることを理解したうえで、投資判断を下すべきであることを訓えています。株価が急落した際、あるいは急騰した際に、「相場は行き過ぎることがある」ということを理解していれば、冷静に投資判断を下す余地が生まれます。相場が大きく変動する局面は、多くの投資家にとって先を見通すことが難しく、判断に迷う局面です。今後、そうした局面に直面した際には、是非、上述の相場格言を思い出してみてください。
皆さまの投資成果が向上することを祈念いたします。
(SMBC日興証券 Kazu)