【調査を読み解くシリーズ】インフレに立ち向かうための3つのステップ「理解し、選択し、実行する」
提供元:アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所
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「調査を読み解く」シリーズの第3回です。前回のコラムでは、「インフレ(物価の上昇)」から自分の資産を守る手段の一つとして「投資」があることをお話ししましたが、まだ多くの人にこの考えが浸透していないことを指摘しました。今回も引き続きインフレをテーマとしたいと思います。
【目次】
▶ インフレの影響を理解できている人は少ない
▶ インフレ対策の具体的なステップ
インフレの影響を理解できている人は少ない
早速ですが問題です。
<選択肢(1つだけ)>
例えば、1万円を持っているとすると、100円の商品があったら『100個』買えます。
1年後、3%のインフレによりその商品は103円になります。また、1万円を1年で2%増える定期預金に預けていた場合、1万200円になります。この場合、『99個』(10,200円÷103円=99.03…個)の商品しか買えなくなります。商品価格の値上がりに資産価格の上昇が追い付かなかったため、商品を買える量が1個減ってしまいました。ですので、答えは「(1)」です。
この問題は投資信託協会のアンケート調査での質問です。実際の調査結果を見てみると(【図表1】)、全体の正答率は40.0%と半数以下で、45.0%の方が「(3)変わらない」と回答していました。
【図表1】
問題では1年後に資産が2%増えましたが、現金で1年間持っていた場合はどうなるでしょう。1万円のままです。この場合、1年後に商品は『97個』(10,000円÷103円=97.09…個)しか買えなくなります。今と同じ量(『100個』)を買うためには、資産をインフレ率と同じく1年で3%増やす必要があります。
アンケート結果からも、この事実を認識している人が少ないことがわかります。
【図表1】の調査結果を年代別に見ると、年齢が高いほど正答率が高くなっています(例えば、20代の正答率:34.0%、60代:47.4%)。この傾向については、年齢が高いほど実際に過去のインフレ環境を経験している人が多いことや、金融資産を多く保有している傾向にあるためインフレの影響を大きく実感しているからといった理由が考えられます。
また、投資実施状況別では、現在投資を行っている人の正答率は57.5%、投資を行ったことがない人の正答率が25.7%でした。過去に投資を行っていた人も正答率が46.1%と、投資経験の有無によって大きく正答率が異なっていることに注目です。
投資経験がある人の正答率が高い理由については以下のような点が考えられます。
【図表2】
研究員
証券会社で個人投資家向けの商品企画や営業企画を携わった後、IT企業でフィンテックアプリの運営を担う。2020年アセットマネジメントOneに中途で入社後は営業企画や新規ビジネス企画などに従事。2024年4月より現職。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士