「投資INSIDE‐OUT」

インフレ時代の資産形成~プログレスレポートからの指摘~

提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント

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◆物価は7カ月連続で3%を上回る

総務省が7月18日に発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合(コアCPI)が前年同月と比べて3.3%上昇しました。コメをはじめとする食料品の価格上昇などにより、昨年12月以来7カ月連続で3%を上回っています。また、政府・日銀の目指す物価上昇率+2%については、2022年4月以来3年以上に亘って上回っています。1990年代半ばから続いたモノの値段が上がらない時代は、コロナ禍以降の物価上昇を踏まえてようやく終焉を迎えたとみられます。

そのようななか、インフレに備えた資産形成の重要性が指摘されています。6月下旬、金融庁は「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート 2025」を公表しました。そこでは、確定拠出年金(企業型 DC)における「元本確保型商品で運用するリスク」について以下の点に言及しています。

1.物価は上昇基調にあり、元本確保型商品(預貯金や保険商品)の金利・利率は、一般に消費者物価の上昇率を下回っている。元本確保型商品で長期に運用していく場合、実質的な資産価値が目減りすることになる。

2.年金資産では、少なくとも将来の実質的価値の減少を防止し、老後に向け長期・安定的に資産形成を行っていくことが重要で、そのためには、適切な運用商品を選択し、物価上昇率を上回る運用収益率を安定的に確保していく必要がある。

3.「元本確保型商品のみで運用する者」が全体の加入者等に占める割合は約20%(約175万人)(2024年9月末時点)となっている。年代別にみると、若年層は他の年代と比べて相対的に低く、年代が進むにつれて割合は高まっていく。

確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)は、拠出された掛金とその運用益の合計額をもとに、将来の給付額が決定される年金制度です。加入者は、運営管理機関が選定・提示する運用商品のラインナップの中から、自身の運用商品を各々決定します。上記の3の通り、若年層は相対的に「元本確保型商品のみで運用」の比率が低く、近年における資産形成や投資教育への関心の高まりが反映されているのかもしれません。

今後の取組みについてレポートでは、「運営管理機関は、加入者等において個々人の状況や経済・金融環境を踏まえた適切な商品選択がなされるよう、取組を強化させていくことが重要」としており、「元本確保型商品」以外の商品への見直し等におけるサポート事例を挙げるなど、投資教育の重要性を示しています。

日銀によると、日本における家計の金融資産構成(2024年3月現在)は、現金・預金が51%、株式、債券、投資信託などが21%、米国はそれぞれ12%、58%、ユーロ圏は34%、35%となっており、日本の現金・預金比率が顕著に高いことがわかります。

※イデコ、個人型確定拠出年金

日本は、長らく続いた「物価が上がらない状態」からの転換点に差し掛かっています。「インフレリスク」に対応した資産形成になっているか、確認する良い機会かもしれません。

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(提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント)

著者/ライター
上野 裕之
チーフストラテジスト
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