新興国投資へのいざない
働かずに年100万円の投資家の実話、さらに増加中
提供元:アイザワ証券
日本に身を置き、世界に視野を広げる
年末も押し迫った昨今、2025年12月のボーナスが初めて平均100万円を超えたと報道されています。氷河期の3年間に新卒市場に出た筆者は羨ましいやら、同世代のどこにそのような景気の良い話があるのやらとも思いますが、日経平均株価が5万円を超え、物価が40年ぶりに3%超となり、アナリストの観点からすると違和感はありません。
さらに世界を広く俯瞰すると新型コロナウイルス後の2022年頃からインフレ傾向となり、米国やインド、ベトナム、インドネシアなどのアジア各国で賃金や株式、不動産などの資産価格が軒並み最高値を更新する所までは一緒ですが、日本の場合は40年ぶりという点が諸外国と異なります。この点について「日本は経済成長率が低い」という理由でよく説明されますが、同時に物価上昇率も低く、全体的にはバランスが取れていた面がありました。
しかし直近3年間はインフレに状況が変わり、貯金から投資や資産運用へ切り替える必要性が増しています。ただしこの問題は労働者・生活者からの視点に限られます。
そこで今回は氷河期世代(50歳前後)のとある新興国投資家Aさんにご協力いただき、約600万円のベトナム株投資が、年間約100万円の不労所得に成長した例を紹介したいと思います。
新興国で年100万円の自力年金に育てたとある新興国投資家の事例
Aさんはベトナムの物価の安さや人々の真面目で向学心の高い点に注目し、ベトナム経済の潜在成長力に可能性を感じました。そこで2008年に初めてベトナム株式を22万円相当購入したそうです。ちなみに2008年はリーマンショック直前のタイミングの悪い時期であり、保有銘柄の時価が買値の5分の1以下に下落、配当額もわずか約2,000円だったそうです。為替も円高で2012年頃には約2分の1まで下落し、最初は散々だったとのことでした。
Aさんは実に2014年頃までは含み損(時価が購入価格を下回る)となる苦境の6年間を過ごしたそうです。新興国投資のハイリスクに直面した典型例に該当します。しかし、Aさんはその後も2015年頃まで累計600万円(約11億VND:ベトナムドン)をベトナム株へ投資し続けました。そうして2016年9月時点では9.3億VND相当のベトナム株10銘柄を保有し、時価が13.7億VND(約635万円)相当となり円ベースでようやく黒字化。この頃から、投資方針を配当による買い増し(再投資)を活用した複利運用に切り替え、現金配当のある銘柄の割合を増やした所、年間配当金が約25万円まで増加したそうです。
その後もAさんは買い増しを続け、2025年12月時点で20億VND相当のベトナム株式を保有し、時価は39億VND(約2,300万円)となり、配当金も年間約100万円に増加しているとのことでした。キャピタルの含み益も寄与していますが、購入資金の約半分がインカムゲイン(配当金)の再投資によるもので、当初の投資元本600万円に対し配当だけで約16%の利回りを得た換算となります。
Aさんは一度買った銘柄は含み損以外は基本的に売らない方針の為、現在保有している約30銘柄には10倍超えの銘柄もあれば4分の1に下落している銘柄もあるそうです。上昇する銘柄を当て続けることは困難だが、資産が増えるように管理するコツとして「損切りは早く、利は伸ばせ」という投資格言を実践したとのことです。
自力年金を更に増やしたいという思い
就職氷河期世代のAさんは、新卒時に手取り15万円を下回り、20代は家賃補助もなく長時間のサービス残業が当たり前の時代だったそうです。苦境の中でコツコツ節約して行った投資が成長し、株式投資の必要性が骨身に染みると言います。
現在50代のAさんは定年まで約10年あり、それまでに配当再投資でベトナム株式の買い増しを続け、年間配当額をさらに増やす方針です。Aさんはこれを「自力年金(自分の力で作った年金)」に例え、10年後には定年する同世代に「こういう方法があったと是非伝えたい」と今回の取材に応じてくれました。
ベトナム株式市場は2025年10月にFTSEラッセルよりフロンティア市場から上位の「第2新興国」に格上げされるとの発表があり、経済成長に勢いがあります。この事例は、成長産業(グロース)の占める割合が先進国と比べて高い新興国は、成長する個別企業を見極める能力が無くても経済(GDP)と株式市場の時価総額の成長の速さの恩恵を受けるメリットがある反面、先進国と同様に「長期・分散・複利(再投資)」「損切りは早く、利は伸ばす」という投資規律の重要さも教えてくれるものに思われます。
※本記事の内容は当時の為替レートに基づいて計算しております
(アイザワ証券)
CIIA®(国際公認投資アナリスト)、CFP、1級FP技能士
ベトナムをはじめとするアジア新興国市場の分析を担当。豊富な現地調査経験に基づいた独自の視点から、投資家の皆さまにアジア株を解説、紹介しています。
現在、都内でテレビ放送されている株式情報番組『ストックボイス 東京マーケットワイド』に毎週火曜日13:30よりレギュラー出演中。
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