利下げを追い風に好パフォーマンスを上げる新興国 

提供元:野村證券(FINTOS!編集部)

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新興国経済は堅調を維持する見通し

IMF(国際通貨基金)は2026年1月に発表した最新の世界経済見通しで、26年の世界の経済成長率見通しを前年比+3.3%と、前回見通し(25年10月時点)から0.2%ポイント上方修正しました。トランプ政権の関税政策の影響や先行き不透明感が重石となるものの、AI関連投資の増加や緩和的な金融環境が世界経済を支える見通しです。

地域別では、新興国が相対的に高い成長率を維持する見込みです。IMFは26、27年の新興国の成長率見通しを前年比各+4.2%、+4.1%としました。米国の対中関税率の引き下げの恩恵を受ける中国や、物品・サービス税(GST)減税に伴う消費押し上げを享受するインドの成長率見通しが引き上げられています。

IMFは2026年の世界の成長率見通しを上方修正

(注)「今回」は2026年1月、「前回」は25年10月。インドは年度(当年4月~翌年3月)。サブサハラアフリカとは、アフリカ大陸のサハラ砂漠より南に位置する地域のことを指す。
(出所)IMF 「World Economic Outlook, January 2026」より野村證券投資情報部作成

利下げを追い風に上昇する新興国株

2025年初から足元までの世界の株式市場の動向を振り返ると、新興国株のパフォーマンスが先進国株を上回っています。なかでも好調なのは中南米と欧州の新興国株で、両者のパフォーマンスは26年2月6日時点で、いずれも25年初から70%程度上昇しています。

先進国を上回るパフォーマンスを上げる新興国株

(注)データは日次で、直近値は2026年2月6日。中南米新興国はMSCIエマージング・ラテン・アメリカ・インデックス、欧州新興国はMSCIエマージング・ヨーロッパ・インデックス、アジア新興国はMSCIエマージング・アジア・インデックス、先進国はMSCIワールド・インデックス。
(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成

新興国株のパフォーマンスが好調な背景として、上記のように新興国経済の堅調が見込まれていることに加え、多くの新興国の中央銀行が継続的に利下げを実施してきたことなどが挙げられます。多くの新興国の中銀は24年半ば頃から利下げを開始しました。利下げにより、企業の利払い負担の軽減や、早期の景気回復への期待が高まったことなどが、新興国株を押し上げる一因となったと考えられます。

また、トランプ大統領の就任後、世界的に「米ドル離れ」の動きが見られたことも新興国株高に寄与した面があると考えられます。米国市場から流出した資金の主な受け皿となったとみられるのはユーロ圏やスイスといった欧州先進国ですが、資金の一部は新興国の株式市場に流入した可能性があります。

利下げの追い風は2026年も吹く見通し

多くの国で利下げ開始から1年半以上が経過し、一部中銀ではこれまでの利下げの効果を見極める局面に入ってきていますが、全体としては26年前半は緩やかな利下げが続く見通しです。一般的に、利下げは株価の追い風となることから、先行きも新興国株の好パフォーマンスを期待できる可能性があります。

また、主要新興国の中で唯一、高金利政策を維持してきたブラジルも、26年前半に利下げを開始する見通しです。金融緩和への期待感を背景に、26年入り後も同国株価指数は上昇を続け、史上最高値を更新しています。

2026年も継続的な利下げが見込まれる

(注)データは週次で、直近値は2026年2月6日。点線はブルームバーグのエコノミスト予想集計(26年3月、6月、9月、12月、27年3月、6月末。26年2月9日時点)。
(出所)ブルームバーグ、LSEGより野村證券投資情報部作成

金融市場のサイクルから見る新興国

下図のグラフは「金融市場のサイクル」を示したものです。金融市場は、グラフに示しているように、金利や企業業績の変動に伴って、金融相場⇒業績相場⇒逆金融相場⇒逆業績相場⇒金融相場⇒・・・と、局面が移行します。

新興国は金融相場⇒業績相場の過渡期

(注)データは各年10-12月の各月末値平均の前年同期比、および前年同期差。直近値である2026年は25年11月ー26年1月期。 MSCIエマージング・マーケット・インデックスの12ヶ月先予想EPS。10年国債利回りは中国、ブラジル、インド、南アフリカ、韓国、台湾の利回り平均。
(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成

現在の新興国は、金利が低下し、企業業績が拡大する局面、すなわち「金融相場から業績相場への過渡期」にあると考えられます。景気減速期から景気底入れ期に向かうこの局面においては、ITなどのグロース株(成長株)に加え、素材・化学・鉱業といったバリュー株(割安株)にも投資妙味が生じる傾向があります。2025年初来、AIブームに伴うハイテク株高の恩恵を受ける韓国や台湾株、資源国であるブラジル、南アフリカ株などが好調に推移しているのは、こうした金融市場のサイクルの追い風を受けている面もあると考えられます。

分散投資先として新興国株も検討したい

新興国株式は先進国株式と比較して、相対的に株価の変動リスクが大きいという特徴があります。したがって、日本株などの先進国資産をポートフォリオの中心に置きつつ、分散投資先の一つとして認識し、過度なリスクを回避することが重要でしょう。また、新興国株式に投資する際は、短期的な株価の乱高下に惑わされずに、長期投資を行うスタンスで臨むことも肝要です。

韓国やブラジル株などが好パフォーマンスを上げた

(注)2025年初~26年2月6日までの騰落率。株価指数は韓国が韓国総合指数、ブラジルはボベスパ指数、メキシコはボルサ指数、南アフリカはFTSE/JSE全株指数、台湾は加権指数、トルコはイスタンブール100指数、中国は上海総合指数、インドネシアはジャカルタ総合指数、インドはSENSEX指数。新興国の分類はIMFの定義に基づく。
(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成

ご投資にあたっての注意点

著者/ライター
岡本 佳佑
日本経済のエコノミスト、米国株、欧州株ストラテジストなどを歴任。2024年12月より投資情報部に在籍し、ブラジル、メキシコ、トルコの政治・経済情報などを提供。個人投資家を対象に、分かりやすい情報提供を心掛ける。
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