ゴールド月次モニター 2026年3月

提供元:ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント

TAGS.

FRB指導体制の明確化と利回りのシグナルが金ETFへの需要をどう変えるか

・当社は以前、米連邦準備制度理事会(FRB)の議長交代における政策の不透明性に対する金のヘッジ効果についてレポートを発表しましたが、その中で指摘した「政策の不透明性チャネル」が顕在化しているようです。ケビン・ウォーシュ氏が次期FRB議長に指名されたことを受け、市場は今後の金融政策フレームワークを再評価しつつあります。ウォーシュ氏は一貫して、「中央銀行のファストフードを脇に置くべきだ」と主張してきました 12
これは、短期的なデータ・サプライズへの過度な依存、過剰なフォワード・ガイダンスおよび戦術的なメッセージの発信を避け、より明確なマンデートと規律ある政策運営を重視することを意味します。同氏がこれまで、信頼性、抑制的な市場介入、データに対する謙虚な姿勢を重視してきたことを受け、市場が低成長・低インフレの環境を織り込みやすくなる可能性があります。こうした状況は歴史的に、短期利回りの低下と金などの実物資産ヘッジに対する需要の増加と連動してきました。

・2026年1月30日に新たなFRB議長が発表されて以降、2年物米国債利回りは12~15bp程度低下し、2年物米国債利回りと政策金利(フェデラルファンド金利)の誘導目標レンジ上限との差は再び拡大し始めています 13。これは早期緩和シナリオに向けたポジション調整がすでに始まっていることを示唆している可能性があります。短期金利が引き続き低下した場合、短期金利のボラティリティは低下すると見込まれます。それに伴い、実質および名目金利の低下に対して正のコンベクシティを有する、金裏付けETFなどの資産へ資金移動する機会が生じるものとみられます。

・歴史的に見て、短期利回りの低下と金ETFへの大量の資金流入は同時発生することが多くありました。図表2が示すとおり、ブルームバーグが算出する既存の金ETFの総保有高は、2年物米国債利回りの低下に伴って増加する傾向にあります。2026年の金融緩和の道筋がより大きく市場に織り込まれた場合、「期待実質金利の低下→金ETF保有高の増加→現物市場のひっ迫化→金価格への上昇圧力」というよく知られたフィードバック・ループが再び現れる可能性があります。

構造的な米ドル安基調が引き続き金の選好要因となる可能性

・米ドルは2025年に約9.4%下落し、年間下落率としては2017年以来最大となりました。これは1971年に米国が金本位制を停止して以来、9番目に大きな下落率となります 14。2025年の米ドル安は、金のドル建て価格に起因する米ドルとの長年の逆相関を反映し、2025年に金価格が上昇する主な要因となりました。
その後、米ドルは1月下旬に4年ぶりの安値を更新し、足元では1980年以降の長期平均と15年来のトレンドラインの双方を試す展開となっています 15。3月には米ドルを安全資産として買い戻す動きがありましたが、米ドルが節目となる水準を明確に割り込んだ場合は、構造的な米ドル安局面の始まりを示唆する可能性があります。その場合は、歴史的に見て持続的な金需要を支える環境となります。

・金融制裁の対象先を広げる動きにより資金を米ドルから金に移す分散投資が加速しており、世界の外貨準備に占める米ドルの割合は1994年以来の低水準(約40%)まで低下する一方、金の割合は1991年以来の高水準(約30%)まで上昇しています 16。2025年末時点で、米ドルの準備高は前年比約12%減少した一方で、金の準備高は前年比約40%増加しています 17

・米ドルは、1月後半にG7間金利との乖離が一時的に生じた後は安定し、G7の金利格差が示唆する水準まで戻りましたが、全体としてのバイアスは依然として下方向です 18。米国債カーブのスティープ化、米財政赤字の拡大、対外政策と貿易政策に関する不透明感の高まりが相まって、マクロ環境は米ドルに不利な方向へ傾いています。これは、米国債に対する海外投資家の需要に影響を及ぼす可能性があります。コンセンサス予想では、米ドルは2026年末にかけてさらに3%程度下落すると見込まれ 19、目先のコンセンサスリスクは、米ドルの持続的な安全資産としての反発ではなく、米ドルが再び下落方向に傾いていることを示しています。

用語解説

"※必須" indicates required fields

設問1※必須
現在、株式等(投信、ETF、REIT等も含む)に投資経験はありますか?
設問2※必須
この記事は参考になりましたか?
記事のご感想や今後読みたい記事のご要望などをお寄せください。
(200文字以内)

This site is protected by reCAPTCHA and the GooglePrivacy Policy and Terms of Service apply.

注目キーワード