ニッポン、新時代

企業取材の“数”と“幅広さ”が自身の強み

AI時代の成長銘柄を見極めるには? 三井住友DSアセットマネジメント・金子将大氏は、企業への“問い”からその答えを探る

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「生の情報」を得るために、金子氏が勧めるリサーチ法

金子氏は、三井住友DSアセットマネジメントの投資信託「アクティブ元年・日本株ファンド」を運用するファンドマネージャーの1人。この投信が運用をスタートしたのは、2019年2月のこと。それ以来、着実に成果を収めており、設定来で+251.5%の運用実績を残してきた。同じ期間におけるTOPIX(配当込み)の上昇率(+164.7%)を上回っている(2026年3月末基準)。

アクティブ元年・日本株ファンドは、4人のファンドマネージャーによるチームで運用されている。その4人は年間延べ3000件以上の取材を行っており、金子氏1人でも年400社ほどこなしているとのこと。時価総額が100億円に満たない企業にも積極的に取材しており、小規模な企業にこれほど足を運ぶファンドマネージャーは「珍しいのでは」と笑顔を見せる。取材の“数”と“幅広さ”が自身の強みだ。

「私が得意としている小型株は、大型株に比べて出回っている情報が多くありません。銘柄の数も膨大なため、他の投資家がカバーできていない部分も多数あります。だからこそ、自ら企業に取材するこのスタイルが成果につながると考えていますね」

取材ではどのようなことを聞くのだろうか。金子氏がよく深掘りするのは、経営者のこれまでの歩み、そして、過去の挫折や失敗といった「ハードシングス」にどう向き合ったかという点だ。

一例として金子氏が紹介したのは、とある経営者の話だ。その経営者は過去に起業し、最終的にはその会社を上場企業に売却。そして今、新たな会社を立ち上げて経営している。順風満帆な起業家人生に見える。

しかし、実際にその経営者に取材してみると、最初に起業した会社で大きな挫折や失敗を経験していたという。そして今の会社では、そういった過去のハードシングスを乗り越える取り組みをしているとのこと。こうした会話を通して、「この会社は成長する」「この経営者は本気で会社を伸ばしていこうとしている」という可能性をつかむという。

「さまざまなお話を伺いながら、その企業が成長する可能性を“肌感”でつかんでいくといえます。心がけているのは、あらゆる角度から質問をすること。相手が予期しない質問に直面した時こそ、本質が現れますから」

もう1つ、周辺取材を重ねることも大切だという。情報を得たい企業があったとして、その企業に直接行くだけでなく、取引先や子会社、あるいはその企業と関係のあったコンサルタントなどにも話を聞く。先述した2度の起業を行った経営者であれば、過去に売却した1社目の企業について、当時を知る人に話を聞いていったという。

こうした企業取材を個人投資家が行うのは難しい。しかし、個人でも「できるリサーチはある」と金子氏。

「自分の交友関係や知り合いのネットワークを活用してみるのは、1つの手だと思います。たとえば友達の友達までたどってみると、自分の興味ある会社で働いている人や、その会社と取引をしている人がいるかもしれません。そういう人を見つけて、会社の雰囲気や事業の様子をリサーチしてみるのも有効でしょう。『最近あの会社の人、うちによく営業に来ているよ』という話があれば、何かの手掛かりになるかもしれません。それは、私が欲しいほど貴重な“生の情報”です。そういう情報はネットに出ないので、AIの分析も及ばない。もちろんこれらは、インサイダーに抵触しないという前提での話ですが」

このほかには、社員のクチコミが掲載された転職サイトも参考になるとのこと。「会社のカルチャーや社員のモチベーションなど、クチコミからわかることがあるはずです」。生の情報を取り入れる方法は、決して少なくないと話す。

著者/ライター
有井 太郎
ビジネストレンドや経済・金融系の記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿している。企業のオウンドメディアやブランディング記事も多い。読者の抱える疑問に手が届く、地に足のついた記事を目指す。

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