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新しい計算技術がひらく、株式指数の新しい選択肢【前編】

新指数はどう生まれた? 開発の背景と仕組み

提供元:株式会社三井住友銀行

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株式投資の世界では、S&P500やTOPIXのような代表的な指数に加え、高配当や特定のテーマに着目した指数など、さまざまな選択肢が登場しています。

その一方で、過去に何度も訪れてきた市場の急落局面で、「いかに大きな損失を避けるか」という点に正面から向き合った指数は、まだ多くありませんでした。そこで今回、SMBCと東芝は、それぞれの専門知識と技術を持ち寄り、量子技術由来のマシンを用いた新しい計算アプローチを活用することで、新たな株式指数の提供を開始しました。

日本株式と米国株式の新指数名称は、SMBC/TOSHIBA量子技術由来分散日本株式指数およびSMBC/TOSHIBA量子技術由来分散米国株式指数です(略称:SMBC/TOSHIBA量子分散。以下「本指数」といいます)。市場のショックや急落が起きた局面でも、大きな損失を抑えられる可能性を持つ先進的な指数として、提案していきたいと考えています。

1.開発の背景

近年、日本では新しいNISA制度の開始などを背景に、長期・積立・分散による資産形成への関心が高まっています。投資家の裾野が広がるなかで、S&P500やTOPIXに連動するインデックスファンドに加え、高配当やグロース、特定テーマに着目した指数に連動する商品も数多く登場しています。

一方で、長く資産形成を続けるうえで避けて通れないのが、市場全体が大きく下落するショック局面です。過去を振り返ると、リーマン・ショックやコロナ・ショックなど、株式市場が短期間で大きく値を下げる局面が何度もありました。こうした場面では、分散投資をしていても、保有資産が一時的に大きく目減りすることがあります。

「下落局面でいかに大きな損失を抑えられるか」—— この“リスクを抑える”という発想を、指数そのものの設計思想の中心に置いた点が、本指数の出発点です。そして、その実現を後押ししたのが、SMBCと東芝が持つ専門知識、そして量子技術由来のマシンによる新しい計算アプローチでした。

次に、この計算アプローチが何を可能にしたのかを見ていきます。

2.新しい計算技術で、銘柄の組合せをどう探るのか

本指数の特徴は、互いの値動きの相関が低い銘柄の組合せで、なおかつ構成銘柄数をできるだけ多くするという考え方にあります。値動きの方向があまり似ていない銘柄を組合せることで、ある銘柄が下落しても、別の銘柄がその影響を和らげる可能性が高まります。そうした相関の低い銘柄をできるだけ多く含むポートフォリオを作ることは、市場全体が大きく揺れる場面で損失を抑えるうえで、分散投資の基本にある考え方です。

ただし、数百を超える銘柄のなかから、「相関が低い銘柄だけで構成される組合せのうち、構成銘柄数がより多いもの」を見つけ出すのは簡単ではありません。組合せの候補は非常に多く、すべてを評価し尽くすことは、従来のコンピュータでは現実的な時間内に行うのが難しいからです。これは「組合せ最適化問題」と呼ばれる、計算上の難問のひとつです。

そこで本指数では、東芝の量子技術由来のシミュレーテッド分岐マシンを活用しています。このマシンは、量子技術の理論に基づいて開発されたもので、膨大な組合せの中から、目的に合った組合せを高速に探索することを得意としています。これにより、従来のコンピュータでは現実的でなかった大規模な銘柄候補からの選定が、実用的な時間で可能になりました。

なお、シミュレーテッド分岐マシン自体は量子コンピュータそのものではありません。ただ、その発想の背景には量子コンピュータの理論があります。「量子コンピューターって何だろう?」と思われた方は、東証マネ部の関連記事もあわせてご参照ください。

このように、新しい計算技術を利用できる環境が整ったことで、相関の低い銘柄を数多く組合せたポートフォリオを、株式指数として継続的に提供することが可能になりました。本指数は、まさにこうした計算技術の進展を背景に生まれた、新しい時代の株式指数だといえます。


3.指数のコンセプトと選定の考え方

ここからは、本指数のコンセプトをもう少し具体的にご紹介します。

本指数の母集団には、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が提供する代表的な株価指数を採用しています。日本株についてはS&P日本500、米国株についてはS&P900です。いずれも、それぞれの市場の主要銘柄を幅広くカバーする、流動性と知名度の高い指数です。今回はまず日本株と米国株の2本を開発・発表していますが、両指数は同じコンセプトに基づくシリーズであり、今後は対象市場を広げていく構想もあります。

選定の流れは、大きく2段階です。第一段階は、組み入れ銘柄の選定です。母集団のなかから、先ほどご紹介したように、互いの値動きの相関が低い銘柄群を抽出してポートフォリオを構築します。この組合せ探索に、量子技術由来のマシンが活用されています。

第二段階は、採用銘柄のウェイト付けです。選ばれた銘柄に対して、過去の値動きのばらつきが小さい、つまり相対的にリスクが低い銘柄ほど、より多く組み入れる仕組みを導入しています。言い換えると、過去の価格変動が小さかった銘柄ほど、ポートフォリオの中で比重を大きくする設計です。

「相関の低い銘柄群を選ぶ」「リスクの低い銘柄ほど重く配分する」——この2つを組合せることで、市場のショック局面でも損失が広がりにくい、分散されたポートフォリオを目指しています。

ここまで、本指数がどのような考え方で設計され、どのように銘柄を選んでいるのかを見てきました。この指数は、将来的にファンドやETFといった形で投資家の皆さまにお届けしていくことを見据えて開発されましたが、この指数は既存の株価指数と何が違い、投資家にとってどのような意味を持つのでしょうか。

後編では、代表的な指数との違いや、長期投資における本指数の役割について、もう一歩踏み込んで見ていきます。

※記事の内容は2026年5月20日現在の情報です
※「量子技術由来分散日本株式指数」「量子技術由来分散米国株式指数」「量子分散」は、株式会社三井住友銀行が商標登録出願中です

【当記事で言及した指数の知的財産権について】
・S&P、S&P500、S&P日本500、S&P900は、S&P Dow Jones Indices LLCまたはその関連会社の登録商標です。
・TOPIX(東証株価指数)をはじめとする株式会社JPX総研(以下「JPX総研」)が算出・公表する指数に係る標章又は商標は、JPX総研の知的財産であり、指数の算出、数値の公表、利用などに関する権利はJPX総研に帰属します。
・MSCI日本株最小分散指数をはじめとするMSCI Inc.が算出・公表する指数に関する知的財産権はMSCI Inc.に帰属します。

【あわせて読みたい】

・「量子コンピューター」って?
https://money-bu-jpx.com/news/article027508/
・新しい計算技術がひらく、株式指数の新しい選択肢【後編】
https://money-bu-jpx.com/news/article069014/

(三井住友銀行)

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