ヨーロッパではフィンフルエンサー向けガイドラインやライセンスで規制開始
令和の個人投資家の基礎知識「“フィンフルエンサー”との正しい付き合い方」
国内外で実施されているフィンフルエンサー対策
フィンフルエンサーがもたらすリスクを軽減するため、IOSCOが「個人投資家のオンライン上の安全確保に向けたロードマップ」を描いて動き出すとともに、各国で不適切な金融プロモーションを行った人の摘発や起訴などが行われている。なかでも先進的な取り組みを行っているのが、イギリスとフランスとのこと。
●イギリスの対策
金融商品のプロモーションに際して企業とフィンフルエンサーが遵守すべき法的義務を、国がガイドラインで明確化。
●フランスの対策
国がフィンフルエンサー向けの教育プログラムを提供し、修了者に「金融広告における責任ある影響力証明書」を付与する認証制度を導入。
「フランスの認証制度はフィンフルエンサーに義務付けられているわけではありませんが、フランス当局は『フィンフルエンサーが証明書を取得しているか、ご確認ください』という形で注意喚起を行っています。また、フィンフルエンサーを起用する企業にとっても、証明書の取得がフィルタリングのひとつになっていると考えられるので、重要な制度ではないかと思います」
さらに、IOSCOの最終報告書が出たタイミングで、イギリスの主導で6つの国・地域の規制当局が「違法なフィンフルエンサーに対する世界的な行動週間」というキャンペーンを実施。そのなかで、UAE(アラブ首長国連邦)もフィンフルエンサー向けのライセンス制度を導入し、香港ではSNSプラットフォームと連携して無登録の投資商品を宣伝する投稿を削除する取り組みが行われた。
海外では具体的な対策が実施されているが、日本ではどの程度進んでいるのだろうか。
「『(2)不適切な宣伝・販促活動』に関しては、現行の法律や規制で対応できる部分が多いといえます。金融プロモーションの部分は金融商品取引法(金商法)の広告等規制、日本証券業協会や投資信託協会の自主規制規則によってルールが決まっています。ステルスマーケティングは景品表示法で規制されているので、今後どこまできちんと摘発されるかが課題となるでしょう」
ただし、「(1)投資詐欺・相場操縦」「(3)不適切な投資助言」については、制度が追い付いていない部分があるとのこと。
「『投資詐欺』は金融庁が力を入れて取り組んでいるので、一定程度の対策が進んでいるといえます。一方、『相場操縦』は課題が残ります。というのも、金商法上で『風説の流布』が認められるには、『有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくはデリバティブ取引等のため、又は有価証券等(中略)の相場の変動を図る目的』という要件を満たさなければならないからです。企業に対する怨恨や愉快犯的な流布に関しては、金商法では『風説の流布』と認められません。また、根拠のないウワサでなければ『風説』にならないので、仮に自身の保有銘柄を公開して追随買いを狙うといったケースがあったとしても、摘発できません。どの範囲までを取り締まるかという点も、課題といえるでしょう」
「(3)不適切な投資助言」に関しては、ほとんど対応できていない状態にあるという。日本の金商法では「特定性」と「有償性」が投資助言業の要件とされているため、無料で利用できるSNS上での投稿は投資助言業に当てはまらないからだ。
「例えば、フィンフルエンサーが有料オンラインサロンのなかでアドバイスを提供するのは、投資助言業規制に引っかかる可能性が高いといえます。ライブ配信中に投げ銭を受け取って、その視聴者に対してアドバイス的なことを行うのもグレーゾーンといえるでしょう。ただ、フィンフルエンサーにも視聴者にもそれが不適切だという認識があまりないので問題視されることが少ないですし、金融庁などがひとつひとつチェックするのも難しいでしょう」
フィンフルエンサーも増加しているなかで、あらゆる事例に対処していくのは難しい。国ができることは、ルールを明確化することだという。
「ヨーロッパでは規制当局がQ&A集のような形で、フィンフルエンサー活動の規制の範囲を公表しています。日本でも同じようにルールを明文化することが第一歩ではないでしょうか。フランスのように、フィンフルエンサー向けの教育や認証制度を創設することで、情報発信の質も担保されるのではないかと思います」



