乙武先生!金融教育、見にきてください ジャムハウス後編

乙武洋匡が金融指南書の制作陣と考える、これからの金融教育に求められるものとは?

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金融リテラシーが低いと何が起こるのか

本書の制作中、自分自身も多くの学びがあったと振り返る執筆者の宮下さん

宮下 実際、私自身も今回の本の制作にあたって、かなり学び直しが必要でした。投資歴もあるのでそれなりの知識を持っているつもりでしたが、いざ資料を集めてみると知らないことだらけで……。

乙武 そんな宮下さんご自身が、制作過程で最も勉強になったのはどの部分ですか?

宮下 お金に対する考え方、「ニーズ」と「ウォンツ」の使い分けについてですね。「ニーズ」は生活に欠かせない物、「ウォンツ」は必需品以外の欲しい物。これを日常生活の中でちゃんと区別するというのは、当たり前のことですがまったくできていなかったですから(笑)。

池田 私も同意です(笑)。今日この取材の前に読み直していて、「そうだ、ウォンツをコントロールしなければ」と、あらためて姿勢を正しました。

乙武 これ、実はすごく深いテーマで、国家や自治体の予算にも同じことが言えると思うんですよ。社会保障や公務員の人件費など、国家予算のほとんどが「ニーズ」で消費されてしまうから、国民の“これがあったらいいな”という「ウォンツ」が蔑ろにされてしまい、それゆえに多くの人が不満を募らせているわけです。

宮下 まったくその通りですね。これは本書の中にも書きましたけど、たいていの物欲は1週間だけ我慢してみると収まるんですよ。でも、それがなかなか難しい。

乙武 そこでお聞きしたいのは、結局のところ、金融リテラシーが低いと何が起こるのかということです。

宮下 端的にはまず、経済的に損害を被る可能性が高くなります。それによってライフプランも変わり、結婚とかマイホームなど、小さな綻びが大きな目標に悪影響を及ぼしてしまうというのはありがちなことです。よくあるのはクレジットカードのリボ払いですよね。

乙武 たしかに。最初は単なる支払いの先送りだったものが、やがて借金に頼るようになり……というやつですね。

宮下 経済的な崩壊という意味ではヨーロッパのアルバニアの例がわかりやすいと思います。アルバニアではかつて、国単位でネズミ講が流行してしまい、最終的にそれが内乱にまで発展しているんです。これも国民の金融リテラシーに問題があったからでしょう。

乙武 うーん、それは興味深いですね。究極の事例だと思います。

お話を伺った方
乙武 洋匡
1976年、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒。大学在学中に出版された『五体不満足』が600万部を超すベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活動。その後、小学校教諭、東京都教育委員などを歴任。地域に根差した子育てを目指す「まちの保育園」の経営に参画。2018年からは義足プロジェクトに取り組み、国立競技場で117mの歩行を達成。2000年、都民文化栄誉章を受賞。
著者/ライター
友清 哲
1974年、神奈川県生まれ。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て独立。主な著書に『日本クラフトビール紀行』『物語で知る日本酒と酒蔵』(共にイースト・プレス)、『この場所だけが知っている 消えた日本史の謎』(光文社知恵の森文庫)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)、『一度は行きたい「戦争遺跡」』(PHP文庫)ほか。また近著に、『横濱麦酒物語』(有隣堂)がある。
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