乙武先生!金融教育、見にきてください ジャムハウス後編

乙武洋匡が金融指南書の制作陣と考える、これからの金融教育に求められるものとは?

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投資は早いうちからどんどん経験するべき

乙武 ところで、この『中学生から身につけておきたい賢く生きるための金融リテラシー』ですが、刊行から今日までどのような反響がお手元に届いていますか?

池田 「子どものいい学びになっています」というご意見はたくさんいただいていますし、何より「大人である自分も勉強になりました」といった声もやはり多いですね。また、全国学校図書館協議会の選書図書になったのも、嬉しい反響のひとつです。

乙武 それは素晴らしい。つまり金融教育の参考書としてうってつけであると、お墨付きをもらったということですよね。

池田 ありがたいことです。おかげで刊行から3年ほどたちますが、いまでも学校の図書室からコンスタントに注文をいただいています。これはプログラミングの本を作った時もそうだったのですが、先生が専門的に教えられない分野だからこそ、こういった教材が必要なのだと思います。

金融については「大人こそまだまだ学ぶべきことが多いはず」と乙武氏

乙武 なるほど。逆にいえば、刊行から早くも3年がたっているわけで、その間に世の中の金融教育も少しずつ進んでいると思います。もしいま改訂版を出すなら、新たにどんな内容を盛り込むべきでしょうか?

宮下 少し攻めた切り口かもしれませんが、証券会社がやっている未成年口座について触れたいです。未成年口座は15歳以上18歳未満の子どもでも取り引きできる口座で、これを使って実践的に投資の知識を学ぶのは有意義だと思います。

乙武 投資については、十分な知識のないうちから手を出すべきではないと考える人と、子どもの頃からどんどん経験を積むべきだという人に大別される気がします。宮下さんは後者ということですね。

宮下 そうですね、どんどんやったほうがいいと思います。自転車だって、最初は転びまくりながら乗り方を覚えるものじゃないですか? いざ乗れるようになれば簡単なもので、金融や投資も同じことが言えるはずです。

乙武 大人になってから転ぶと、大怪我に繋がりますしね(笑)。

宮下 おっしゃる通りです。いまはミニ株などもありますし、安全圏からチャレンジすることだって可能なわけですから。

乙武 では最後に、お二人が考える現状の金融教育の課題を教えてください。

宮下 これは先ほど乙武さんがおっしゃったことと同じなのですが、お金についてリアル感がどんどん失われていることが気になっています。我々もそうですが、キャッシュレスになって、どんどんチャージして使っている現状は、どうしても無駄遣いに繋がる気がして……。子どもであればなおさら、リアル感をどう獲得していくかというのは今後重要なテーマになるのではないでしょうか。

池田 私は学校の教育現場について、もっと外部から専門家を入れて、より実践的な情報を子どもたちに与えていくべきだと思っています。プログラミングなどは専門家でなければ教えられないので外部の人材に頼っていますから、金融もこれに倣い、銀行や証券会社などと積極的に連携するといいのかな、と。

乙武 お二人にはぜひ、今後も引き続き有意義な金融教育に繋がるコンテンツ作りを期待したいと思います。本日はありがとうございました。

お話を伺った方
乙武 洋匡
1976年、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒。大学在学中に出版された『五体不満足』が600万部を超すベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活動。その後、小学校教諭、東京都教育委員などを歴任。地域に根差した子育てを目指す「まちの保育園」の経営に参画。2018年からは義足プロジェクトに取り組み、国立競技場で117mの歩行を達成。2000年、都民文化栄誉章を受賞。
著者/ライター
友清 哲
1974年、神奈川県生まれ。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て独立。主な著書に『日本クラフトビール紀行』『物語で知る日本酒と酒蔵』(共にイースト・プレス)、『この場所だけが知っている 消えた日本史の謎』(光文社知恵の森文庫)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)、『一度は行きたい「戦争遺跡」』(PHP文庫)ほか。また近著に、『横濱麦酒物語』(有隣堂)がある。
用語解説

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